ニノチカ

劇場公開日:

解説

「奥様は顔が二つ」に先じて作られた、同じくグレタ・ガルボとメリヴィン・ダクラスが主演する映画で、「天使」「桃色の店」の故エルンスト・ルビッチが監督した1939年作品。ストーリーはメルシオール・レンギールが書き、「失われた週末」「青髭8人目の妻」の脚色チーム、チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダーが更に「未完成交響楽」のウォルター・ライシュと協力して脚本を執筆した。撮影は「裸の町」のウィリアム・ダニエルスである。助演者は舞台女優アイナ・クレアを始め、「フランケンシュタインの幽霊」のベラ・ルゴシ、「マルクス捕物帳 カサブランカの一夜」のシグ・ルーマン、「恋のブラジル」のフェリックス・ブレッサートその他。なお音楽は「桃色の店」「青髭8人目の妻」のウェルナー・リヒアルト・ハイマンが作曲した。

1939年製作/110分/アメリカ
原題または英題:Ninotchka
劇場公開日:1949年11月

ストーリー

今は昔、サイレンが空襲警報の意味でなく、専ら美人の意味であった頃のこと。第何次かの5ヵ年計画進行中のソヴィエト連邦商務局から、3人の使節ラツイニン、イラノ、フ、ブルジアノフがパリへ派遣された。初めて見るブルジョア国の贅沢さに肝を潰したが、ソ連が帝政貴族連から没収した貴金属類売却の使命を果たしに取り掛かった。これを知ったのがホテルボーイになっている、かつてのスヴァナ伯爵夫人の侍僕だったラコーニンである。彼の注進で宝石奪還を謀る伯爵夫人は、愛人のレオンに一切を任せた。レオンは3使節をまるめ込み、軟化させてしまった。この状報にソ連本国では、特別全権使節を派遣したるこれが赤ん坊の時から共産主義をたたき込まれた模倣党員ニノチカな女史である。早速軟化した3姿勢使節をしめあげ、宝石の処分に掛かった。その夜、レオンは妙な美人に街頭でトンチンカンな質問を受け、笑いを忘れたかにこりともしない彼女に興味を持った。エッフェル塔に案内すると、彼女は2百13段の階段を一気に上って涼しい顔をしているのでいよいよ興味を持ち、彼女を自分のアパートに伴い、女たらしの天才を発揮して、名も知らぬこの美人とキッスを交した。そのラブシーンの最中、ブルジアノフから電話が掛かり、彼は初めて女がニノチカであることを知った。使命は重大だが、資本主義国のブルジョア生活の楽しさ、レオンとのキッスをニノチカは忘れかねた。レオンも宝石争奪戦の敵ではあるが、1女性としてのニノチカを熱愛するに至った。それを知った伯爵夫人は、ニノチカがパーティで泥酔した夜、ラコーニンに宝石を盗ませた上、翌朝ニノチカを訪ね、レオンから手を引けば宝石を返すと申し出た。使命に覚めたニノチカは、その申し出を受諾し、急ぎ宝石を処分して、同志3名を伴いモスクワへ帰った。ニノチカはパリと恋の思出に眠られぬ夜もあったが、続5ヵ年計画の遂行に献身した。ある日ニノチカは商務長官に呼ばれ、かつて彼女と共にパリへ行った3人を、毛皮売りにイスタンプールへ派遣したが、またもや任務を怠っているから監督に行けと任命された彼女がイスタンプールに着くと正装した3人が待っていた。3人共ソ連を亡命してこの地に料理店を開いているのである。あ然としてニノチカの前にレオンが現れた。あなたが僕のものにならないなら、あなたが僕のものになるまで、世界中のソ連商務館を料理店にしてしまうつもりだとレオンは言った。それを聞くと、今はやむなしとニノチカはレオンの胸に抱かれた。

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映画レビュー

5.0最高のラブコメ!

2024年10月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

幸せ

萌える

これはもはやコントである(笑)

ベラ・ルゴシが見たくて本作を鑑賞したわけですが、ルゴシはちょい役でした。残念。まぁ、あの眉毛見れたからいいや。

グレタ・ガルボとメリヴィン・ダクラスについては全く知りませんでしたが、素晴らしい演技でした。特にグレタ・ガルボ、最高です。二人のチグハグな会話が滑稽でおかしくておかしくて…笑いが止まりませんでした。「堅物女とロマンティック野郎の恋」なんて今でこそベタですが、この時代に既に完成されたジャンルだったのですね。驚き。

あとポンコツ三人組も大好き!この三人が物語を盛り上げつつ、トラブルの原因になったりして目が離せません。資本主義がどうとか時代背景を知らないとチンプンカンプンですが、この三人を見てたらどうでも良くなります。いや、どうでも良くないんだろうな(笑)

多分、風刺を含んだコメディだったんだろうと思うので、やはり時代背景等知っていた方がより楽しめるかも知れません。それでも軽妙な会話を聞いているだけでおかしくて最高に笑えます。特に酔っ払ったニノチカ、アホ過ぎてめちゃくちゃ可愛いです(笑)

テンポ良く全くダレることなく、ラストも綺麗に締めてくれます。現代においても全く色褪せない傑作ラブコメディです!

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吹雪まんじゅう

3.5難点があるかもしれないが、知的なロマンティックコメディの名作だ。

2024年9月28日
PCから投稿

パリを舞台に、ソ連の女性外交官ニノチカ(グレタ・ガルボ)と、独身貴族のレオン・ダルグー伯爵(メルヴィン・ダグラス)が恋に落ちる姿を描く、ロマンティックコメディ。

ソ連や共産主義をネタにした風刺が、数多く見られる。主人公が、愛を通じて人間性を取り戻すという筋立てともいえる。鑑賞前に、当時の時代背景や基礎知識を知っておいたほうが、良いかもしれない。

主人公のステレオタイプなイメージや、なぜ主人公が相手にそこまで魅了されたのかなど、不自然さや描写不足を感じる人もいるだろう。私は、面白い作品だと思って最後まで見た。だが、特にソ連を知らない世代だと、違うかもしれない。

グレタ・ガルボとメルヴィン・ダグラスは、とても魅力的だ。ソ連の3人組もユニークで心憎い存在だし、知的なロマンティックコメディの名作だと思う。

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瀬戸口仁

3.0ニノチカの変わり様がよく分からない

2024年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ソ連の役人がシベリア送りを恐れたり、ソ連のラジオ放送に音楽が無いシーンがあったりと、全体的に社会主義国(ソ連)を貶して資本主義国を持ち上げる内容。今作が製作されたのが1939年という、世界恐慌の影響が尾を引く時代。それは、社会主義国ゆえに自国の経済が世界恐慌の影響をさほど受けなかった点で魅力的だったソ連へ、資本主義のイデオロギーを持ち上げて対抗したい意味も込められていたからでは、と想像した。

 ストーリーはコメディタッチで中々面白い。冒頭のソ連の役人が適当な理由を付けて高級ホテルの良い部屋に泊まりたがるシーンは、出張にかこつけて遊ぼうとしているサラリーマンのようで笑えた。

 違和感が拭えないのは中盤からのニノチカの変わり様。最初はソ連のイメージそのものと言っていいようなニコリともしない彼女が、レオンとの出会いで大笑いしてからキャラが大きく変わる。ここの変わり様も、社会主義国に染まった冷徹な女が、資本主義国で変わっていく様を描きたかったのかなと解釈した。しかし、あまりの変貌の意味がよく分からず、一体どういうことなのかと混乱した。

 戦前、戦後直後の映画って、どう解釈していいのか分からない、難しい映画が多い。

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根岸 圭一

3.5ガルボ、笑う

2023年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

幸せ

このキャッチコピーだけは聞いたことがあったので、見てみた。
確かに笑っていた。
それも結構、ガハハハ、という感じ。
オッサンか!と、独り言でつっこんでしまった。w
それに、がたいの良さも加わって、生真面目な共産党員役がはまっていた。
ラブコメらしい、なかなか脳天気な結末もいい。
あの辺りの国の人たち、上層部もこんな人ばっかりだったらなぁ……。

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SpicaM