トリュフォーの思春期

劇場公開日:

解説

フランスの小都市の小学校を舞台に、子供たちが織りなすエピソードをユーモラスに綴る。監督は「アデルの恋の物語」のフランソワ・トリュフォー、脚本はトリュフォー自身と、「アデルの恋の物語」に引き続いて共作したシュザンヌ・シフマン、撮影はピエール・ウィリアム・グレン、音楽は故モリース・ジョーベールの旋律を使用、主題曲はシャルル・トレネの「日曜日は退屈」。出演は数百人からのオーディションに合格した、ジョーリー・デムソー、フィリップ・ゴールドマン、リシャール・ゴルフィー、シルヴィー・グレセル、パスカル・ブリュション、そしてトリュフォの愛娘エヴァ・トリュフォーなど。

1976年製作/フランス
原題または英題:L'argent de Poche
配給:ユナイト
劇場公開日:1976年12月11日

ストーリー

フランス中部の平和な小都市。パトリック(ジョーリー・デムソー)の学校に新入生が入ってきた。彼の名前はジュリアン(フィリップ・ゴールドマン)といい、どこか陰のある少年だった。パトリックはいまや思春期の真盛りで、美容院を経営する友人ローラン(L・デブラミンク)の美人のママに夢中である。ワンパク少年たちの社会科を受け持つリシェ先生のアパートでも、毎日、子供たちのドラマが生まれている。2歳になったグレゴリーはペットの飼猫をベランダまで追いかけて、十階から墜落。だが幸運にも落下地点が軟土だったのが幸いした。キョトンとしたグレゴリーを見て、ママの方が気絶。一方、同じアパートに住む8歳になるシルヴィー(シルヴィー・グレセル)は、両親同伴の外出を拒否したために部屋に閉じ込められた。やがて空腹になったシルヴィーは拡声器でアパート中の住人に届くように「お腹が空いたッ」と連呼。気の毒がった隣人たちは、ロープとカゴを使ってパンや果物をシルヴィーの部屋へ運んでやった。クローディオとフランクのルカ兄弟はリシャール(リシャール・ゴルフィー)の散髪代800フランをまきあげ、なれない手つきでリシャールの頭を刈りこんでしまう。その頭を見て怒ったリシャールの父は、ローランの店へどなりこんだ。一方、パトリックのローランのママに対する想いはつのるばかりで、ついに意を決して花束を彼女に渡した。ところが彼女がパトリックに言った言葉は「お父さんによろしく」だった。身体検査の時、ジュリアンの身体が生傷だらけなのが発見され、彼の母親と祖母が幼児虐待の罪で逮捕された。学期末最後の日、リシェ先生は経験と心情を踏まえて子供たちに大演説をぶった。子供たちはその言葉をしっかりと受けとめたようだ。待望の夏休みはメランドール林間学校で過ごすことになった。そしてパトリックはマルチーヌ(パスカル・ブリュション)という可愛い子と知り合い、友人たちのひやかしを受けながら初めてのキスを体験するのだった……。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第34回 ゴールデングローブ賞(1977年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

4.0子供たちの情景に笑顔と慈しみこみ上げる

2021年10月31日
PCから投稿

トリュフォーが手がける作品の特徴として「子供たち」というモチーフは代表的なもの。中でも本作は、年端もいかない子供たちが学校や家庭で繰り広げる情景をユーモラスかつ生き生きと描き出していて心掴まれる。子供らの様々な表情をパッチワーク的に織り込む構成ながら、家庭内に問題を抱えた少年の存在が一つのフックとなり、彼を巡り教師が子供らに語りかける言葉にトリュフォーの思いがギュッと凝縮されていたように思う。「大人は判ってくれない」では主人公の少年に少なからず自身を投影させたトリュフォーだが、「野性の少年」では子を導く父親の視点になり、さらにこの「思春期」ではおじいちゃんのような視点になったとも語っている。映像からほとばしる温もりや状況を広く俯瞰する視座もそういった心境の賜物なのかも。ちなみにスピルバーグの「E.T.」で印象的な学校の情景(カエル、反逆、キス)に微かな本作の影響を感じるのは私だけだろうか。

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牛津厚信

4.0「思春期」前、今なら「男子」かな〜

2024年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

邦題が「思春期」となってるけど、今なら 「トリュフォーの『男子』」とかがふさわしいかも〜〜 女の子や幼児も出てくるけど、 梅佳代さんの写真集「男子」みたいに、 小学校の5年生くらいの、まだ、中二病では無いけど、 ちょっとだけ性への興味も出てきて、 大人の裏表の使い分けも何となく理解できて来る年頃の 瑞々しい少年達の日常を、付かず離れず追った作品で 一つ一つのエピソードの積み重ねが楽しいし笑えるし、 結構ちゃっかりしてたりして、いかにも子供らしい話もあれば、 社会の不条理に子供ながらも必死に立ち向かっている姿もあって 特に有名な役者さんも、衝撃的なことも起こらないけど 全然飽きることなく観られました。 まさしく現代の「男子」「女子」達にも観せてやりたい。 こういう映画は「午前十時の映画祭」ならではなので 観ないと勿体ないよな〜〜

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星のナターシャnova

5.0トリュフォー監督の瑞々しい感覚が伝わる傑作

2018年9月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ティエールというパリから南に400キロ下った小さな地方都市の小学生達の6月から夏休みまでの1ヶ月程のお話 本作の主題は終盤で児童虐待を受けた児童のことで担任の先生が学級の児童全員に話をする内容であって、本作のそれまでのすべてのシーンはこれにつながる その構成がまずすごい 先生の話が進むに従って、あのシーンこのシーンと走馬灯のように脳裏に甦ってくるのだ またその各々のシーン、エピソードが瑞々しい 子供達の自然な演技、表情をよくぞ撮ってみせたものだ そして、そのシーン全部が美しい色彩感覚でフィルムに撮られているのだ 原題はフランス語で、おこづかい 邦題の思春期の方が本作の内容をより的確に伝えて表現できており素晴らしい 映画の序盤はまだ思春期前の子供に過ぎない児童達が、映画が進むに従って次第に思春期に近づいていくのが見事だ そうしてラストシーンは冒頭に出てくる少女とこの小学校の児童が思春期に足を踏み入れて終わる 見事な手腕としか言いようがない 誰しもが自分の思春期を思い出して、感慨と余韻が残る名作だと思う トリュフォー監督の実力に感服するばかりだ 日曜日の午前中に似合う映画です 冒頭の絵葉書の場所は、パリからティエールに向かう途中300キロの辺りにあります ラストシーンの林間学校はメリンドルと言う村 ティエールからさらに400キロ南に下ったマルセイユの70キロ程手前にあります

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あき240

4.0とても良い映画

2017年10月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

朝早起きをして観に行った甲斐がありました。面白い。

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stoneage