遠すぎた橋

劇場公開日:

解説

ノルマンディから3ヵ月後、オランダのアーンエム付近においてくりひろげられた連合軍最大の激戦を描く戦争巨篇。製作はジョセフ・E・レビンとリチャード・P・レヴィン、共同製作はマイケル・スタンリー=エバンス、監督は「戦争と冒険」のリチャード・アッテンボロー、脚本はウィリアム・ゴールドマン、原作はコーネリアス・ライアンの「遙かなる橋」(早川書房刊)、撮影はジェフリー・アンスワース、特殊効果はジョン・リチャードソン、音楽はジョン・アディソンが各々担当。出演はロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ジェームズ・カーン、ショーン・コネリー、ライアン・オニール、ダーク・ボガード、エリオット・グールド、マイケル・ケイン、ハーディー・クリューガー、マクシミリアン・シェル、アンソニー・ホプキンス、エドワード・フォックス、ローレンス・オリヴィエ、リヴ・ウルマンなど。

1977年製作/175分/イギリス
原題:A Bridge Too Far
配給:富士映画

ストーリー

1944年9月5日。連合軍のノルマンディ上陸作戦から3ヵ月後、ドイツ軍はオランダよりの撤退を開始した。9月10日、ロンドンのブラウニング中将(ダーク・ボガード)の司令室に、連合軍司令官達が集まった。オランダのアーンエム付近に、空からのマーケット、陸からのガーデン両作戦を遂行し、ネーデル・ライン河からベルリンへ進撃路を開くための大作戦だ。マーケット作戦の総司令官ブラウニングは、小説家デュ・モーリアの夫でもあり、大作戦統率経験はない。アメリカ陸軍准将ギャビン(ライアン・オニール)のアメリカ第82空挺師団は中央高地へ、アーカート少将(ショーン・コネリー)のイギリス第1空挺師団は橋へ、ポーランドのソサボフスキー少将(ジーン・ハックマン)の師団はアーカートと共に作戦を、と命令が下った。だが、ソサボフスキーは、アーンエムの地形の悪さに難色を示した。そのころ、ドイツ司令部はビットリッヒ中将(マクシミリアン・シェル)の第2SS機甲軍団に撤退を命じた。この兵力を偵察したイギリス情報部は、作戦の危険を説いたが、ブラウニングは黙殺する。一方、ベルギーのレオポルズブールでは、ガーデン作戦総司令官のイギリスのホロックス中将(エドワード・フォックス)が、バンドルール中佐(マイケル・ケイン)の近衛機甲師団に進撃を命じた。9月17日、快晴の日曜日。マーケット・ガーデン作戦が決行された。輸送機の大編隊が空をおおい、ドイツ軍の砲撃の中、パラシュートが無数に花開く。ベルギーからは大戦車隊が進撃し、待ちうけていたドイツ軍の攻撃を受け、炎に包まれた戦車に行く手をふさがれていた。ソン橋近くに降下したスタウト大佐(エリオット・グールド)の隊は、ドイツ軍に橋を爆破され、進路をたたれる。一方、アーカートは、同師団のフロスト中佐(アンソニー・ホプキンス)と連絡をとるべくジープを走らせたが、砲弾の中に孤立。作戦開始後2日目の19日、第2次輸送隊は濃霧のためイギリス出発不可能。一方、アイントホーフェンの町にバンドルールとスタウトの部隊が合流した。そして、少し北ではドーハン軍曹(ジェームズ・カーン)が、瀕死の上司をジープで運んでいた。暗くなった頃、スタウトは、今はないソン橋の近くに橋を仮設するが、進撃は36時間の遅れだ。ようやく友軍の攻撃で孤立から脱したアーカートが仮の司令部にたどり着いた時、激戦はまだ続いている。ホルスト夫人(リヴ・ウルマン)の邸宅はアーンエムの近くで、ここをオランダ人医師スパンダー(ローレンス・オリヴィエ)が野戦病院に用いだした。膠着状態のアーンエム橋では、ドイツ軍のビットリッヒが、フロストに降伏を勧告するが、フロストは拒否。かくてドイツ軍の猛攻撃に、フロスト隊は壊滅状態だった。そのころ、ギャビンの師団はナイメーヘン橋突破のため、クック少佐(R・レッドフォード)にボートで渡河作戦をとらせ、戦車隊は激戦の後、橋を占領。一方、イギリスではソサボフスキーの隊は霧のため未だ出発できない。そして、フロスト隊は全滅した。捕虜と化した彼は、ビットリッヒのさしだすイギリスのチョコレートを黙ってかじる。ようやく着いたソサボフスキーの隊も、ドイツ軍の攻撃に前進はまったく不可能。残骸と死体だけの町アーンエム、スパンダーはドイツ軍のルドウィック将軍(ハーディー・クリューガー)に戦闘中止を訴えた。今や生死の問題なのだ。負傷兵の交換は始まるが、連合軍の徹底的壊滅をねらうドイツ軍の攻撃は再開する。ブラウニング、ホロックス、ギャビン、バンドルールら司令官達は、地形やイギリスの霧を呪うが、ソサボフスキーは、男は決断した以上戦い死ぬべきだ、と叫ぶ。豪雨の中、アーカートは生きる屍と化し、彼らの閉じこもる教会に到着した。そしてブラウニングは、モンゴメリー元帥の「この作戦は90パーセント成功した」という伝言を持って来た。そして「我々は遠すぎた橋へ行っただけだ」とも。9日間の戦闘で、連合軍側の戦死、戦傷、行方不明者は1万7000名以上といわれた。

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映画レビュー

5.0凄くイギリス的な映画

2022年1月1日
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傘

2.0マーケット・ガーデン作戦

2021年5月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2021年5月1日
映画 #遠すぎた橋 (1977年)鑑賞

オールスターキャストと言えばこの映画
無謀な作戦のお話なのだが、オールスターキャストなので、そこそこ華やかなシーンがあり、悲壮感が足りないし、視点がぼやけてしまってる

そもそも、日本の戦争映画とは緊張感が違う
でも、日本は負けたんだよね

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とし

5.0圧倒的臨場感

2020年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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odeonza

4.0大作は点で見る

2020年7月11日
PCから投稿

昔テレビで見た。
映画スター総出演で、それが売りで、それが趣旨でもあった。
すなわち、反戦や無謀な作戦の愚かしさを啓発する意図はあったとはいえ、スターを見ることに比重が置かれていて、ペーソスを云々する映画ではなかった──と思う。

監督はリチャードアッテンボロー。
大脱走でビックXといういかつい通称ながらあまり目立たない良識人の少佐を演じていた。
ナイトをもつイギリスの映画監督だが、正直なところリチャードアッテンボローの映画には固有性はなく、総じてプロデューサータイプの映画監督だった。
しかしそれはそれでいい。かれにはスターと予算を集約できる人望があった。

遠すぎた橋は、巷でみるオールスターの冠がぜんぜんオールスターになっていないことがわかる本物のオールスターだった。
ショーンコネリー、ジーンハックマン、ロバートレッドフォード、ローレンスオリヴィエ、マイケルケイン、アンソニーホプキンス、ダークボガード、ライアンオニール、エリオットグールド、ジェームズカーン、マクシミリアンシェル、デンホルムエリオット……。

おおぜいのスターを見せる映画ゆえに、それぞれに踏み込んだ描写はなかった。
それでも、エドワードフォックスが演じたホロックス中将に惹かれた。

豪放磊落。死ににゆく兵卒の気分をまったく理解していないのにエドワードフォックスはいい奴だった。馬鹿な上司なのにぜんぜん憎めなかった。厚顔だが明朗快活で闇がないのである。

ロバートデュバルのキルゴア中佐(地獄の黙示録)はベトナムでサーフィンをしたけれど、その厚顔とは違う、歪みのない、どこまでも理想主義の戦争屋、それがホロックス中将だった。

それをほんの数分の登場時間で体現してみせたのがエドワードフォックスだった。
とりわけ地上部隊の下士官たちにマーケットガーデン作戦の骨子を説明する集会のシーン。

ホロックスは下士官の拍手に迎えられ壇上に上がる。そこには大写しにしたベルギーとオランダの地図。
徒兵と車上兵と降下部隊のみで、ベルギーからオランダのアイントホーフェン→Veghel→Grave→ナイメーヘン→アーネム。約120キロの一本道に架かる五つの橋を占領し、ライン川にかかるドイツ国境に橋頭堡を仕掛けるのが最終目的だった。しかもそれは全行程がbehind the enemy lineだった。

彼はほとんどキューに見える長い指示棒をもって言う。
Gentlemen, this is a story that you shall tell your grandchildren, and mightily bored they’ll be.
『ジェントルマン!これは君らが孫に語れる大作戦だ!まあ退屈されるがね!』

ホロックス中将はじっさいに戦うひとびとの心配をまったく気にしない。みごとなまでの体制派司令官で作戦につゆほどの疑いも持ち合わせていなかった。
The plan is called “Operation Market Garden”. “Market” is the airborne element, and “Garden”, the ground forces. That’s us.
『名付けて「マーケットガーデン作戦」。マーケットは空挺部隊。ガーデンは俺たち地上部隊だ』

Speed is the vital factor.
『もっとも重要なのがスピードだ』

ホロックス中将は作戦行程を説明し、先頭にバンドルール少佐を指名する。
指名されたバンドルール(マイケルケイン)は隣席に小言。「けっ。また俺らかよ」
「なんか言ったかい?」とホロックス中将。

Delighted, sir, truly delighted.
『光栄ですマジでうれしいっす』

この集会のエドワードフォックスとマイケルケインのやりとりを、よく憶えている。

ホロックス中将は人を疑わない。
美男だが小柄、でもなんとなくおしゃれ。たたずまいがデイヴィッドボウイによく似ていて、不思議な存在感がある。かつ単純で明朗で、竹を割ったように世の中を理解し、プラス、イギリス人のユーモアを携えていた。

で、そのときから、エドワードフォックスがおきにいりになった。
多少ざんねんなのは、この映画にちょっとだけ出てくるホロックスのエドワードフォックスがいちばんいいことだ。

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津次郎
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