12モンキーズ 劇場公開日 1996年6月29日
解説 「未来世紀ブラジル」の鬼才テリー・ギリアムがブルース・ウィリス主演で描いたSFサスペンス。謎のウィルスによって人類のほとんどが死滅した近未来。生き残った人々は汚染された地上を捨て、地下での生活を余儀なくされていた。科学者たちは1996年にウイルスをばら撒いたとされる集団「12モンキーズ」について探るため、服役中の囚人ジェームズ・コールを過去の世界へと送り込む。誤って1990年にたどり着いたコールは不審な言動から逮捕され、精神科医キャサリンの立ち会いのもと精神病院に収容される。そこでジェフリーという若い患者に出会い、彼の助けを借りて脱出を図るが……。共演に、本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされたブラッド・ピット、「ラスト・オブ・モヒカン」のマデリーン・ストウ。「ブレードランナー」のデビッド・ピープルズが妻ジャネットと共に脚本を手がけた。
1995年製作/130分/アメリカ 原題:12 Monkeys 配給:松竹富士
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2018年12月28日
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鑑賞方法:DVD/BD
あのタンゴが鳴り響くと、我々の頭にはすぐさま地球崩壊後の暗雲たる情景が広がっていく。救いのない未来絵図を独特のビジュアルとシニカルなタッチで描き出すのは奇才テリー・ギリアムのお家芸。だが、本作はそうやってギリアム臭を充満させながらも、企画そのものは彼とは別のところで始動してきた。つまりギリアムにしてみれば他人の企画に乗っかる形でスタートした作品なのだ。そのため強烈なギリアム色を欲する人には物足りないだろうが、クオリティ面で言うと極めてバランスのとれた名作に仕上がっている。ギリアムはこれくらいの距離感の方がうまく映画と間向かえるのかも。『ラ・ジュテ』の要素のみならず『めまい』から得たものも大きく、ラスト近くにはあからさまな目配せが用意されているのも楽しい。観客もこうして時間と距離を隔てて再見することで作品内に埋め込まれた趣向を俯瞰して享受できるのかもしれない。いわば一粒で二度美味しい良作だ。
2022年2月17日
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鑑賞方法:DVD/BD
初めて鑑賞した後は少しモヤモヤ、なんとなく納得できずっていうのが素直な感想。だけど2回目、3回目と何度も観るうちにその考えはガラッと変わった。 作品と向き合うたびに新たな発見ができ、独特な世界観に酔いしれる。数多くの伏線が張られ、しっかり見入ってなければ比較的難易度高めな感じなのかなと個人的には思う。完璧な伏線の何とも言えない絶妙な複雑さがクセになる。それらが観客に何を伝えたいのか理解できた時、この作品の本質を心の底から楽しむことができるだろう。 またテリー・ギリアムの鬼才っぷりにも驚かされる。終始作品が放つ世界観に圧倒され、本編とエンドロールの不一致さにいい違和感を覚えるのもまた面白いところ。
2021年12月2日
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鑑賞方法:VOD
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映画の日ということでずっと楽しみにしていた12モンキーズを観ました。 レビュータイトルは映画の中で私が特に好きなセリフで本当はこの後にthere's only popular opinion.と続きます。ジェフリーが病棟で就寝前に興奮し演説しているワンフレーズです。 ブラピ演じるジェフリーは狂っていますが、最後に彼が取った行動を見るとやっぱりあのジェフリーのままだと安心して思わず微笑んでしまいました。どうしても憎めない人間としての不思議な魅力を備えたジェフリー・ゴードンは私の好きなキャラクターベスト3には入ってしまいます。そして筆者、なんとこの映画を観ている途中まで彼を演じているのがブラピだと気づかなかったんです。そのくらいキャラクターが全面に出ていて、ブラピの凄さを感じさせられる映画でもありました。 シナリオも整っていて、初めはコールを中心に話が進んでいくのですが後半はもっと客観的な視点から幅広くスポットが当たっていて物語が膨らんでいく中で綺麗に伏線を回収していくという一見矛盾しているかのような演出に心を奪われました。 12モンキーズは明らかにキーではあるのですが核心ではないにも関わらずそこをタイトルにしているのも粋だなと思います。 それにしても人類は元々ウイルスネタが好きだったんですね笑
2021年10月28日
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鑑賞方法:VOD
公開当時劇場で鑑賞したものを、再鑑賞する。 未来と過去を行き来する主人公。 タイムトラベルの中で謎を解いてゆく、という二重構造がかなり複雑な物語ながら すんなり頭に入って来る超絶テクニック構成。 この、要所要所にヒントをのぞかせなつつも、 明かされ、つじつまがあった時、鑑賞者に「あれか!」 と思わせる見せ方がとにかく上手くて震える。 のせられて物語にのめり込めば、噛み合ったとき立つ鳥肌はもう格別だ。 そのためのミスリードの効き具合も凄まじい。 前半、ブルースウィリス演じる主人公が妄想に憑りつかれた変人のように描写されるが、 後半では女医のヒロインがそのように描かれ、主人公がマトモに見えてくる辺りも 事態のひっ迫感をあおり、引き付けられた。 公開当時はあのラストに、主人公はミッションに失敗したのだ、 と愕然として劇場を出たが 今回、見てみるともしや、その失敗を経てさらに送られて来た人が? と思える描写があり、しかしそこでカットアウトされるところから、 なおさらエンドロールに深みを感じることができた。 しかしうまい。 シナリオとその構成に乾杯。
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