天井
劇場公開日:1993年4月10日
解説
安易に学校を退学し、ファッション・モデルとして生活する若い女性の、空虚な毎日を描く。製作した当時、主人公と同じくらいの年齢であったヴェラ・ヒティロヴァが、大学の卒業制作で制作した作品。「天井」というタイトルは、人間がその暮らしの中で演じなければならないことの限界を意味している。撮影はヤロミール・ショフル。編集はアントニン・ゼレンカ。音楽はヤン・クルサーク。製作はヤン・チェルニー。
1961年製作/42分/チェコスロバキア
原題または英題:Ceiling Strop
配給:バウスシアター
劇場公開日:1993年4月10日
ストーリー
ファッション・ショーに主演しているブロンドの女をカメラが追う。彼女の名前はマルタ(マルタ・カノフスカ)。医学を専攻する大学生だ。モデルとして売れっ子になってきた彼女は、あと一年で卒業できるというときに、学歴を捨ててモデルとして生活することを選ぶ。ある日、街角で大学時代の友人(イルジー・メンツェル)と会ったマルタは、久しぶりに大学の食堂で彼らとランチをともにする。友人たちはマルタの美しさを褒めたたえるが、マルタは食堂内に昔の恋人の姿を見つけ、その場を走り去る。モデルの仕事は相変わらず順調だったが、雇い先やクライアントは、彼女に「体型を崩さないこと」と「ブロンドの髪を染め直さないこと」などの小言を言うばかり。次第に、空虚感を拭えなくなってくる。仕事のあと、パトロン(ジュリアン・ヒティール)とパーティーに出席したマルタは、そこでも憂鬱だった。彼女の隣には次々と男たちが寄ってくるが、真に心を許せる相手はいない。愛人と帰宅したマルタは、情事のあと、ますます憂鬱になる。パトロンの男は、マルタを慰めようとするが、口先だけで心がこもっていず、アスピリンを飲んだマルタを悪い薬を飲んだのと勘違いして殴ってしまう。マルタは部屋を出て行く。夜の街をショーウィンドーの照明が照らし出す。ショーウィンドーはどこも彼女のポスターでいっぱいだったが、歩道の上のマルタは一人ぼっちだった。ブラブラと街をさまよううちに、マルタは荒涼とした林に出る。そのまま、行く当てもなく列車に乗ると目の前には手作りのお弁当を食べている母親と子供の姿があった。マルタはその母親からクッキーを受け取る。優しい気持ちになったマルタは、窓の外の流れる風景に目をやる。外には雨が降り出す。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ベラ・ヒティロバ
- 監修
- オタカル・バーブラ
- ワースロウ・ハヌーシャ
- Jan Smida
- 脚本
- ベラ・ヒティロバ
- 原作
- ベラ・ヒティロバ
- 製作
- ヤン・チェルニー
- Karel Kops
- Milana Melcerova
- 撮影
- ヤロミール・ショフル
- 音楽
- ヤン・クルサーク
- 歌
- Jiri Slitr
- 編集
- アントニン・ゼレンカ
- 字幕
- 粕三平
-
Martaマルタ・カノフスカ
-
不明Josef Abrham
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不明Jaroslav Satoransky
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不明イジー・メンツェル