椿姫(1937)

解説

「アンナ・カレニナ」「彩られし女性」のグレタ・ガルボと「愛怨二重奏」「小都会の女」のロバート・テイラーが主演する映画で、アレクサンドル・デュマ・フィリスの原作により「勝利の朝」のゾー・エイキンス、「港に異常なし」のフランシス・マリオン、「失はれた地平線」の原作者ジェームズ・ヒルトンとが協力脚色し「男装」「ロミオとジュリエット」のジョージ・キューカーが監督に当たり、ガルボ映画を全部受持つウィリアム・ダニエルスが「巨星ジーグフェルド」を分担したカール・フロイントと協力撮影した。助演者は「噫初恋」のライオネル・バリモア、「嵐の三色旗」のエリザベス・アラン、「小公子」のジェシー・ラルフ、かつて「嫉妬」に出演したヘンリー・ダニエル、舞台に名高いレノーア・ウルリック、「逢瀬いま一度」のローラ・ホープ・クルーズ、新顔のレックス・オマリー等である。

1937年製作/アメリカ
原題または英題:Camille

ストーリー

椿の花を愛するために椿姫と呼ばれるパリの名花マルグリット・ゴーチェは病弱な体であったが、豪奢な生活を続けているので健康はますます衰えるばかりであった。彼女と最も親密なプリュダンスと言う年とった仲間の勧めるままに、マルグリットは現在の不健康な生活から離れるために金持ちのヴァルヴィル男爵をパトロンに持つことになったが、ふとした間違いから若い美青年アルマン・デュヴァルを男爵と思い間違えて彼に優しい態度を示したので、二年前から人知れず彼女を慕っていたアルマンの喜びは大きかった。それだけに自分を男爵と間違えたためと知って彼の心は痛手を受けた。男爵は彼女を熱愛し半年後に一緒にロシア行きを勧めたが、健康を理由に断られたので一人で旅立った。その夜彼女の誕生を祝うパーティが催されアルマンも招かれて出席した。宴半ばにマルグリットは病のために倒れたので、彼は病床に近づいて心から容体を憂えていた。燃ゆるようなアルマンの熱情にマルグリットは心を動かされた。客と一緒に一度外へ出た後で再び引き返すことを約束してアルマンは邸を離れたが、その間に彼女を残して旅立てなかった男爵は途中から引き帰して来た。止むなくマルグリットはアルマンの来る前に門扉を固く閉ざすよう召使に命じた。翌日忘れんとして忘れ得ない痛手を癒すため世界一周の旅に出るとのアルマンの便りを受け取ったマルグリットは、彼の許へ駆けつけ昨夜の失体を詫びた。アルマンは真情を打明け空気の清い田園生活を勧めたので、彼女は友にも告げずアルマンと共に田舎へ移った。彼の愛に抱かれた幸福なマルグリットは以前の放埒な生活を止め、更生の道を踏もうと決心した。二人の結婚のためにアルマンは故郷の父に金を無心した。驚いた父親は彼女の素行を調べて結婚に反対し、アルマンがパリへ出掛けた留守にマルグリットを訪れた。父親は彼女が心からアルマンを愛していることを知ったが彼の将来のために別れてくれるよう頼むのであった。その夜アルマンが帰った時、彼女は男爵と会う約束をしていた。再び放埒な生活が繰り返され彼女の病勢は日増しに悪化した。ついに死に近づいた時、訪れたアルマンの昔に変わらぬ愛の言葉にマルグリットは静かに微笑みつつ永い眠りについた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

3.5ガルボの演技力

2023年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

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SpicaM

4.0感動した「椿姫」グレタ・ガルボ版

2023年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何度も映画化されているデュマの「椿姫」だが、本作のグレタ・ガルボは本当に美しく、また仕草が見事なので、素晴らしい感動作となっている。
監督はジョージ・キューカー。

椿姫と呼ばれるマルグリット・ゴーチェ(グレタ・ガルボ)は豪遊生活を送っているが、病弱な身体。金持ち男爵をパトロンに持つことになったが、若い美男子アルマン・デュヴァル(ロバート・テイラー)と「心からの愛=本当の愛」を共有する仲となった。
しかし、そんな彼女には病が……という物語であるものの、本作ではグレタ・ガルボの仕草が際立っていた。

特に印象的だったのは、アルマンへの想いを抱いて初めての口づけ場面では、彼の顔のアチコチにキスすることで「彼女の想いが強調された感じ」あり、落とした扇子を拾うシーンなどでは何気なく扇子を拾っているように見えて「こんな拾い方は難しいのでは?」などと思わせられるダンス風の姿勢。
ラストも良かった。

これは、本当に感動した。

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たいちぃ

5.0ふたりのグレタ・ガルボ

2020年1月5日
PCから投稿

たまたま”ニノチカ”という、ソ連を風刺したコメディを鑑賞、このコチコチの共産主義者を滑稽に演じていた主人公こそ、グレタ・ガルボ、椿姫だった。
そこには、まったく別人な、華やかなグレタ・ガルボがいた。
高級情婦を演じる彼女は、モンローのような可愛いらしい色気でもなく、オードリーのような気品にあふれているわけでもない。
だけどなんだろう、 彼女だけが放つ何とも言えないミステリアスな怪しい魅力に取り憑かてしまった。
グレタ・ガルボに会いたくなったら、まず”ニノチカ”から鑑賞することをお奨め。
ふたりのグレタ・ガルボに会える。

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miharyi

4.0ガルボに重なる「椿姫」の魅力

2019年1月10日
Androidアプリから投稿

ジョージ・キューカー(女性映画の巨匠)が ガルボの魅力を 引き出している
また、エイドリアンの衣装も華麗
(華奢に見える様に工夫してる、肩幅が問題点だったらしい… 最後なんて華奢で病弱に見える)
室内装飾、田舎家の風景も 何気に美しい

椿姫だが、東洋的表現なら
泥の中に咲く蓮の花の風情で、神々しい
別次元の美しさ、である

男達が 夢中になるのが、わかる
高級娼婦でも、恋愛(あるいは、擬似恋愛)の力関係で 結構、我儘でもある
男爵は ある意味、コケにされてる

最後は 借金取りが、隣室待機で「悲劇的」ではあるが 現世で 金も出会いも使い切った椿姫、見事である

高級娼婦だが「名花」と呼ばれるタイプ
歴史的悪女にもならず、
気儘に 愛に生きたのも魅力的
その気儘さが、ガルボと重なる気がする
誰もが、気儘に生きられる訳ではないのである

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jarinkochie