ゼロ・ペイシェンス

劇場公開日:

解説

世界初のエイズに関するミュージカル映画。87年に、北米に初めてエイズを持ち込んだ男として新聞を賑わせた実在のカナダ人をモデルにして、彼が死者の国から、現代に自らの汚名を晴らしにくるという設定で、エイズを取り巻くメディアへの批判が描かれている。監督のジョン・グレイソンはこれまでヴィデオ・アーティストとして活躍しており、数々の受賞歴を誇っているが、長編映画として88年に『Urinal』を監督し、91年のベルリン映画祭出ゲイ・テディベア最優秀長編映画賞を受賞している。製作はルイス・ガーフィールド、アンナ・ストラットン。脚本もグレイソン。撮影はミロスロフ・バスザック、「世界中のポピュラー・ミュージックを引用する」ことが意図された音楽を『Urinal』も手掛けたグレン・シェレンベルグがグレイソン監督とのコンビで手掛けている。93年に死去したエイズ活動家であるシンガー、ミシェル・ケイリンを始め、シャワー・ボーイズ、ACT-UPなどがナンバーをこなしている。編集はミウメ・ジャン。美術はサンドラ・キバルタス、衣装をジョイス・シューレ。出演はブロードウェイでアル・パチーノと共演した経験も持つジョン・ロビンソン、バレエ団での公演やパフォーミングを行い、テレビ・シリーズにも数多く出演しているノルマン・フォトウなど。

1993年製作/カナダ
原題:Zero Patience
配給:スタンス・カンパニー
劇場公開日:1995年2月25日

ストーリー

170歳になる科学者バートン(ジョン・ロビンソン)が患者0号(ノルマン・フォトゥ)を使ってエイズにまつわるものを博物館に展示しようと考えている。患者0号とは、エイズを国内に最初に持ち込んだことを認知された人物のことだ。その患者0は、死後の世界から現世に戻り、かつての友人ジョージ(リチャード・キーンズ・ダグラス)や家族と遭遇するがだれも彼の存在に気づかない。一方バートンは博物館用に0号の家族や周囲の人物に調査を始める。そこへ資金援助を申し出た製薬会社が介入し、さらにTV番組はそれを報道する。バートンは0号の友人ジョージの部屋をビデオ・カメラで撮影中に、0号と知り合うことになる。0号は、バートンに生き返らせてくれるよう懇願する。二人は実験中、ミスHIVを発見し、エイズがHIVから発病するとは言い切れないことをミスHIVから聞く。0号の汚名を晴らしたいとバートンも考えるようになるが、結局展示会の事ばかり考えるバートンを0号は非難する。またバートンの上司は独断で、バートンが最初に作った不本意な版のヴィデオをマスコミへ見せ、そのときから0号は、広く北米にエイズを運んだ男として認められてしまう。憤った行動家たちは展示を次々に変えてしまい、0号も諦めたように、展示物の中に消え、バートンの目の前で展示物は崩壊して行く。

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