聖なる狂気
劇場公開日:1995年11月25日
解説
狂信的な宗教で人間性を抑圧された青年が、ある美女への欲望の虜になり狂気に陥っていく様を描くサイコ・サスペンス。監督・脚本は「柔らかい殻」のフィリップ・リドリー。製作はフランク・ヘンシュケ、ドミニク・アンチアーノ、アラン・ケイツマン、エグゼクティヴ・プロデューサーはジム・ビーチ、レイ・バーディス、撮影はジョン・ド・ボルマン、音楽はニック・ビカット、編集はレスリー・ヒーリー、美術はユベール・プイユ、衣装はアンヌ・バーホーベン、ガービ・ビンダー(サーカス団の家族役で端役出演も)がそれぞれ担当。主題歌はPJ・ハーヴェイの“Who Will Love Me Now?”。主演は「きっと忘れない」のブレンダン・フレイザー。共演は「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のアシュリー・ジャッド、リドリーとは前作「柔らかい殻」でも組んだ「インディアン・ランナー」「カリートの道」のヴィーゴ・モーテンセン、「セイ・エニシング」のローレン・ディーンほか。
1995年製作/イギリス・ドイツ合作
原題または英題:The Passion of Darkly Noon
配給:アスク講談社映像事業部=NNBC
劇場公開日:1995年11月25日
ストーリー
森の奥の小屋。キャリー(アシュリー・ジャッド)は大工で口がきけない恋人クレイ(ヴィーゴ・モーテンセン)と暮らしていた。ある日、住み込みの若者ジュード(ローレン・ディーン)が行き倒れの青年(ブレンダン・フレイザー)を連れてくる。これが恐怖の12日間のはじまりだった。キャリーに介抱され目覚めた青年は、“薄暗き真昼”と名乗る。彼は聖書のみを絶対真理とする狂信的な宗教のもとで育てられた、性的にも人間的にも抑圧された未成熟な男だった。両親は殺され、彼だけが逃げてきたのだという。キャリーはクレイの許可も得て、ダークリーを家族の一人に加えて優しく接する。しかし彼は肉感的なキャリーに性欲を覚え、日夜彼女を盗み見ながら、はじめて覚える嫉妬と罪の意識に煩悶するようになっていた。ダークリーが来て一週間後、キャリーらの友人の葬儀屋のクインシー(ルー・マイヤーズ)と戻ってきたジュードは、彼にキャリーとクレイの仲の邪魔をしてはいけないと忠告する。翌日、森の中でダークリーはロキシー(グレイス・ザブリスキー)という中年女に会う。ロキシーはクレイの母親で、キャリーは彼女の夫ジェイクを殺し、息子まで奪った魔女だと罵る。ダークリーはキャリーに問いただす。キャリーはジェイクは彼女をレイプしようとして発作で死んだというのが事実で、自分はクレイを愛しただけだと答える。悩乱したダークリーはおのれの体に有刺鉄線を縛りつける。11日目、愛犬を失って悲嘆に暮れたロキシーは自殺していた。死体の脇で泣くダークリーの前に両親の亡霊が現れて彼に「罪を犯したものを罰せ」とそそのかす。ダークリーはクレイともみあいになり、キャリーは彼の体に食い込んだ有刺鉄線をみて驚き怖れ、出ていってと叫ぶ。ジュードはダークリーを追いかけ、一緒に森を出ようと誘うが、熱に浮かされた彼は聞いていない。そして第12日目、最後の夜。全身を真紅に染め上げた狂気のダークリーは、大鉈を振りかざしてキャリーに襲いかかる。制止しようとしたクレイは傷つき倒れる。燃え上がる小屋の中、ダークリーはキャリーを追い詰めるが、「愛してるのよ」という彼女の言葉に立ちすくむ。駆けつけたジュードはそのダークリーの胸を撃ち抜いた。翌朝。キャリーはジュードと傷ついたクレイを連れて、ダークリーとともに完全に焼け落ちた小屋を後にした。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フィリップ・リドリー
- 脚本
- フィリップ・リドリー
- 製作総指揮
- ジム・ビーチ
- レイ・バーディス
- 製作
- フランク・ヘンシュケ
- ドミニク・アンシアーノ
- アラン・ケイツマン
- 撮影
- ジョン・ド・ボルマン
- 美術
- ユベール・プイユ
- 音楽
- ニック・ビキャット
- 編集
- レスリー・ヒーリー
- 衣装デザイン
- アンヌ・バーホーベン
- ガービ・ビンダー
- 字幕
- 伊藤美穂