青春祭
解説
十年の文革の挫折のなかから、新たな生き方を模索する生き方を描く。張曼菱(チョウ・マンリン)の小説『有一個美麗的地方』(ある美しい地方)の映画化で、監督・脚本は張暖忻(チョン・ヌァンシン)。撮影は穆徳遠ほか、美術は李勇新と王硯縉、音楽は劉索拉と瞿小松が担当。出演は李鳳緒、馮遠征ほか。
1985年製作/中国
原題または英題:青春祭
ストーリー
17歳の少女李純(李鳳緒)は文革のあおりを受けて中国西南部雲南省にあるタイ族の村に下放した。そこで彼女は暖かく迎えられた。初めは新しい環境にとまどっていた李純だが、次第に村の生活に慣れ、生活にとけ込んだ。堅苦しく、くすんだ色の人民服、都会では革命のシンボルであったその服を脱ぎ、色どり鮮やかなタイ族の民族衣裳を着る。耳飾りをつけ水くみをし、川で泳ぎ、農作業をし、全てがタイ族の娘と同じ毎日を送る。ある時、隣村に下放している青年任佳(馮遠征)と偶然知り合い、彼の考え方、生き方に魅かれた。二人は恋するようになるが、タイ族の青年大哥も李純に思いを寄せていた。収穫祭の夜、大哥は胸の内を打ちあけ、任佳と喧嘩を始める。この事が村中に知れわたると、李純はこの村で暮らしてゆけず、余儀なく村を出る決心を固め、別な山村で小学校の教員を勤めた。数年後、李純は都会に戻り大学に入学した。そして再びあのタイ族の村を訪れたが、そこには荒涼として大地が広がるだけであった。ある年山津波がこの村を襲い、任佳も村の人々も土砂に呑み込まれ、あとかたもなく消えていたのだった。