素晴らしき戦争

劇場公開日:

解説

替え歌でつづられた反戦ミュージカル。俳優として知られたリチャード・アッテンボローの監督第1作。製作はブライアン・ダフィーとリチャード・アッテンボロー。コンテニュィティをアン・スキナーが担当。撮影はゲリー・ターピン、音楽監督はアルフレッド・ラルストン、美術はハリー・ホワイト、振付はエレナー・フェイザン、衣裳デザインはアンソニー・メンデルソン、編集はケヴィン・コナーがそれぞれ担当。出演はローレンス・オリヴィエ、ラルフ・リチャードソン、ジョン・ギールグッド、ジョン・ミルズ、ケネス・モア、ジャック・ホーキンス、コリン・レッドグレーヴ、ポール・シェリー、モーリス・ローヴス、コーリン・ファレル、マルカム・マックフィー、ウェンデル・アルナット、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ダーク・ボガードなどの他、多数ゲスト出演。テクニカラー、パナビジョン。1969年作品。

1969年製作/イギリス
原題または英題:OH, What a Lovely War
配給:パラマウント
劇場公開日:1970年10月

ストーリー

1914年初頭の欧州。ドイツと同盟したオーストリアと、フランス、ロシアの後楯をもつ小国セルビアとの間は一触即発の状態にあった。そして、オーストリア皇太子暗殺を契機として、同国外相のベルトルート(ジョン・ギールグッド)はフランツ・ヨセフ皇帝(ジャック・ホーキンス)の署名した宣戦布告書を、セルビアにつきつけ、ついでドイツのカイゼル(ケネス・モア)はベルギーに侵入し、イタリアと同盟を結んだ。そこで、グレイ外相(ラルフ・リチャードソン)の外交手腕で、中立を守っていたイギリスも、連合国側として参戦をよぎなくされた。ここに1919年4年7月、第一次大戦の幕はおとされた。志願兵制度だったイギリスは、ヘイグ将軍(ジョン・ミルズ)の指揮のもと徴兵運動が展開された。その熱狂の渦にまかれ、スミス家の若者ハリー(コリン・ファレル)が募兵に応じ、ベルギー戦線に出兵していった。しかし、現実の戦況は、国民の祭り気分とうらはらに連合国側に不利で、英国派遣軍総司令官フレンチ元帥(ローレンス・オリヴィエ)は、積極的態勢をとろうとしなかった。こうした中で、スミス家から2人目の兵隊としてジャック(ポール・シェリー)が、妻フロー(ウェンデル・アルナット)と娘を残し,戦場へ消えて行った。そして、ハリーが負傷して前線から送りかえされてきた。こうした空気は、イギリスの上流社会にも影響し、豪奢ゃな雰囲気はしだいになくなってきたが、この機にひと儲けを企むスティーブン(ダーク・ボガード)のような実業家もいた。一方スミス家では、戦局のエスカレートにともない、フレディ(マルカム・マックフィー)、ジョージ(モーリス・ローヴス)、バーティ(コリン・レッドグレーヴ)、傷の癒えたハリーらが、続々と戦場へかりたてられていった。しかし、戦線の血みどろの戦いをよそに、英国軍上層部では、醜い勢力争いが展開され、最高司令官となったヘイグ将軍は、自らの栄光に目がくらみ、狂ったように突撃命令を下した。このころ、ジョージ軍曹の分隊は、味方の砲弾をうけ、赤いケシの花とともに戦場に散ってしまっていた。ようやく反戦の気運が芽生え始めた国内では、バンクハースト夫人(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)らが、街頭演説をしたり、反戦歌が歌われるようになった。それにもかかわらず、その後も戦場での死傷者はつきることを知らず増大し、スミス家の男たちは、全員戦死してしまった。一面の緑の中、赤いケシの花をつみながら、夫を、父を、息子を失ったスミス家の女たちが歩いている。その周囲には無限の広がりをみせ、無名戦士の白い墓がつづき、どこからともなく男たちの歌声が聞こえ始めるのだった。(パラマウント配給*2 時間15分)

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5「ジーザス・クライスト・スーパースター」と同じ、舞台ミュージカルを超えた作品では…

2021年10月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド」
を観た関連で第一次大戦物として
「西部戦線異状なし」「1917」に続いて
再鑑賞。

昔むかし、初鑑賞した直後の記憶としては、
大脱走でビッグXを演じたアッテンボローの
監督作品であること、
ミュージカルであること、
ラストが膨大な数の白い十字架の墓標の
場面だったこと位しか覚えてはいなく、
そのラストシーン以外の印象は薄く
名作とのイメージは無かった。

しかし、再鑑賞で私の評価は一変した。
この作品の素晴らしさは、
描かれる反戦思想描写が、
多分に舞台でのものがベースに
なっていると思われるものの、
映画ならでは特性を駆使して、
舞台では無かったであろう、
場面転換の装置にした遊園地の扱いや、
赤い花を死のモチーフに使う手法が巧みで、
この作品におけるストーリー展開上の
優れた要素にしていると感じた。

数多くの優れた反戦要素が
散りばめられていたが、中でも、
戦争の優劣を失われた人命の数で把握する
軍隊上層部の描写や
宗教までが戦争を後押しする場面などが、
白い十字架に埋め尽くされた
草原のラストシーンと共に印象に残った。

そして、現実はこの膨大な数の十字架の
何十倍の犠牲者を生んだことを想像すると、
戦争の悲惨さを更に思い知らされる名シーン
として改めて記憶された。

映画が名作になるかどうかの一つの要素に、
製作意図貫徹への強い意思が必要だろうが、
「1917」では感じ取れなかった
各エピソードの本旨への集約性が、
この作品では全てが本旨と結び付いており、
これは脚本の出来の違いもあるだろうが、
監督としての意思と能力の差でもある
と感じると共に、
世界大戦を知っている世代と
経験していない世代の差でもあるのかなと
想像もしてみた。

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KENZO一級建築士事務所

4.5戦争ミュージカル映画。戦争映画でミュージカルなんて異色!第一次世界...

2020年5月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

戦争ミュージカル映画。戦争映画でミュージカルなんて異色!第一次世界大戦をミュージカルで表現した反戦映画。死を表す赤いケシの花とラストの白い十字架が並ぶ姿がとても印象に残った。戦争の阿保らしさと"前線"に立つ者以外の戦争に対するイメージの違いに観ていて第二次世界大戦の時の日本のマスコミで嘘情報を流す日本の姿が重なった。戦争の阿保らしさを直接的に人間が殺されたりするような悲惨さを描くのではなく、軽快な音楽に乗せて戦争を皮肉る演出は本当に秀逸な作品だと感じた。

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あかねちん