親愛なる日記

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解説

現代イタリア映画界の才人監督、ナンニ・モレッティが個人的な日記に寄せて、3部構成でイタリアの今を浮き彫りにするシネ・エッセイ。76年の長編第1作『自立人間』(日本未公開)以来、「青春のくずや~おはらい」「監督ミケーレの黄金の夢」「僕のビアンカ」「赤いシュート」と、常に自作自演で“ミケーレ”という名の主人公を演じてきたモレッティが、初めて自分自身として登場している。作中にある通り、生死の間を彷徨した経験ののちに作られたが、従来以上の深みとそれを超克したかのような楽天的な姿勢が感動的。監督・脚本はモレッティ、製作はサケール・フィルムを共同で主宰する盟友のアンジェロ・バルバガッロ。見事な野外撮影を展開したのは「ノスタルジア」「グッドモーニング・バビロン!」の名手ジュゼッペ・ランチ アンジェロ・バルバガッロ。音楽は「赤いシュート」に次いで監督とは2作目となるニコラ・ピオヴァーニがスコアを書き、アンジェリック・キジョの『バトンガ』、レナード・コーエンの『アイム・ユア・マン』、ハレドの『ディディア』、そしてキース・ジャレットの名演『ケルン・コンサート』の挿入曲が効果的。共演は「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールスと夫の映画監督アレクサンダー・ロックウェル、「フィオリーレ 花月の伝説」のレナート・カルペンティエリほか。94年カンヌ国際映画祭最優秀監督賞、94年ヨーロッパ映画賞最優秀作品賞、94年『カイエ・デュ・シネマ』誌ベストワンを受賞。

1993年製作/イタリア・フランス合作
原題:Caro Diario
配給:フランス映画社

ストーリー

〈第1章・ヴェスパに乗って〉8月のローマをナンニ・モレッティ(本人)が、ヴェスパに乗って軽快に走る。夏枯れの映画館でイタリア映画を観るが、登場人物の陳腐なセリフに憤慨し、「君たちは勝手に年をとれ。僕はきちんと叫んで、今は栄光の四十男さ」と叫ぶ。古い庶民的な地区で家や町並みを眺めるのは好きだが、ローマ郊外の振興住宅地のこぎれいさには少々嫌気がさす。通りすがりに、なんと憧れのジェニファー・ビールス(本人)と夫のアレクサンダー・ロックウェル(本人)に遭遇。ナンニは彼女主演の「フラッシュダンス」で人生が変わったほどの大ファンだが、相手にされない。殺人鬼映画「ヘンリー」を観るが、観るに耐えない。これを絶賛した批評家が眠りにつく前に、目の前でその評を朗読してやると批評家は泣きだした。その後75年に映画監督ピエル・パオロ・バゾリーニが殺害された現場を訪ねる。 〈第2章・島めぐり〉脚本に打ち込むため、旧友ジェラルド(レナート・カルペンティエリ)が『ユリシーズ』の研究をしているリーパリ島を訪ねるが、島は交通量が多く喧騒で仕事にならない。2人はもっと静かなサリーナ島に行くが、ジェラルドは船内で30年前に観ることをやめたはずのテレビをついうっかり観てしまい、アメリカのテレビドラマの続きが気になって仕方なくなる。サリーナ島は一人っ子が多く、電話の取り次ぎもままならない。若者たちの観光名所パナレーア島は避けてロッセリーニの「ストロンボリ」の舞台となった火山の島、ストロンボリ島へ。ジェラルドのテレビ病は嵩じ、ナンニにアメリカ人観光客へドラマの続きを聞いてくれるようせがむ。ストロンボリ再興を願う村長に見送られながら、彼らは静謐なアリクーディ島へ。だがジェラルドは、テレビを求めて電気もない島から逃げ出す。 〈第3章・医者めぐり〉原因不明の激しいかゆみに教われたナンニは、評判の皮膚科病院で診察を受け、薬を飲み続けたが一向に治らない。皮膚学会のプリンスと呼ばれる人をはじめ様々な医者に診てもらうが、皆、診断が異なっていた。様々な治療法を試してみても無駄で、とうとう精密検査で肺ガンだと宣告される。手術を受けるが、執刀した医師は、これはホジキン(薬で治る程度のガン)だとあっさり言った。快復したナンニは、「食事前に水を一杯飲むのは悪くない」と、うまそうに朝の水を飲み干す。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第47回 カンヌ国際映画祭(1994年)

受賞

コンペティション部門
監督賞 ナンニ・モレッティ

出品

コンペティション部門
出品作品 ナンニ・モレッティ
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