祝祭
劇場公開日:1997年4月26日
解説
老母の葬式の喪主となった流行作家と、彼が体験する昔ながらの式次第で行われる葬儀の進行を見つめ、集まった人々の人間模様を描いたドラマ。「風の丘を越えて~西便制」の韓国映画界を代表する名匠イム・グォンテク。製作は韓国の名プロデューサーで、監督とは「ハラギャティ」(89)以来コンビを組むイ・テウォン。脚本は「風の丘を越えて」で知られる作家イ・チョンジュンが実体験を基に書いた原作を基にユク・サンヒョが執筆。音楽は「風の丘を越えて」のキム・スチョル。主演は「眠る男」などの韓国映画界のトップスター、アン・ソンギで、監督とは「曼陀羅」(81)などで組んでいる。共演は「風の丘を越えて」でヒロインをつとめたオ・ジョンヘほか。
1996年製作/102分/韓国
原題または英題:祝祭
配給:シネカノン
劇場公開日:1997年4月26日
ストーリー
韓国は中道地方の田舎町。人気作家ジュンソプ(アン・ソンギ)は、この5年間痴呆症が進んでいた87歳の老母(ハン・ウンジン)が急死したという連絡を受けて妻と娘を伴い帰省した。親戚一同が集まった前で、母は突然意識を取り戻して家族を混乱させるが、翌朝静かに亡くなった。3日に及ぶ葬式がはじまる。ジュンソプは喪主となるが、老母の介護を義姉任せにしてきたせいもあって肩身が狭く、流行作家である自分へのやっかみも感じて気が思い。そこへ現れたのが取材と称してやってきた文芸誌編集者ヘリム(チョン・キョンスン)と、13年前家出したきり音信普通不通だったトラブルメイカーの姪ヨンスン(オ・ジョンヘ)。ヨンスンはジュンソプの深酒で死んだ兄と愛人の娘で、ジュンソプの家に引き取られてから継母や異母姉たちといざこざを起こしていたが、祖母であるジュンソプの母だけには優しくしてもらっていた。親戚と喧嘩をはじめたヨンスンにヘリムが近づく。ジュンソプは自分の家族について書いた小説で名を挙げたのだが、ヨンスンの存在は小説に出てこないことに興味をひかれたのだ。今は水商売暮らしで慣れた酒を飲みながら、ヘリムに昔話をするヨンスン。その晩、ヘリムは棺をかつぐ人手で呼ばれたジュンソプの友人の編集者たちと合流、酔い潰れた。翌日。昔ながらの儀式で葬儀は進む。ヨンスンだけはひとり派手な喪服だ。ジュンソプと深い仲らしいヘリムはインタビューや写真撮影と走り回るが、彼の妻は不機嫌だ。親族からジュンソプのことで嫌味を言われるのも彼女なのだ。ジュンソプが有名人であるため、同業者はもちろん、政治家や銀行家、若いファンまでがやってくる。参列者にはごちそうがふるまわれ、酒が入った彼らの中には歌い踊ったあげく、ギャンブルまではじめて宴会気分の者も。葬式の名物である歌手の老人は酔い潰れ、代役に立った近所のセマルもろれつがあやしい。大騒動の夜が更けてゆく……。3日目。多くの男たちにかつがれた棺が墓地に運ばれる。遺族は短い杖をついて後を追う。老母は土に埋められた。ジュンソプが母の存命中に出そうとした童話の見本がちょうど届いた。ヘリムはヨンスンにその本を渡し、ジュンソプが実はその童話の中でヨンスンについて書いていることを教える。葬儀は終わった。親戚一同の写真撮影。ヨンスンも呼ばれ、真ん中に入れてもらった。シャッターを押すヘリムの冗談に一同が笑う。