邪魔者は殺せ

劇場公開日:

解説

「第三の男」「堕ちた偶像」並びに「最後の突撃」のキャロル・リードが製作・監督した一九四七年度作品。脚本はF・L・グリーンの小説から、原作者自身と「四重奏」「純愛の誓い」のR・C・シェリフが共同で執筆した。「ヘンリー五世(1945)」「逢びき」のロバート・クラスカーが撮影、「最後の突撃」のウィリアム・オルウィンが作曲、「ヘンリー五世(1945)」ロジャー・ファースが美術を夫々担当し、主演は「霧の夜の戦慄(1947)」のジェームズ・メイソンと新人キャスリーン・ライアン(映画第一回)で、「幸福なる種族」のロバート・ニュートン、「船団最後の日」のロバート・ビーティ、F・J・マッコーミック、「誘惑の港」のウィリアム・ハートネル、「青い珊瑚礁」のシリル・キューサック、「夜霧の都」のフェイ・コンプトン、W・G・フェイ、デニス・オデァ、ダン・オハーリー等が共演する。

1947年製作/117分/イギリス
原題または英題:Odd Man Out
配給:英協=NCC
劇場公開日:1951年8月28日

ストーリー

北アイルランドの一都会、冬の日のことである。ジョニィ(ジェームズ・メイソン)はある政治結社のこの市に於る首領をつとめる理想家肌の男、銃器密輸の罪で服役中逃走したお尋ね者で、彼に愛情を捧げているキャスリーン(キャスリーン・ライアン)の家に、腹心の部下デニス(ロバート・ビーティ)と共に身を潜めていたが、ジョニィは自分の情熱のすべてをその結社の活動に注ぎ、キャスリーンの深い愛に気附かなかった。この日、四時、ジョニィは三人の仲間と結社の資金獲得の為リンネル工場の襲撃に赴き、金の強奪には成功したが工場の会計係を射殺し、自分も重傷を負い車にしがみついて逃走しようとして振り落され、部下だけが逃走した。彼は防空壕に身を隠し暗くなるのを待つうちに雨が降り出した。警察では懸賞金をかけ全力を挙げて厳しい追求を始めた。多量の出血に苦しむジョニイは暗い雨の街に隠れ場所を求めてよろめき歩き、何とかキャスリーンとも連絡をつけようとした。キャスリーンも、あらゆる階層の人々と懇意なトム神父(W・G・フェイ)の許を訪れ、事情を打明けて連絡を依頼した。ジョニィはその頃フェンシイ(ウィリアム・ハートネル)の酒場にたどり着いて、奇妙な人々に出会った。一人はシェル(F・J・マッコーミック)と云う暗黒街の片隅に生きる老人で、トム神父と連絡してジョニィを隠れ家に帰えそうと努めて呉れた。もう一人画家のルウキィ(ロバート・ニュウトン)は瀕死の人物を描くことを念願とする男で、息も絶えだえのジョニイこそ彼の求めるイメージだったので、自分のアトリエに連れモデル台に坐らせた。意識不明のジョニィはそこで医師くずれのトバーの手当を受けた後、また夜の街にさ迷い出た。雨はいつか雪に変っていた。連絡によりジョニィを待っていたキャスリーンは彼を逃亡させるため、共にドックへ向った。が、すべては遅過ぎ警官隊の追跡は真近かに迫っていた鉄柵に追い詰められた二人は、警官の銃弾に雪を血に染めて倒れた。時計は十二時を告げ、かくして丁度八時間の出来事は終った。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

5.0夜に強いキャロル・リード監督‼️

2023年8月2日
スマートフォンから投稿

泣ける

悲しい

興奮

「第三の男」で有名なキャロル・リード監督の作品で、私としては「第三の男」と同じくらい大好きな作品です‼️ 一人の革命家が資金調達のため工場を襲い、逃げようとして肩に弾丸を受け、街の中を傷つきながらさまよう・・・。主人公が人手から人手へと渡されていくうちに、眼前で様々な人生模様が繰り広げられ、そのドラマを見つめるジェームズ・メイスンの眼‼️眼‼️ケガして口をきけないため無言の表情だけで表現するジェームズ・メイスンの素晴らしい演技‼️物語も昼に始まり、夜から未明にかけて終わるわけですが、「第三の男」と同じく光と影の美しい映像、加えて雨が降る夜の街の寂しさから、ラストは雪に変わって悲痛なラストシーンへ‼️天候の変化の巧みな活かし方も素晴らしいですよね‼️このラストシーンも「第三の男」と並ぶ‼️あまりにも美しく劇的すぎる名場面‼️

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活動写真愛好家

3.5リードタッチ

2021年7月30日
PCから投稿

少し粗削りなThird Manです。 モノクロの陰影、画面の角度、感情ゼロの演出、ああ、あの人ねってわかり易い監督です。

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越後屋

4.0リードの傑作

2020年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

ジェームス・メイスンが若い。ロバート・クラスカーのカメラワークが素晴らしい。構図の美しさが際立つ。話の展開も澱みなく最後まで緊迫感を維持して突き進む。メイスンの演技も素晴らしい。

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Gustav

4.0良作

2019年3月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 なにしろ8か月投獄されていて、脱獄したジョニー・マックィーン(メイソン)。工場を襲うときもめまいがしていたようで、映像が斜めになったり白いフィルターがかかったような映像の工夫があった。仲間の車に乗ろうとしたのに、運転手が乱暴だったため、振り落とされて一人逃げるはめになった。ジョニーを見捨てた仲間たちも反省して、彼を救う方向に動くのだが、2人は警官に射殺される。  信頼できる仲間デニス(ロバート・ビーティ)は真剣にジョニーを探す。見つけたとき、デニスは左手を撃たれたジョニーのふりをするため包帯を巻いて、囮となって警察を混乱させる作戦に出た。しばらくして、デニスはあっけなく捕まる・・・なかなかのキャラだったのに。  その後はフラフラになりながら彷徨うジョニー。車にはねられそうになり、婦人たちに助けられたり、辻馬車に偶然乗り込んだり、パブに入って閉じ込められたり・・・そして、トム神父や鳥好きのシェル(F.J.マコーミック)や売れない画家ルーキー(ニュートン)といった個性的なキャラが増えてくる。  もう死にそうなほどのジョニー。心配するキャスリーン(ライアン)は彼を見つけたら、心中する覚悟。懸賞金をもらいたいシェル。生と死をさまよう人間の目を描きたいルーキーと、それぞれの思いが交錯する。やがて、ジョニーを見つけたキャスリーンは心中するつもりで銃を手に持つが、警官隊に射殺される・・・  カットバックやモンタージュといった編集技法が発揮され、朦朧とするジョニーの視点も見事に描いていた。そうしたテクニック以外でも、ジョニーに対する市井の人々の対処の仕方がみんな違うところも面白い。

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kossy