ジャバーウォッキー

劇場公開日:

ジャバーウォッキー

解説

「未来世紀ブラジル」などで知られる鬼才テリー・ギリアムが1977年に手がけた単独長編監督デビュー作で、ルイス・キャロルのナンセンス詩をモチーフにした冒険ファンタジーコメディ。ギリアム監督も所属したイギリスのコメディ集団「モンティ・パイソン」のメンバーであるマイケル・ペイリンが主演を務め、中世の王国を舞台に怪獣退治に巻き込まれた青年の奮闘を、ブラックユーモアを散りばめながら描き出す。村娘に片思いする純朴な青年デニスは、樽職人だった父の死をきっかけに、仕事を求めて旅に出る。一方、王国を治めるブルーノ王は凶暴な怪獣に悩まされており、強い騎士を探すためトーナメント大会を開催することに。王国にたどり着いたデニスもトーナメントに参加するはめに……。2022年7月、シネマート新宿ほかにて4Kレストア版をリバイバル公開。

1977年製作/106分/G/イギリス
原題または英題:Jabberwocky
配給:アンプラグド
劇場公開日:2022年7月1日

その他の公開日:1980年8月6日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.5単独初監督の時点で反骨のビジュアリスト=ギリアム節が全開!

2022年7月30日
PCから投稿

デビュー作にはその監督のすべてがある、と言うが(実際には常にそうでもないとは思う)、テリー・ギリアムの場合はほぼほぼ当たっている。中世への憧憬と映像への偏執的なこだわり、既製のものを打ち壊そうとするアグレッシブさと権力を笑いのめそうとする反骨精神。そして手作りのあたたかみを重視するクラフトマンシップ。厳密にはギリアムの初監督作は『モンティ・パイソン ホーリー・グレイル』(テリー・ジョーンズと共同)であり、『ホーリー・グレイル』の映像の美しさも素晴らしいのだが、作品全体から作家の個性が溢れ出すという点で、『ジャバーウォッキー』はたしかに映画作家ギリアムの第一歩だろう。

一方でモンティ・パイソンを引きずっているようにも思うのは、観客の共感など一切気にしない全編を覆う皮肉な笑い。夢を許さない現実と葛藤する個人を描くのがギリアムの作家性だと思っているが、この時点では「めでたしめでたし」で終わるおとぎ話の雛形はそのままに、ブラックな悲喜劇に仕立てている。逆に言えば、ストーリー的なエモーションを排除していることで、最もピュアにビジュアリストとしてのギリアムの才能を味わえる作品といえるかも知れない。

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村山章

4.0ギリアムのソロ監督デビュー作に4Kで触れられる喜び

2022年6月30日
PCから投稿

ギリアムが77年に製作した記念すべきソロ監督デビュー作である。「鏡の国のアリス」に登場するナンセンス詩にインスピレーションを受けて構想が膨らんだらしいが、物語そのものは「アリス」とはなんら関係がない。マイケル・ペイリン演じる桶屋のせがれが、王国を揺るがす凶悪な怪獣退治へと巻き込まれていく、というあらすじを聞くだけで、お馴染みのギリアム・テイストが目に浮かんでくるかのよう。当時のギリアムは30代後半だが、すでに映像は奇想天外に彩られ、怪獣との対決シーンや、そこに至るまでのまるで螺旋階段を永遠と上り下りするかの様な不条理な語り口にも確たる個性と持ち味が刻まれている。唯一、”笑い”と”ストーリー”との兼ね合いで苦労する面が窺えるものの、それも今こうして見ると新鮮だ。彼がいかにパイソンズ的なものを克服し、独自色を開花させようとしたのか、その奮闘ぶりが伺えファンには非常にたまらない伝説の一作である。

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牛津厚信

5.0ブリューゲルの『バベルの塔』をインスパイア。 鳥肌もの。 2024...

2024年9月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 2件)
When I am 75♥️

3.5このあとの『バンデットQ』(1981)『バロン』(1988)につながるスタイルやブラックユーモアの片鱗が見受けられましたね。

2024年8月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

目黒シネマさん「~テリー・ギリアム傑作選~」(2024年8月11日~17日)にて初期作『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(1975)『ジャバーウォッキー』(1977)、中期作『フィッシャー・キング』(1991)3本鑑賞。

“コメディ界のビートルズ”「モンティ・パイソン」は、今から半世紀前、東京12チャンネル(現:テレビ東京)でタモリさんもテレビ初出演したギャク番組『空飛ぶモンティ・パイソン』を観た記憶が薄っすらとありますが、幼心に「8時だョ!全員集合」とは違う英国のシュールな笑いが理解できず、ずっと食わず嫌い…。
今回の特集上映で初トライ。
因みにギリアム監督は英国人ではなく生粋のアメリカ人。
社会人になってから渡英したようで長く誤解をしておりました。

『ジャバーウォッキー』(1977)
テリー・ギリアムの単独監督デビュー作。
『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(1975)に続いて舞台は中世。
怪物ジャバ―ウォッキー退治のコミカルファンタジー。ナンセンスでベタなギャグは変わりませんが、このあとの『バンデットQ』(1981)『バロン』(1988)につながるスタイルやブラックユーモアの片鱗が見受けられましたね。

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矢萩久登