死刑執行人もまた死す

劇場公開日:

解説

第2次大戦中のプラハを舞台に、ナチスに追われるレジスタンスの恐怖を描く。監督は「メトロポリス」のフリッツ・ラング、エグゼクティヴ・プロデューサーはアーノルド・プレスバーガー、原案・脚本はベルトルト・ブレヒトとラングの共同で、脚本のみでジョン・ウェクスリーが参加している。撮影はジェームズ・ウォン・ホウ、音楽はハンス・アイスラーが担当。出演はブライアン・ドンレヴィ、ウォルター・ブレナンほか。オリジナル版は120分。

1943年製作/134分/アメリカ
原題または英題:Hangman Also Die
配給:ケイブルホーグ
劇場公開日:1987年12月19日

ストーリー

第二次大戦中、ドイツ占領下のプラハで“死刑執行人”とあだ名されるナチの総督が暗殺された。マーシャ・ノヴォトニー(アンナ・リー)は怪しげな男を目撃したが追ってきたナチには別の方向へ逃げたと証言した。その夜、ゲシュタポに追われる犯人の医師フランツ・スヴォボダ(ブライアン・ドンレヴィ)はマーシャ一家が住むアパートに身を隠した。マーシャは教授の父(ウォルター・ブレナン)、母(ナナ・ブリアント)、弟のボタ(ビリー・ロイ)と住んでいて、ヤン・ホレック(デニス・オキーフ)というフィアンセがいた。ゲシュタポは対抗措置として市民の逮捕・連行をはじめ、教授を連れ去った。そしてチャカ(ジーン・ロックハート)という男を収容所の市民たちの間にまぎれ込ませ情報を取ろうとした。マーシャは父の件でスヴォボダに自首するように頼みに行くが断られる。意を決したマーシャはゲシュタポ本部に向かうが、途中でレジタンスや市民に妨害を受け罵られる。鎮圧に来たゲシュタポに連れられて本部に来たマーシャだったが、通報せず父の無実を訴えた。その言動にゲシュタポは不審を抱く。ゲシュタポは見せしめに、連行した市民たちを毎日3人ずつ処刑しはじめる。連行者のリスト作成に協力したのはチャカであった。やがてレジスタンスの重要メンバーがレストランに集まる日が来た。そこにゲシュタポが乱入、メンバーを殺害するなどしたもののリーダーのデディッチはとり逃した。ゲシュタポはただちに日頃マークしていたスヴォボダの家に捜査に向かった。負傷したリーダーを匿っていたスヴォボダはマーシャとの情事の最中を装い追求をかわすが、主任、グリューバー(アレクサンダー・グラナッハ)は現場にホレックを連れてきてくる。翌日、マーシャとスヴォボダはレストランに行く。彼女はそこでナチの地区司令官暗殺の犯人はチャカだと告発し、ナチは彼を連行する。チャカはレストランで食事をしていたと証言、だがレストランの人々は彼はいなかったという。他にもチャカのアリバイを崩す証言が次々と出てくるのだった。チャカのアリバイはグリューバーが握っていた。その頃ホレックの部屋に居座っていたグリューバーはスヴォボダはマーシャの偽証に気づく。阻止しようとしたホレックを打ち倒しグリューバーはスヴォボダの勤める病院に向かう。そこでグリューバーはスヴォボダに殺される。ホレックによりグリューバーがチャカの家に向かったと通報を受けたナチは、チャカの家に捜査に出向く。否定するチャカを余所に彼の執事は確かにグリューバーが訪れたと証言する。そして書斎からは総督暗殺に使われた拳銃が、地下室からはグリューバーの死体が発見されるのだった。二重スパイとして連行されたチャカをナチは街中で釈放しその場で射殺する。チャカを暗殺犯に仕立て上げるプラハ市民たちの作戦は成功したが、ノヴォトニー教授を含め多くの連行者は結局処刑されてしまった。そしてベルリンからは、ナチの威信のためにチャカを犯人にするようにという指令がプラハ占領本部に届くのであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第16回 アカデミー賞(1944年)

ノミネート

作曲賞(ドラマ/コメディ) ハンス・アイスラー
音響録音賞  
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映画レビュー

3.5自由の有り難さ

2024年12月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

ドイツのヒットラーはなぜここまで自由を奪い、死に至らめしたのか、ゲシュタポの徹底的な捜査など、人権なんて無視してすぐにしよっ引く。戦争の恐ろしさは人が人を支配する事で起きる、その無感覚さなのかと。簡単に人を始末出来るなんて、それが常態化すれば人は仕事のごとく裁いてていくのだろうか。

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koko

3.5ハイドリヒ

2024年11月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

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ゆい

4.0再度の鑑賞で、史実から離れた希望の抵抗物語に心を奪われ…

2024年9月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

フリッツ・ラングは「メトロポリス」
で有名な監督だが、
これまで他の監督作品を鑑賞することは
無かった。
しかし、ルイス・ギルバート監督の
「暁の七人」という、
ヒトラーに次ぐナチスの実力者と言われた
ハイドリヒ暗殺を描いた作品を観た関連で、
同じ事件を扱ったこの映画を続けて鑑賞。

しかし、「暁…」がハイドリヒ事件の
暗殺チームの悲劇を史実に即して
描いたのに対し、
当作品は史実からは離れ、
大戦最中の作品でもあったためだろうが、
チェコ国民の抵抗心とプラハ地下組織の
反ナチレジスタンスを賛歌するような
内容に思えた。

そして、もう一つのテーマのように見える
プラハ市民のゲシュタポへの反応や
青果店夫人の対応などを目の当たりにして
目覚める教授の娘の成長譚的要素に
関連して、
彼女が父である教授を助けまいと奮闘するも
間に合わず父は銃殺されてしまう展開には、
当時のプラハ市民の悲劇へ寄り添う
制作スタッフ側の姿勢も表れていたようにも
感じた。

正直なところ、1回目に観た時には
字幕スーパーが見づらいこともあり、
各人間関係が良く分からなかったので、
この作品が充分に理解出来なかった。
そこで、事前に登場人物のプロフィールを
掴んでの再鑑賞に。
そして、
良く練られた脚本と、
史実から離れてでも描こうとした
不正な支配への
希望の抵抗物語に心を奪われた。
もっとも、教授の
“侵略者を追い出し…
民衆が主人公になる国に…
私を思い出すなら…
自由のために戦った者として思い出せ”
と語る感動的な遺言にも関わらず、
その後長きに渡り、
国がソ連支配下の社会主義国家として
不自由な国になってしまったのは、
制作者側も読み切れなかった
歴史上の皮肉ではあったろうか。

この後、ラング作品としては、
「M」と「恐怖省」を鑑賞する予定だが、
ラング監督がこれらでどんな希望を
伝えてくれるかが楽しみになった。

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KENZO一級建築士事務所

4.5さて、その後に『プラハの春』を迎える

2023年9月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

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マサシ