市街

解説

「喝采」をものしたルーベン・マムーリアンの第2回監督作品で、探偵小説作家として売出しのダシール・ハメットが映画のために書き下ろした物語を「赤新聞」のマックス・マーシンが改作し、「テキサス無宿」「スパイ(1930)」のオリヴァー・H・P・ギャレットが脚色した。主役は「モロッコ」「戦う隊商」のゲイリー・クーパーとニューヨークシアター・キルド出身の舞台女優シルヴィア・シドニーが演じ、「愛する権利(1930)」のポール・ルーカス、「略奪者」のウィリアム・ボイド、「街の紳士」のウィン・ギブソン及びガイ・キッビー、「禁酒天国」のスタンリー・フィールズ等の腕利き連が助演している。撮影は「モロッコ」「戦う隊商」のリーガームスの担任である。

1931年製作/アメリカ
原題または英題:City Streets

ストーリー

ナンは盛り場の射的屋の若者キッドに首ったけだった。ナンの養父クーリー親爺はビール密造者の大親分マスカルの子分だったので、ナンはキッドに仲間に入るように勧めたがキッドは承知しなかった。その夜の12時に2人は密会する約束をした。ところがマスカルは子分ブラッキーの情婦アグネスを手に入れるのに邪魔なブラッキーを殺す役目をクーリーに言いつけた。クーリーは手筈通り凶器の拳銃をナンに渡して河にすてさせようとしたが、ナンは捨てる前に警官に捕らえられた。クーリーも容疑者として尋問されたがアグネスの証言とナンの沈黙のお陰で釈放され、ナンに頼まれてキッドを訪れた。キッドが射撃の名人であるのに惚れたクーリーはナンが捕らえられたこと、面会禁止になったことを告げ、警察に復讐するためにも、ビール密造者の仲間に入れと勧めた。キッドは仲間になった。ナンは刑務所に懲役の身になった。クーリーが必ず助けてやると言ったのは嘘だったことを知り、悪者仲間に義理も人情もないことを痛憤したナンは恋人キッドが仲間にならなかったことを喜んだ。ところがようやく面会許可を得て会いに来たキッドはマスカルの一味になっていることを知ってナンは驚き悲しんだ。間もなくナンは出獄した。その夜マスカルはナン歓迎の夜会を催し、ナンを手に入れようとしてキッドと衝突した。キッドはナンを連れてナンの家へ伴った。戸外ではマスカルの子分が機関銃を構えていたが、キッドは裏をかいて子分共を追い払い、ナンの止めるのもきかずマスカルを殺しにカフェーへ出掛けた。ナンは恋人を救う最後の手段としてマスカルに色好い返事を電話でしてマスカルの家へ赴いた。ナンが来るというので追い出されたアグネスは隠れてナンの拳銃でマスカルを射殺し、凶器を投げ込むと同時に鍵をかけて閉じ込め、ナンが加害者の如くに装った。ナンは親分殺しの大罪人として仲間の処刑を受けることとなった。キッドは仲間2人とナンを自動車に乗せて疾走し、彼らの度肝を抜いて降参させた。かくて2人は新生活に入るべく朝霧の中を快走して行くのである。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5悪く思うなよ‼️

2024年10月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

楽しい

興奮

幸せ

ギャング映画が大ブームだった1931年に製作された作品‼️とは言っても、ギャングの抗争を描いた作品ではなく、暗黒街には足を突っ込みそうになった青年と恋人が、その内情を知って、無事そこから脱出するお話‼️原作は「マルタの鷹」や「影なき男」のダシール・ハメットだからか、ギャング映画特有の血生臭さはなく、作品全体が知的でスマート、切れ味のいい作品になってます‼️やはりフラッシュ・バックや省略法を用いたルーベン・マムーリアン監督の演出やヒロインのシルヴィア・シドニーの魅力、そしてゲイリー・クーパーのカッコ良さ‼️特にクーパーがギャングたちに「悪く思うなよ」の捨てセリフを残し、シルヴィア・シドニーと車を走らせるラストシーンはホントにカッコいい‼️

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