さすらいの二人
解説
偶然のなり行きから、仕事と家庭を棄てて他人になりきろうとしたテレビ・レポーターの行動を描く。製作総指揮はアレッサンドロ・フォン・ノルマン、製作はカルロ・ポンティ、監督は「砂丘」のミケランジェロ・アントニオーニ、原案はマーク・ペプロー、脚本はペプローとアントニオーニの共同、撮影はルチアーノ・トヴォリ、音楽はイワン・バンドール、編集はフランコ・アルカーリとアントニオーニの共同。出演はジャック・ニコルソン、マリア・シュナイダー、ジェニー・ラナクレー、イアン・ヘンドリー、チャック・マルベヒル、スティーヴン・バーコフなど。
1974年製作/アメリカ
原題または英題:The Passenger
ストーリー
イギリスのトップ新聞記者であり、テレビ・レポーターのデイヴィッド・ロック(ジャック・ニコルソン)は北アフリカの砂漠にいた。彼はホテルの隣室にいた自分に瓜ふたつの男ロバートソンの死を目撃したことによって、順調に運んでいた仕事、愛する妻レーチェル(ジェニー・ラナクレー)と築いた家庭を棄てる決心をした。今までのすべてを棄て、新しい人生、つまりロバートソンの人生を生きようと決めたのだ。ロバートソンの死体を自分の部屋に運び、パスポートの写真を貼りかえると、一たんロンドンに戻ることにした。1度だけ妻に会おうと我家に向かう途中、彼はベンチでひとり本を読む不思議な女子大生(マリア・シュナイダー)に眼をとめる。家の玄関までくると、中からは死んだ自分のニュースが流されていた。妻に会うことを断念すると、ロバートソンの持っていた航空券の上に書かれてある西ドイツ・ミュンヘン空港のロッカーの番号を思い出した。何気なしにロッカーを開けると、中には分厚い書類が入っていた。手帳にはその書類を持って教会で人と会う段取りになっている。デイヴィッドは2人の男に声をかけられた。書類を渡すと、大金の入った封筒が返ってきた。ロバートソンは武器密輸商人で武器をある新興国のゲリラ組織に売っていたのだ。その頃、ロンドンではデイヴィッドの妻レーチェルが夫の死に立ち合ったと思われるロバートソンという男を思い出し、友人のテレビ・ディレクター、マーティン(イアン・ヘンドリー)にその男を捜してほしいと依頼していた。一方デイヴィッドは、ロバートソンの手帳に書かれたスケジュールに従い、スペインのバルセロナに飛んでいた。だがそこには、ロバートソンの行方を追うマーティンがいた。デイヴィッドは、街中にひっそり建つ礼拝堂に逃げ込んだ。人気のない堂内でデイヴィッドは、ロンドンで会った女子大生に会った。彼はこの不思議な女子大生を使い、マーティンに感づかれないように荷物を持ち出してほしいと頼み込んだ。それが契機となって、2人の逃避行が始まる。だが、そんな彼らの前にレーチェルが立ちはだかった。夫の死に不審を持った彼女が、送られてきた遺品の中のパスポートが夫のものでないことを見抜き、事実を確かめようとやってきたのだ。逃げるデイヴィッドと女子大生、追うレーチェルと警察、さらにゲリラ組織。郊外の辺ぴなホテルに着くと、事件にまき込ませないために途中で突き放した女子大生が待っていた。デイヴィッドは嬉しかったが、再び彼女を近くの港にいかせる。そこに1台の車が着き、ひとりがホテルに入る……。やがてパトカーがやってきて、警官とレーチェルが降りたつ。静かな部屋の中ではデイヴィッドが、あのロバートソンと同じようにあおむけになって、死んでいた……。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ミケランジェロ・アントニオーニ
- 脚本
- マーク・ペプロー
- ミケランジェロ・アントニオーニ
- 原案
- マーク・ペプロー
- 製作総指揮
- アレッサンドロ・フォン・ノルマン
- 製作
- カルロ・ポンティ
- 撮影
- ルチアーノ・トボリ
- 音楽
- イバン・バンドール
- 編集
- フランコ・アルカッリ
- 字幕
- 清水俊二
受賞歴
第28回 カンヌ国際映画祭(1975年)
出品
出品作品 | ミケランジェロ・アントニオーニ |
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