殺しの分け前 ポイント・ブランク

劇場公開日:2025年6月13日

解説・あらすじ

「脱出」「エクソシスト2」などで知られるイギリス出身の名匠ジョン・ブアマンがキャリア初期の1967年に手がけ、「特攻大作戦」「プロフェッショナル」などのハリウッドスター、リー・マービンを主演に迎えたハードボイルドアクション。リチャード・スタークの犯罪小説「悪党パーカー 人狩り」を原作に、仲間に裏切られた男が繰り広げる復讐劇を、先鋭的なヌーベルバーグ的手法とアメリカ西海岸発祥のサイケデリックカルチャーを交えながら描き出した。

親友のリースに頼まれ、アルカトラズ島刑務所の廃墟で行われる犯罪組織の取引を襲撃して大金を強奪したウォーカー。しかしリースはウォーカーを裏切って彼に銃弾を浴びせ、分け前の9万3000ドルと妻リンを奪い去ってしまう。薄れゆく意識のなか、ウォーカーの脳裏にさまざまな記憶と幻想が交錯する。一命を取りとめたウォーカーは、分け前を取り戻し、復讐を果たすべくリースの行方を追う。

冷酷非情な復讐者ウォーカーをマービンが熱演し、「リオ・ブラボー」のアンジー・ディキンソン、「ダーティハリー」のジョン・バーノンが共演。

1967年製作/92分/G/アメリカ
原題または英題:Point Blank
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2025年6月13日

その他の公開日:1968年2月10日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

2.5実験的ハードボイルドは標的を大きく外れて

2025年7月12日
iPhoneアプリから投稿

今時なぜリバイバルされたのか、よく分からない犯罪もので、当時としてはニューウェーブな作品を狙っていたのかもしれないけど、空振り感が強いです。組織の金の強奪に成功したものの、仲間と女房に裏切られ撃たれてしまう男の復讐劇で、主演はリー・マービンと来たら期待は高まるけど、脚本が穴だらけのご都合主義満載でつまらない出来でした。主人公が単身、組織の幹部を次々とやっつけるのに、敵もあんまり警戒していなくてあっさりやられ過ぎです。所々、過去のフラッシュバックやサイケな画像が挿入されたりするけど、それで主人公が苦しむわけでもなく、あまり意味が感じられませんでした。ファッションやカメラの構図もただ気取った演出のような気がします。役者では、若い頃のリー・マービンが見られたのはよかったけど、もったいない使われ方でした。

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シネマディクト

5.01967年の映画ですが、なぜか退屈するシーンは一瞬もありません。音も映像も色彩もファッションも、すべてがスタイリッシュ!

2025年7月5日
PCから投稿

以下はyoutube「Point Blank (1967) | The Documentary/The Tapes Archive」から得た情報です。

海兵隊の兵士だった若きリー・マービンは1944/6/18に南太平洋で日本軍の待ち伏せ攻撃に遭い、マシンガン掃射による瀕死の重傷を負った。247人中生存者はたった6名という激戦だった。その後PTSDに苦しみアルコールに溺れた。生き残った罪悪感と内なる葛藤が演技に影響を与えている。

MGMとの契約により、監督のジョン・ボーマンと主演リー・マービンは本作をほぼ完全なコントロール下におくことができた。

ストーリーは断片的で、非線形で、意図的に夢のようなシーンが挿入される。主人公のキャラクターは疎外され孤立無援の男であり、企業や組織のエリートと対立する一般人に設定されている。ヘイズ・コードによる脚本の検閲により、使用禁止ワードや暴力シーンを削除されたが、「成人向け推奨」でやっと製作の許可が出た。本作はヘイズ・コード廃止のきっかけの一つとなった。

当初ロケ地はサンフランシスコを予定していたが、荒涼とした冷たい映画である本作にふさわしくないという監督の意見でロスアンゼルスへ変更となった。1963年に閉鎖されたサンフランシスコのアルカトラズ刑務所で撮影された最初の映画でもある。

前の日にエラ・フィッツジェラルドと飲みすぎたため、リー・マービンが撮影初日をドタキャンした。ボーマンは激怒してホテルの部屋を破壊した。

スタントマンが海の水が冷たいと文句をいったため、リー・マービンは自分でスタントシーンも演技した。そのためリー・マービンはスタントマンのボーナス報酬をもらっている。

監督のボーマンは当初モノクロで撮ろうとしていたが考えを改め、初めてカラー映画を撮影した。色を使用して物語を語り、感情を呼び起こす革新的なアプローチを採用し、シーンごとにテーマカラーを決めた。

カーターのオフィス:緑(金を持っている)
姉リン:シルバーグレーとメタリックブルー(冷たく無菌的な死のイメージ)
妹クリス:黄色とオレンジ(暖かさ)

監督のボーマンは色彩へのこだわりについて「アンジーの髪の色をドレスと同じ色にしたいという狂気じみた考えを持っており、それを実現するために髪を3回染めさせた」と語っている。

撮影監督ラスラップはそれまでメインだった大型据え置きのミッチェルカメラではなく、小型で機動力のあるエアフレックス(Arriflex)カメラを使用した。レンズはシネマスコープと呼ばれる横長の映像を撮影するためにPanavision C シリーズanamorphic 40mmを採用した。

すべてのキャストに隠しマイクを装着した初のメジャー映画である。125個の特注ワイヤレスマイクを使用し俳優は自由に動き回れるようになった。不要な背景ノイズが大幅に減少し、自然で臨場感あふれるサウンドスケープが実現した。

ウォーカーとリースの関係は隠に同性愛を示唆している。ウォーカーは本作の中で直接殺人を犯していない。撃たれる前は黒髪、その後白髪に変わっている。金を奪わずに影の中に消えていくラストシーンからウォーカー幽霊説、ウォーカー冒頭で死亡説などの解釈がある。本作は6人の観客がいたら6通りのストーリーを語ると評された。

編集段階でMGMの上層部が介入してきたが、スーパーバイジングエディターであるマーガレット・ブースの鶴の一声で介入が阻止され監督の編集権が守られた。

ジョニー・マンデルはアルカトラズ刑務所の地下室で、何十年も放置され調子の狂ったピアノを見つけ、それに触発されてシュールで断片的なスコアを書いた。

リー・マービンの実生活上のパートナーだったミッシェル・トリオラもかつて服毒自殺を図っており、その経験がリー・マービンの演技に影響を与えた。

公開後の批評家の評判は芳しくなかった。興行収入は1967年のトップ100中32位であり、同年公開、リー・マービン主演のThe Dirty Dozenに負けた。

ブルースターのプール付きの豪邸は1966年にビートルズが滞在している。2002年にドリュー・バリモアが300万ドルで購入し、2018年に1600万ドルで売却している。

リー・マービンとジョン・ボーマンは終生友人関係にあった。リー・マービンの死後、未亡人がボーマンに形見分けをする際、ボーマンはマービンが本作で履いていた13サイズの革靴を選び、現在インディアナ大学のボーマンアーカイブに保管されている。

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jin-inu

2.5はっきり言って見づらく面白くありません。

2025年7月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

1967年の作品。50年近く前のものである。今回、初見なのだが多分、当時観たとしてもあまり面白くなかったであろう。
まずタイトル。原題は「Point Brank」で直訳だと「至近距離」となるのだろうが意味不明。クレジットされている通りベースになっている小説は「悪党パーカー 人狩り」である。ただし原作者との間で何があったのか、そもそも主人公の名前さえ「ウォーカー」に差し替えられている。
1999年のメル・ギブソン主演の「Payback」も同じく「人狩り」を原作にしているが、Paybackは自分の取り分を支払ってもらう、という意味合いなのでストーリーをなぞっているとはいえる。
因みに、パーカーものの映画化最新作はジェイソン・ステイサム主演の2013年「PARKER/パーカー」なのだがこれは「人狩り」ではなくウエストレイクのずっと後の小説「悪党パーカー地獄の分け前」を原作としている。「分け前」がたまたまタイトルで重なるのは悪党パーカーシリーズは、悪事の収益を仲間内で奪い合う話が多いからだろう。
さて本作だが、カットバッグを多用してネオ・ノワールの作品群の中で差別化しようとしているものの、ごちゃごちゃしていて見づらいだけで何ら効果は上がっていない。そして音楽がやたら喧しい。また主役のリー・マービン始め、登場人物が陰気臭く全然魅力的に描けていないこともあり、はっきり言って面白くありません。パーカーものだと先に述べたジェイソン・ステイサムのものが一番、スッキリした出来上がりですね。

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あんちゃん

4.0フラッシュバックを多用した実験的犯罪映画。アンジー・ディキンソンのタコ殴りに震えよ!

2025年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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じゃい