生きる(1952)のレビュー・感想・評価
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すばらしかった。★5か迷う。 胃癌(死)の宣告を受けて、生きること...
すばらしかった。★5か迷う。
胃癌(死)の宣告を受けて、生きることの意味を考える深い作品だったと思う。
人間、死が近いものだと実感しないと(すると)生の意味や、生まれてきた意味(使命)を考えないのかな。
喫茶店でのシーン
「死ぬまでに1日でも生きて死にたい」
「何かすることがしたい、しかしそれがわかない」
それに対して女は
「ただ働いて、食べて それだけよ!」
このシーンが印象に凄く残った。
自分もそうだな。ただ食って、寝るの繰り返し。
(生きてる意味はなんだろう??)
5ヶ月で埋め立てから、公園完成っていうのはあのお役所では早すぎる気がしたが、、、
働いて、食べる。ただそれだけ
吃音の設定なのかな。死を認識してて生きる人の持つ説得力なるものが描かれている。葬儀後の役所の様子の描写に残念ながら納得してしまう現状がある。橋の上からのラストシーンにせめてもの救いがあった。
生とは死の恐怖で着火する情熱か
30年間、部下からはミイラとあだ名をつけられ、亡骸のように市役所に勤務してきた主人公渡邊。ただただ無意味に忙しく、何もなさないことが義務であるかのようなお役所仕事の日々。意欲もなく死んでいるかのように生きている毎日。しかし受診して胃癌により寿命僅かと悟り、これまでの人生で一体何を成し遂げてきたのかと呆然とします。
作品では、無能な役人達を痛烈に批判しており、渡邊も市民の要望に向き合わない市民課長として当初はその批判の対象です。市の問題から目を逸らすのはいけませんが、寡夫として一人息子のために長年真面目に勤めてきたであろう点は全く恥じることはないと思いました。
とにかく演出が上手いです。
余命を知った渡邊がとっさに案ずるのは、男手ひとつで育ててきた光男のこと。盲腸の手術に向かう光男の汗を拭いたハンカチで自分の汗を拭く姿。成人した光男との隔たりを感じて階段でうつむく淋しい姿。父親の愛が伝わってきました。
慣れない道楽に耽り、脱け殻状態の時は瞬きひとつせず、死に取り憑かれたようなゾッとする目つき。公園事業に目標を見出してからは生き生きと輝く瞳。志村喬さんの演技に惹きつけられます。
よく笑いよく食べる小田切は天真爛漫で生命力そのものといった感じでした。「私ここには向かないわ」とそろばんでおでこをかく仕草が愛らしい(^^)
隣席で誕生日祝いの歌が流れる中で、死を認識した上で新たな「生」に目覚め、生まれ変わるかのようなシーンはさすが!とても印象的です。
うさぎのおもちゃが可愛い。
満員電車のごとくひしめき合うダンスホールにはびっくり…(・・;)
渡邊の葬儀では故人と遺族を前に言いたい放題(^^;)。職場で彼がどのように見られていたか、お役所の「煩雑極まる」縦割りの機構が露呈し、役人の本音が飛び出します。
最近の作品では、"I, Daniel Blake"が英国でのお役所事情を市民目線で批判していますが、万国共通なのでしょうか…。
実は胃癌じゃなかった、てオチも面白いなと思いましたけど…、そういうハリウッドコメディもありましたよね。
最後はまるで天国へ昇った渡邊が、完成した公園を見守っているように感じました。
死ぬことだけは皆確実に決まっているが、それがいつなのかは分からない。生きている時間を無駄にしていないかという普遍的な疑問を訴えています。業績としては横取りされてしまったかのようですが、渡邊のように公園という目に見える形で後世に何かを残せる人は幸運だと思います。小田切のように楽しい方向へ進めるのも幸せな生き方です。そんなに上手に生きられなくても、微かな影響を与え、僅かの波紋を広げ、誰かの記憶にうっすら残る、「一隅を照らす」そういう人生でも立派に生きているのだと信じたいです。
***
追記
再鑑賞したら、志村喬さんの演技の素晴らしさにまた釘付けになりました。前回の自分はちゃんと気付いていただろうか。渡邊が頭を下げる間、瞬きせずにじっと一点を見つめていることを。ドアをノックする手が小刻みに震えていることを。
評価は作品に加え、その評価者自身を表しているように思います。名作と聞いて受動的に手に取り、「わぁ、つまらん」と記憶したとします。その20年後に再鑑賞の機会が巡って来た時に、もう一度挑戦してみる人もいれば、すごくつまらなかったという記憶でパスする人もいます。勿論その逆、面白かったはずなのに、2度目はそうでもないということもあるでしょう。適切な時期に適切な作品と出会い、各作品を一番楽しめる幸運に恵まれたいと思いました。
「わしは人を憎んでなんかいられない。わしにはそんな暇はない。」
蘇州夜曲
初めて見ました!
黒澤明監督作品!
いのち短し恋せよ乙女〜♪
おもちゃの兵隊などの曲が出てきて、よくバレエ教室で小さい子が踊るような曲。
この頃からすでに日本の社会に馴染んでいた曲だったんだなと思ったのが一点。
市役所をたらい回しにされる、というのは、
今は都市伝説になっているかもしれませんが、昔の市役所の体質はあんなふうだったのかな、、と思いを馳せました。
案外、身内は家族のこと見えてないもんだなと思ったのも一つ。
死を意識して生きるから、心に残るのかなと思ったのがもう一つ。
大学の時の英語の先生で、まだ30代とかで若かったけど、心臓に持病があると仰っていました。確かにものすごく顔色が悪かった。
その先生の授業で、取り上げられたデモクラシーというテキスト、難しくてさっぱりわからなかったけど、デモクラの授業と生徒からは呼ばれていて、印象的だった。
授業中、先生が突然、感動した曲を紹介したいと、蘇州夜曲をテープで流したことがあった。
メロディーが美しいよね!と。
みんなに紹介したかった!と。
それ以来、私こ心の中には蘇州夜曲がガッツリと刻み込まれたのですが、卒業後数年たって、先生が亡くなったと聞いた。
その時に、なんとなく、やはり先生は自分の命のことをずか意識していたんじゃないかと思ったのでした。
命を意識した状態で行う行動には、気迫のようなものが詰まっていて、それは人にも必ず伝わるのかなと思います。
先生のデモクラシーや蘇州夜曲は、多分ずーと覚えてると思います。
そんなことも思いました。
黒澤明の代表作
黒澤明監督の代表作。近年は「七人の侍」がフィーチャーされ過ぎているが本作も必見の名作。1950年代前半の黒澤は神がかっていて「羅生門」「生きる」「七人の侍」を連続して産み出している。いずれも映画史上の古典的名作。
ガンで余命いくばくもないことを知ったある下級官吏が生きる意味を求めてさまよう様を描く。また家族の問題、官僚主義の問題も描かれる。
極めて根源的なテーマで重い作品だが実は映画的快楽に満ちている。観ていただければ分かるが、ストーリーテリングの巧みさ、素晴らしいモノクロの撮影、志村喬をはじめとする当時の日本映画演技陣のレベルの高さに感嘆する。また黒澤は職人的な監督だからエンターテイメントとしての映画を決して外さない。町のおかみさん達が市役所に陳情に来るシーンや主人公のお通夜のシーンはコミカルですらある。
技術的な欠点はほとんどない。セリフも怒鳴りあうシーンが少ないので聴き取れる。
昨今の御涙頂戴の感動ドラマとは全く違います。本当のドラマとはこれです。
全て想定以上!
役所に勤める男が余命幾ばくということを知り、一生懸命仕事をする・・・、という大雑把なあらすじは知っていたんですが、予想を凌ぐ展開やメッセージ性に驚きました。
癌であることを告白した人主人公に感動する、というところまでは想定どおりなんですが、あまりの変わりっぷりに周りが引いちゃってるところが、可笑しくもあり悲しく思えました。
いよいよ熱心な仕事っぷりが見られるかと思いきや、一気に死んだ主人公の葬式の日に時間が飛んでしまい、そこから役人たちの回想が続いていくと言うのは秀逸でした。彼の生き様を周囲の登場人物と我々観客が同時に理解するためには、こういう手法が一番良かったんでしょう。
オチも一種のどんでん返しで、単純な感動でもなければ、バッドエンディングとも言い切れない、終わった後に考えさせられる結末でした。
戦後間もない頃の作品なのに、行動や心理を全て見通し、それを踏まえた演出を随所に散りばめていることに、作品の内容以上にその秀逸さに感動しました。
●残された人生で何するか。
ずっと観たかった作品だが、ちょっと想像と違ってた。
余命幾ばくもないと知らされたら、自分はどうするだろうか。
知らされなくても、いつかは死ぬのだけれど。
このへんのプロセスの描写はバッサリだ。黒澤明の潔さ。
当時の文化、役所体質の描写が興味深い。コミカルでよい。
いのち短し、恋せよ乙女。小田切みきに持ってかれた。
男の生き様
志村喬、怪演。
無頼作家・ラストの部下に見られる様に、男の友情とは互いの孤独を理解し合う事。父息子の関係も本来そう有るべき(エディプスコンプレックス。
愛なき贈与なんて有り得ない、欲望の身体化に「生きる」糧見出だす。
凄く良かった
こりゃあ凄い、
初の黒澤作品。
静と動の対称で印象づけたり
重いことを明るく仕上げたり
本当に現在にも生きる技術を
作り上げた人だったんだなあと思った
あの絶妙な間で
私たちをキャラクターに感情移入させたり
考える時間を与えている
とても大切な間
あれ以上長くてもダメだし、本当に絶妙
深刻なシーンでも客を笑わせる
そんなことが出来るんだと思った
細かい言動ぜんぶが演出なら相当こだわってる
ストーリーも素晴らしくて、
決して真似したくはない主人公なんだけど
私たちは確実にこの人から何かを得て
何か学んだ。
2度目の鑑賞。 テーマやメッセージ性は名作と呼ばれるに相応しいと思...
2度目の鑑賞。
テーマやメッセージ性は名作と呼ばれるに相応しいと思いますが、映画として面白いかと聞かれると微妙な感じがします。
若い部下に付きまとう所とか見てられませんし。
お役所仕事で5ヶ月で公園作るなんて絶対無理だし!
黒澤作品は他に好きな映画沢山有りますが、この映画は合わないかな。
僕には古すぎる映画でした。
「午前十時の映画祭」で鑑賞。黒澤監督作品。途中、間延びして寝てしまった。今風に言えば、30年近くことなかれ主義を続けてきたコミュ障のおっさんが、最後に一花咲かせたという感じ。がん告知、息子夫婦とのコミュニケーション、生活、風習が今とは随分かけ離れていて、設定をすんなりと受け入れられなかった。終盤の主人公が放蕩生活から脱出し仕事に熱意を燃やす決心をしたシーン、同僚による主人公の在りし日を回想するシーンの演出はうまいと思った。
本当の誕生日
自分は黒澤映画のファンで、軽い活劇系の映画も大好きですが、ちょっとテーマ性の深いこの生きるも素晴らしい映画です。
生きるという事で大切なのは、その長さではない、どれだけ生きたかではなくどう生きたかが大切なのだと思い知らされました。
100年生きても本当に生きてない人もいるし
20年だけの人生でも本当の人生を生きれる人もいる。その生きてない者の舞台に役所を持ってきたのも素晴らしいチョイスですね笑えます。
役所勤めの主人公は生きているのに生きていない人間でしたが、余命を知り呆然とします。
しかし自分の夢、目的を見つけ、本当の意味で人生が始まります。
その目的を見つけるシーンはパーラーの場面なのですが、他の席でお誕生日の歌が流れる演出が心憎いですね。
あれが志村喬の本当の誕生日です。
何かに情熱をもって生きる事の大切さを教えられました。
泣ける
冒頭に主人公の胃が映し出され、これはこの話の主人公の胃である、というナレーションは面白かった。
人生って夏休みの宿題みたいな感じだと思った。終わる頃になって焦りながら頑張ってやり遂げる。人生も似てるな〜。
生きる意味とは何か。長い人類の歴史の中で多くの者がその問題にぶち当たってきた。しかし、生きている意味などないのだ。「なぜ生きるのか」そんなことを考えること自体が人間のエゴイズムに過ぎない。
私もいつか死ぬ。そんなことは分かっているのに日々無駄に過ごしている。ぼーっと過ごす日々に嫌気がさす。
命短し恋せよ少女。
死ぬことは生きること
フルHDでの鑑賞です。
嶋田久作のメフィスト↓、天真爛漫な部下の女の子↑と悪魔と天使が登場します。
そして、ハッピーバースデイの歌とともに天使に救われます。
後半、志村喬が死んでから少しだれますが、「次長と言え!」のセリフで見ている側も一喝されます。
黒澤監督らしいやや説明し過ぎのくどい演出が気になりますが、やはり名作でしょう。
92点。
ブランコに揺れるシーンがいつまでも心に残る
一念発起した主人公に人の生き様を見る。
世の中そう簡単には変えられないし、実際1人でできることは限られているけど、
「あんまり楽しそうだったもんで」と言われるくらいやって死ねたら本望だ。
自分の評価は、最後は自分がするのだから
命短し
自分の心が温かくなったような、そして世間に対して冷たくなったような…たまらない気持ちになりました。決して派手な作品ではありません。ところが、徐々に引き込まれていく。そんな作品です。
志村喬の、台詞だけでなくアクションでも魅せる演技に、心を打たれました。
表情の一つひとつが胸に突き刺さり、あのブランコで歌う場面は特に感動しました。それはつまり、前半で歌う姿とラストで歌う姿が違うということです。
当時の社会に対する批判を、前半ではコミカルに描いています。
最初は面白おかしく観ていたのに、実はそれは、"あまりにダイレクトな皮肉"だということに気づかされます。そして、クライマックスで「生きる」意味を見つけた主人公に、小さな希望の光が降り注ぐ。何と巧妙なストーリー構成でしょう。
普通の人生ほど、つまらないものはないのです。それは死んでいるも同然です。
僕たちは、ちゃんと「生きて」いるのだろうか。
丁寧かつ分かりやすく、かつ絶妙な構成、絶妙な演出、カット割り・・・言うまでもなくとにかく凄い作品です
さえない志村喬・・・ボソボソなに言ってんのか分からん・・・容姿の格好良さなんてものも微塵もないし、なんだろう、ホント古くさいし、これは見るに堪えん─と思いながら見たと記憶しております。説明くさいし、この調子で長時間を耐えねばならんのか・・・
多少耐えなければなりません。地味で、時代後れで、台詞も聞き取りづらいので・・・正直、音声の質には終始我慢が必要だと思いますが、ぼやっとしているところと明瞭なところの差でもって作品を堪能できるはずです。さえない志村喬・・・その強烈な印象が、何気にミソだったりします。見終わって、巨匠とか名優と呼ばれる所以を噛み締めるに違いありません。
絵的に素晴らしい黒澤映画は他にたくさんあるので、それらに比べるとこの作品はそれほど映像が優れているような印象は持ちません。けれども、何度見ても見入ってしまいます。見返せば色んな再発見や味わい深い演出演技や丁寧な構成なんかを実感できるに違いありません。時代を感じる社会的情景も記録として眺める価値も感じます。
とにかく超名作であることは間違いありません。
『生きる』
待合室でのシーン渡辺篤の演技がたまらん。
小説家の伊藤雄之助がストーリーにスパイスを効かせる。
親子とは老いとは仕事とは人生とは生きがいとは、この映画にその答えのヒントがある、そんな映画でした。
七人の侍メンが端々で顔を出してるのがまた憎いね。
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