恋する惑星

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劇場公開日:

恋する惑星

解説

香港を舞台に若者たちのすれ違う恋模様をスタイリッシュに描き、ウォン・カーウァイ監督の名を一躍世界に知らしめた群像ラブストーリー。

エイプリルフールに失恋した刑事223号は、振られた日から1カ月後の自分の誕生日までパイナップルの缶詰を毎日買い続けている。恋人を忘れるため、その夜出会った女に恋をしようと決めた彼は、偶然入ったバーで金髪にサングラスの女と出会う。一方、ハンバーガーショップの店員フェイは、店の常連である刑事633号あての手紙を店主から託される。それは刑事633号の元恋人からの手紙で、彼の部屋の鍵が同封されていた。彼に淡い恋心を抱くフェイは、その鍵を使って部屋に忍び込むが……。

刑事223号を金城武、刑事633号をトニー・レオンが演じる。第14回香港電影金像奨で最優秀作品賞など3部門を受賞した。1995年に日本初公開。2022年には4Kレストア版が「WKW4K ウォン・カーウァイ4K」(22年8月19日~シネマート新宿、グランドシネマサンシャイン、シネマシティほか)で上映。

1994年製作/100分/G/香港
原題または英題:重慶森林 Chungking Express
配給:アンプラグド
劇場公開日:2022年8月19日

その他の公開日:1995年7月15日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.5記憶と時限

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

ウォン・カーウァイ監督作品。

映画館でみましたが、人が多くてびっくり。愛されている作品だとよく分かる。

ウォン・カーウァイ作品群に共通する重要概念は、「時限」と「記憶」であると思っている。人々は香港を舞台に出会い、恋に落ちる。恋愛は鮮やかに。しかし高まる愛には、既に終わりの影が落ちており、彼らは永遠の別れを余儀なくされる。期限付きの人間関係。それが一つの特徴である。
だが彼らは、記憶し続ける。かつてあったことを、抱いた感情を。それがあまりにも儚く虚しいからこそ、私たち鑑賞者の胸に響くのである。
このことは香港の政治情勢と共振している。香港は一国二制度によって、高度な自治が認められ、「自由」が許されている。しかしそれはイギリスから香港が返還されてからの50年である2046年までの期限付きの「自由」なのである。

ウォン・カーウァイ作品群は、独特なカメラワークとスタイリッシュさで若者の不安定だけど美しい恋愛、人間関係を描いているとされている。それはもちろん正しい。だがより魅力的なのは、若者の実存に焦点を当てるだけでなく、香港の不安定な未来と重ね合わせながら、期限付きの儚さと美しさや現在ーそれは90年代から00年代ーの香港とそこで生きる人々を記録し、記憶しようとしている点なのではないだろうか。

本作に戻ろう。本作は二部構成である。

一部。
金髪の彼女と警官。彼らは出会い、打ち解け、別れる。それぞれの悲しい記憶を抱えながら。警官は、自分の誕生日である5月1日が賞味期限のパイン缶を開封しながら食べ続ける。期限がきれても、元恋人との復縁もなければ、未練も消え失せない。ただただ元恋人への思いが開封され続けるだけなのである。
彼らの邂逅は一夜で終わり、金髪の彼女の復讐は果たされる。ボスの死体と共に、金髪のかつらが地面に落ちている。金髪の彼女は彼らの記憶の中に、そして彼らは二度と会えないのである。

二部。
店員フェイと警官。彼らもまた出会い、打ち解け、別れる。警官もまた5月1日が賞味期限のパイン缶を開封しながら食べ続ける。それは同じく元恋人への思いの開封なのである。それは部屋にも言えることである。彼女と過ごした記憶を失わないように、部屋は片づけず、物に語りながら記憶し続けているのである。だからこそフェイが警官の部屋に侵入し、模様替えをするのは、重要な出来事である。記憶の刷新。彼を未来へと向かわせるのである。警官はフェイをデートに誘うのだが、フェイは来ない。フェイは元恋人と同様にCAになり、カリフォルニアに行ってしまうのである。二人は別れる。しかし一年という時限が過ぎた後に、二人は再会するのである。変わり果てたお店の前で。ここでも香港の変わりゆく風情と重ね合わせながら、二人の恋愛模様が描かれているのである。

一部と二部どちらも素晴らしい物語である。そして改めて「時限」と「記憶」は、映画と私たち鑑賞者の関係にも言えることだと気づく。

上映時間という有限な時間の中で、彼らの物語をカメラで記録し、私たち鑑賞者が記憶すること。それがまさに映画の営為のような気がするのである。

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まぬままおま

4.5映画的オマージュに溢れた恋愛映画

2022年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ウォン・カーウァイ監督と撮影監督クリストファー・ドイルの名コンビが生み出した映像は、それまでの香港映画だけでなくアジア映画のイメージも一新した。そのスタイリッシュな映像と世界観は、いつ何度見ても新たな発見と感動があり、映画作りの楽しさまで伝わってくるその文法はその後の映画に多大な影響を与えている。

カーウァイ監督はモノローグと即興的な演出を多用し、俳優たちが持っている魅力を生かして、ドイルのヴィヴィッドな色彩とカメラワークによる映像、ウィリアム・チャンの美術、さらにポップな音楽や異国の曲と掛け合わせて物語を描くスタイルで、その語り口はとても新鮮であった。そして新鮮であると同時に、カーウァイ作品は映画的なオマージュに満ち溢れているところも映画ファンの心をくすぐった。

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和田隆

3.5開放的で軟弱で脆くていい時代だった香港。描くことがなにもなかったのだろう。

2024年10月5日
iPhoneアプリから投稿

封切り当時に観た映画をもう一度観る気になったのはその頃この映画を大好きだと言った女が死んだからだった。
男と女は基本違う生き物で、その違うと言うことを分かってさえいれば幸せを呼び込めるものなのだ。しかし、コレがどうにもこうにも上手く行かない。だから人生なのだろう。哲学や政治や観念など全く無に等しいと語るようにこの映画は撮られている。
人が創造的になるのは最も危険な時、暴力を振るったり周りの人間を深く傷つけて満足したりする。混沌が覆面を被って大手を振るって歩いてるこの街のことを辿々しく描いてみせた監督はいま何処でどうしているのだろう。僕はあの頃と変わらず朝焼けを見逃しながら夕暮ればかりを追いかけている。

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はる

2.0ストーカーキモすぎだろ

2024年9月29日
スマートフォンから投稿

ヒロインの行動に終始ドン引きしてしまい観ていられないレベルだが、それでも分かる映画としての工夫は満載だった。

冒頭の2人のラブストーリーがみたい

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ノ