グランド・ホテル(1933)

劇場公開日:

解説

1本立てで主演映画を作り得るスターを5名集めたキャストの贅沢さで空前のセンセーションを惹き起こした映画で、ヴィッキ・バウム作の同名の小説を女史自ら劇化したものを映画化したもの。ただしこの映画直接の扮本はウィリアム・A・ドレイク翻案の米国における舞台脚本で、監督には「月世界征服(1931)」「夜の天使」のエドモンド・グールディングが当たり、カメラは「お気に召すまま(1932)」「摩天楼の狼」のウィリアム・ダニエルスの担任である。主要俳優は「お気に召すまま(1932)」のグレタ・ガルボ、「雨」「蜃気楼の女」のジョーン・クローフォード、「チャンプ(1931)」「肉体」のウォーレス・ビアリー、「アルセーヌ・ルパン」のジョン・バリモアおよび「男子戦はざる可らず」のルイス・ストーン、「ビール万歳」のジーン・ハーショルト、この他バーネル・ブラット、ロバート・マクウェード、モーガン・ウォーレス、タリー・マーシャル、フェルディナンド・ゴットシャルク等も出演している。

1932年製作/112分/アメリカ
原題または英題:Grand Hotel
配給:MGM支社
劇場公開日:1933年10月5日

ストーリー

ホテルはいわば人生の縮図である。ベルリンのグランド・ホテルの1日、ここに登場する人々の生活を例にとってみよう。機業界の大立物プレイジンクは自己の事業が危機に瀕したので他の会社との合同を企てていた。エキゾチックな踊り子として艶名を謳われたグルシンスカヤは昨日の人気も失せ、明日にも自殺を決行せん許り全く気力を失っていた。フォン・ガイゲルン男爵は賭博に浮き身をやつしてた挙げ句、多大の借財を負って盗賊団に身を投じていた。彼はグルシンスカヤの宝石を盗み出して債務を逃れんとしていた。これに加わる新しい登場人物が女速記者のフレムヘン、すこぶる性的魅力のある女で最近プレイジンクに雇われたのである。その外かつてはプレイジングの会社の帳簿係をしていたクリンゲラインは健康を害して自暴自棄になり、せめてこの世の名残にもと、へそくり金でグランド・ホテルに投宿して豪勢なる雰囲気に浸っていた。クリンゲラインはガイゲルン男爵と知己となり共にフレムヘンとも親しい仲になった。プレイジングは自分の画策した合同運動が失敗に帰し、心ならずもついに不正手段で取引に成功した。これが彼の道徳観念に動揺を与え、フレムヘンに金を与え商用を口実に彼女と共に旅行せぬかと説いた。彼女は同意した。グルシンスカヤは一夜自分の部屋に戻ってくると意外にも男爵が自分の部屋に隠れているのを発見した。彼は彼女を愛してここまで追ってきたと弁解し人生の歓喜を讃える。彼女は彼を疑おうともしない。翌朝男爵は彼女から盗んだ宝石を返して、彼の愛の真剣であることを訴える。彼女は喜んで翌朝2人は一緒にホテルを立つことを約束する。その夜プレイジングは自分の部屋でフレムヘンに切ない胸のうちを打ち明けようとする。依然金の調達に執着していた男爵はプレイジングの部屋に忍び入った。物音を聞きつけたプレイジングは怪しげな男を発見して彼に飛びかかり猛烈な格闘を演じてついに男爵を殺してしまう。罪を逃れんとの一念から狂乱のプレイジングはクリンゲラインに罪を隠匿させようとする。卑劣なる脅迫に臆せぬクリンゲラインは一笑に附して直ちに警察を呼んだ。夜が明けた。フレムヘンは気の毒なクリンゲラインを慰める。2人はパリに行き新しい生涯に入ることを決心する。一方グルシンスカヤのマネジャー達は彼女が男爵の悲惨事を耳にする事を恐れたが、未だ何も知らぬ彼女は数年来経験せぬ幸福感に打たれ唄を口ずさみながらホテルのロビーを通り抜け停車場へ歩を運ぶ、男爵の行衛を心配しつつも。プレイジングは警察に引致された。男爵の死骸はホテルの裏口から運び出された。クリンゲラインとフレムヘンは新生の喜びに浸りつつパリへ出発する。かくてグランド・ホテルの新しき日が再び迎えられる。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

3.0グランドホテル形式

2024年6月4日
PCから投稿
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みる

4.0【”ベルリンのグランド・ホテルには職業も貧富も様々な人が来て、去って行く。”今作は”グランド・ホテル形式”という言葉を生み出した逸品である。三谷幸喜監督が毎晩泣きながら観ている作品でもある。(嘘)】

2024年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■ベルリンのグランド・ホテルには、様々な人々が訪れる。

 ・人気の落ちたバレリーナ、グルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)

 ・彼女の首飾りを狙う泥棒、ガイゲルン男爵(ジョン・バリモア)

 ・会社の経営が危機に陥った実業家プレイジング(ウォーレス・ビアリー)と彼が雇った女性速記者、フレムヒェン(ジョーン・クロフォード)と経理係のクリンゲライン(ライオネル・バリモア)

◆感想

・上記の方々が、様々な事情を抱えつつベルリンのグランド・ホテルに宿泊し、繰り広げられる人間関係。
ー それは、時に粋であったり、思惑を含めて居たり・・。-

・今作をこよなく愛する三谷監督が、一時期夜な夜な今作を観て完成させた映画が、「The 有頂天ホテル」である事は万民が知ることであろう。

<曰く有り気なベルリンのグランド・ホテルに宿泊した人々の喜怒哀楽の人生を、一日の出来事で描いた作品。
 この作品に影響を受けた映画は数知れずである。
 そういった意味でも、今作は貴重な作品であると、私は思います。>

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NOBU

4.0グランド・ホテル形式

2023年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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SpicaM

3.0「逆ロードムービー」って感じですね。

2023年6月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
人々が来ては去って行く。
何事もなかったかのように。

ほんの偶然に一夜を同じ屋根の下で過ごすことになった人々。動かない舞台で、それらの人々の多く人生が交錯してゆく…。

登場人物か固定し、舞台(周囲の情景)の方が常に動いていくというロードムービーの正反対の作品と言ったら良いのでしょうか。
登場人物が動くのか、舞台が動くのか。
両者の間には、違いがないようにも思われました。評論子には。本作を観終わって。
その意味では「逆ロードムービー」というような位置づけなのかも知れないと思いました。
(否、本作のようなスタイルが草分けであるとすれば、むしろロードムービーの方を「「逆グランドホテル形式」とでもいうべきか。)

本作は、いわゆる「グランドホテル形式」というスタイルの元祖である一本は、どんな作品だったのか…。その好奇心から観ることにした一本でしたが、鑑賞前に寄せた期待は、裏切られなかったと考えています。評論子は。

佳作であったと思います。

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talkie

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