クジョー

劇場公開日:

解説

狂犬病にかかったセント・バーナード犬に襲われる母子の恐怖を描く。ダニエル・H・ブラットとロバート・B・シンガーが、タフト・エンターテインメント・カンパニーのために製作。監督は「アリゲーター」(80)のルイス・ティーグ。スティーブン・キングの同名小説(新潮文庫の翻訳題は[クージョ」、映画ではクゥジョオと聞こえた)をローレン・キュリアーが脚色し、それをドン・カーロス・ダナウェイがリライトした。撮影はヤン・デ・ボン、音楽はチャールズ・バーンスタイン、特殊視覚効果メイクはピーター・ノールトンが担当。出演はディー・ウォーレス、ダニー・ピンタウロ、ダニエル・ヒュー=ケリー、クリストファー・ストーンなど。ノース・キャロライナ州メンディシノでロケ撮影された。

1983年製作/アメリカ
原題または英題:Cujo
配給:松竹富士
劇場公開日:1984年4月7日

ストーリー

メイン州の海辺の町キャッスル・ロック。兎を追いかけていたセントバーナード犬のクジョーが、蝙幅にかまれ狂犬病にかかる。ドナ(ディー・ウォーレス)とヴィック(ダニエル・ヒュー=ケリー)のトレントン夫妻の一人息子タッド(ダニー・ピンタウロ)が、夜中に押し入れにモンスターがいるとおびえる。両親はなだめるが、タッドの恐怖心は解消されなかった。ある日、ヴィックは車が故障したので、妻子をつれてジョーの修理工場へ行く。ジョーの飼犬が、あのクジョーだった。ドナは夫と息子が出かけた昼間の空虚な時間に耐えきれず、いつしかスティーヴ(クリストファー・ストーン)と浮気を重ねていた。しかし、それも空しく感じられ、彼に別れを告げる。妻の情事を知ったヴィックは、うつろな気持ちで出張のためボストンに出かけていった。クジョーはジョーの友人ゲイリーを襲ってかみ殺し、尋ねて来たジョーも同じく惨殺する。ドナは車がまた故障したのでタッドをつれて、ジョーのところへ行く。途中、なんどもエンストを起こした車は、ジョーの家の納屋の前で動かなくなってしまった。車から出ようとしたドナに、クジョーが襲いかかった。必死でクラクションを鳴らすが、聞こえる距離には誰もいない。一夜が明け、朝が来た。強い陽ざしに照らされ、熱せられた車内では、脅えたタッドが脱水症状を起こした。ボストンから自宅に電話をしたヴィックは応答がないので、もどってきて部屋が荒らされているのを発見する。犯人はドナに振られたスティーヴで、腹いせにやったことを白状。だが、ドナたちの行方は知れない。「もしかしてジョーのところでは」とヴィックが言い出したので、パトカーが向かった。何も知らぬパトロール警官は、クジョーに襲われて死亡。ドナは警官の落としたピストルを拾い、クジョーを射殺する。間もなくヴィックが駆けつけた。(松竹富士配給*1時間33分)

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映画レビュー

3.0『原作の上澄みのみを掠め取った出来』

2019年5月21日
PCから投稿

悲しい

怖い

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瀬雨伊府 琴

3.5ドッグ・デイ・アフタヌーン

2012年4月1日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

勝手にキング原作映画特集2。
今回は『クジョー』!
原作本は『クージョ』のタイトルで出版されている。
ちなみにこの『クージョ』が漫画『ジョジョの奇妙な冒険』
第3部の主人公の名の由来らしいという素晴らしきムダ知識。

物語のあらすじはこうだ。
とある炎天下の昼下がり、人里離れた修理工場に
車の修理を頼みに来た若い母親とその幼い息子。
2人はそこで、巨大なセントバーナード犬の
“クジョー”に襲われる。
ふとしたきっかけで狂犬病を患ったクジョーは、
飼い主である工場の主人やその周辺の
人間を噛み殺してしまっていたのだ。
車内に隠れて身を守ろうとする母子を、
憑かれたかのように執念深く狙い続けるクジョー。
運悪く、エンストで動かなくなる車。
じりじり上がってゆく車内温度。
止まない襲撃への恐怖。
息子を守る為、母親は巨大な怪物に
独り立ち向かう覚悟を決める……。

いわゆるソリッドシチュエーションスリラー
とやらの先駆けとも言えそうなアイデアだ。
前半では主人公である母親が抱えるトラブルと、
クジョーが狂犬病で変貌してゆく様を描き、
後半ではクジョーの襲撃を限定空間で描く。

血塗れ泥塗れのクジョーは、もはや犬ではなく化物。
恐怖と熱射病のダブルパンチでみるみる憔悴してゆく
息子の演技もゾッとするほど真に迫っている。
この悪夢のような状況、子を持つ親なら気が気でないはずだ。
B級映画だが恐怖感は十分。原作と異なる
ラストは予定調和だが、まあ好きずきかな。

ただ、序盤のシーン(クローゼットの怪物)は
原作を知らない方からすると、その後の展開への
繋がりが薄く、不要なシーンに思えるだろう。
また原作では、元来優しく腕白なクジョーが狂暴に
なってゆく自分自身に戸惑う描写が随所あったのだが、
犬の心情描写を映像で表すのは流石に難しかったか。
クジョーが怪物以上の存在に見えない点が残念。

が、ひとつ印象的だったシーンがある。
クジョーの飼い主である少年(工場主の息子)が、
理性を失いつつあるクジョーを朝霧の中で見つけるシーン。
呼び掛けにも応じず、暫く少年を見つめ、
静かに霧の中へと消えてゆくクジョー。
まるで少年に別れを告げるかのように。
夢のようにぼんやりと美しく、物悲しい場面だった。
作り手はこの場面でクジョーへの
シンパシーを示したかったのだろう。

以上! 馴れ親しんだ犬が元凶と化す
という着眼点が光る佳作スリラー。

<了>  ※2012.04初投稿

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浮遊きびなご