貴族の巣

劇場公開日:

解説

理想に生きようとして夢破れた、ロシアのインテリ貴族の悲劇を描いた、イワン・ツルゲーネフの同名小説の映画化。監督は「僕の村は戦場だった」のシナリオに参加した新進アンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー、脚本はワレンチン・エジョフとアンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー。撮影はゲオルギー・レルベルグ、美術はアレクサンダー・ボイム、ミハイル・ドヴィグブスキー、ミハイル・ロマージン、音楽はビャチェスラフ・オフチンニコフがそれぞれ担当。出演は演劇学校在学中のイリーナ・クプチェンコ、モスクワ・ドラマ劇場所属のレオニード・クラーギン、A・ワイダ監督夫人のベアタ・ティシュキエヴィッチ、ほかに、ヴィクトル・セルガチョフ、アレクサンダー・コストムレッキー、タマーラ・チェルノワなど。

1970年製作/ソ連
原題または英題:A Nest of Gentry
配給:東和
劇場公開日:1970年8月29日

ストーリー

ながい西欧の生活に区切りをつけ、フョードル・ラブレッキー(R・クラーギン)は、いま祖国の土を踏んだ。地方貴族である生家は、昔と同じたたずまいをみせ、執事の話に、ラブレッキーは幼い日のことを、回想していた。こんどの単身の帰国は、妻バルバラ(B・イシケビッチ)との生活を清算するためだった。パリの社交界におぼれる彼女に、彼は絶縁状をたたきつけて、懐しいロシアに帰ってきた。わが家に落着くと、彼は唯一の親戚であるカリーチン家の女主人マリア(T・チェルノワ)を訪ねた。彼女の姉娘リーザ(I・クプチェンコ)は清純な美しさをたたえた少女に成長し、内務省の新進官吏パンシン(V・セルガチョフ)と、家族的な交際をしていた。カリーチン家のピアノ教師でドイツ人のレンム(A・コストムレッキー)は、教え子のラブレッキーとの再会を喜こんだ。彼は軽薄なパンシンをきらっていたが、ラブレッキーも、リーザは本当の幸福をつかむべきだと考えた。そうした心が、やがて愛に……。バルバラの訃報に接したのは、そんな時だった。ラブレッキーは妻の死をリーザに伝え、愛を告白した。彼女はその愛をうけ入れるのをためらった。信仰心の篤い彼女には、この愛は罪悪であった。その日から、リーザはラブレッキーをさけるようになってしまった。そして、一方では、彼女はパンシンのプロポーズに迷っていた。家にもどったラブレッキーを、意外にも死んだはずのバルバラが待っていた。実際には重態だったのが、誤って伝えられたのである。このバルバラの出現はリーザの繊細な神経をすっかり打ちのめし、彼女は修道院に入る決心をしてしまった。ラブレッキーの必死の説得も空しかった。一週間姿を消していたラブレッキーが帰宅すると、バルバラは、自分の理想に生きる、と告げ、パリに発っていった。愛するものすべてを失った今、ラブレッキーは自分の内部世界とロシアの大地を、静かに観照するだけだった。

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