カラー・オブ・ハート

劇場公開日:1999年5月22日

解説

往年の人気テレビドラマの中に入り込んでしまった現代っ子高校生兄妹が、その世界に異変をもたらしていく様を描いたファンタジー。白黒の世界に生きるドラマの町の人々が主人公らの感化を受けてカラーに色づいていく様が、デジタル加工を駆使した凝ったヴィジュアル・エフェクトで表現されるというユニークな映像処理が見どころ。監督は「ビッグ」「デーヴ」の脚本家であるゲーリー・ロスで、本作が監督デビューとなる。製作はロスと「アウト・オブ・サイト」の監督スティーヴン・ソダーバーグ、「バスキア」のジョン・キリツク、ロバート・J・デガス。製作総指揮はマイケル・デ・ルーカ、メアリー・ペアレント。撮影はジョン・リンドレイ。音楽は「バグズ・ライフ」のランディ・ニューマン。音楽監修はボニー・グリーンバーグ。エンド・クレジットの主題歌はフィオナ・アップルによるビートルズの名曲のカヴァー『アクロス・ザ・ユニバース』。美術は「L.A.コンフィデンシャル」のジニーン・オプウォール。編集はウィリアム・ゴールデンバーグ。衣裳は「ビッグ」「ディック・トレイシー」のジュディアナ・マコフスキー。視覚効果監督は「ガタカ」のクリス・ワッツ。色彩効果デザイナーはマイケル・サザード。出演は「アイス・ストーム」のトビー・マグァイア、「SFW」のリース・ウィザースプーン、「フェイス/オフ」「アイス・ストーム」のジョアン・アレン、「ブギーナイツ」のウィリアム・H・メイシー、「トゥー・デイズ」のジェフ・ダニエルズ、「スリング・ブレイド」のJ・T・ウォルシュ(本作完成後に死去し、献辞が捧げられている)、「25年目のキス」のメアリー・シェルトン、「秘密兵器リンペツト」のヴェテラン俳優ドン・ノッツほか。

1999年製作/124分/アメリカ
原題または英題:Pleasantville
配給:ギャガ・コミュニケーションズ=ヒューマックス・ピクチャーズ
劇場公開日:1999年5月22日

あらすじ

真面目だが地味な高校生デイヴィッド(トビー・マグァイア)は、50年代の理想の家庭像を描いた名作ドラマ『プレザントヴィル』の熱狂的ファン。双子の妹ジェニファー(リース・ウィザースプーン)はオタクなダサい兄とはまるで違ういまどきの女子高生。そんなある晩、離婚後ふたりの面倒をみることなく若い男との交際に熱をあげる母親が旅行で家を留守にすることに。チャンスとばかり本命のボーイフレンドを家に呼んだジェニファーだが、居間のテレビの前にはデイヴィッドが『プレザントヴィル』の再放送スペシャルを見るために陣どっている。ボーイフレンドとMTVを見たいジェニファーはデイヴィッドとチャンネル争いをするうちに、リモコンを壊してしまう。そこに突然、あやしげなテレビ修理工を名乗る老人(ドン・ノッツ)が登場。デイヴィッドが『プレザントヴィル』のファンだと知るや喜色満面となった彼は、時代遅れなリモコンを置いて去った。そのリモコンでチャンネル争いを再開したふたりは、なんと不思議なことに、気づくとテレビの『プレザントヴィル』の世界に入り込んでいた。ふたりはドラマの主人公パーカー家の母親ベティ(ジョアン・アレン)と父親ジョージ(ウィリアム・H・メイシー)の子供バッドとメアリー・スーになってしまったのだ。セックスなど決して描かれない、道徳的で画一的なドラマの世界。ダサいことこのうえないと動揺していきりたつ妹を、デイヴィッドはなだめ、元の世界に戻るためにも少してもこの世界に変化を与えてはならないとクギをさす。ところが、ジェニファーがドラマ上恋人となるバスケットボール部のキャプテンと公園の池でのデート中、セックスを迫ってしまったことがきっかけで、白黒のドラマの世界は言葉どおり色づきはじめてしまう。公園でセックスする恋人たちが増え、町のすべてが少しずつ変わりはじめる。バラは赤くなり、草は緑もえ、カラーになった人が増えていく。図書館の真っ白だった本にもたちまち文字が埋まっていくなど予想もしなかった展開にはデイヴィッドも驚くばかり。デイヴィッドの感化を真っ先に受けたバイト先のドーダショップの店長ビル(ジェフ・ダニエルズ)は、お決まりの仕事をほうり出して絵を描きはじめた。ところが、彼がデイヴィッドの“母”であるベティと恋におちてしまったあたりから、事態は暗転。町長のビッグ・ボブ(J・T・ウォルシュ)はじめ、カラーな人々に反発する保守的な白黒の人々が元の世界を取り戻すべく、行動に出たのだ。ベティの裸婦像を貼り出したビルのソーダショップは破壊され、画集や本は焼き捨てられ、白黒以外のカラーが人モノ間わず禁止された。ビルの店に集まったカラーになった人々をみて、新たな変化に心動かされた人だけが色づいていくことに気づいたデイヴィッドは一計を案じる。ビルと協力して禁止された絵画を壁一面にペインティングし、裁判に立たされたデイヴィッドは、色づくことは罪でないことをそこで大演説。はたして激怒したビッグ・ボブの顔が色づいたのをきっかけに、町一面がカラーとなった。かくして、一変した『プレザントヴィル』の世界と共に、デイヴィッドとジェニファーは新たな日々を迎えるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第71回 アカデミー賞(1999年)

ノミネート

作曲賞(ドラマ) ランディ・ニューマン
衣装デザイン賞 ジュディアナ・マコフスキー
美術賞  
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映画レビュー

3.0 見えなかったものを手に入れる旅

2025年11月18日
PCから投稿

テクニカラーに無いもの
モノクロームに有るもの
今を生きる兄妹が旅する
ファンタジーの世界。

そこは決まり切った世界
素敵で笑顔の有る世界だった。
憧れの場所だけど何かが無い。

無いものから有るものへ

1985年のあの映画、
マーティの時代は「ヘビー」
そして15年後には「クール」
それを過去に持ってゆく面白さ、
同時にファッションにも注目
バスケットシューズはコンバース
これは当たり前だったらしいく
改めてナルホドと思った。

合流して変わるもの
彼らの意識の変化
モダンからクール
瞬時にジャズで表現
そしてエルビスと続く

何故カラーになったのか
戸惑う彼ら、答えは後半
台詞になって明らかに。

喜びも悲しみも天然色
そして旅は人を変える

世界はひとつしかないよりも
自分の居場所は選択できる…
その方が楽しいと考えるのか。

終わりはジョンの思想と魂
精神世界と愛の詩が流れる。

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星組

3.0 果たしてこれは良いことなのか…?

2023年8月30日
PCから投稿

楽しい

怖い

難しい

白黒のテレビドラマの…平和だけど退屈な世界『プレザントヴィル』に入り込んだ兄妹が世界を色づかせていく…

これを初めて観たのは中高生の頃。
純粋で平和、健康的なプレザントヴィル。
他のことは知らないかもしれない。
世の中には楽しいことがある。
おいしいものもある。
危険だけど刺激的なものもある。
現代の価値観に当てはめれば、そこは少し退屈な世界で、色付くことで感情豊かになる登場人物たちを見て、これは素敵な変化であると信じて疑わなかった。
鮮やかに華々しく変わる素敵な世界それが当時の感想だったと思う。

しかし、今見直してみて、これは本当に正しいことなのだろうか?という疑問が湧いた。
感情を抑圧した社会が良いとは思わないが、『プレザントヴィル』は純朴で誰も抑圧されているわけではない。
彼らは彼らの中でより良く生きていたのに、突如として外からやってきた兄妹によってその価値観が勝手に染められていく。
その様子に少し背筋が寒くなった。
例えるなら外来種によって既存の生態系がまるっと塗り替えられてしまうようなものじゃないのだろうか?

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昭和ヒヨコッコ砲

3.0 タイトルなし(ネタバレ)

2020年8月8日
iPhoneアプリから投稿
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猫柴