カミーラ あなたといた夏

劇場公開日:

解説

世代を超えた2人の女の友情を、ロードムービー形式で描いた女性映画。94年9月11日に卵巣ガンで他界したジェシカ・タンディの遺作で、病魔との闘いを微塵も感じさせない凛とした気高い演技が胸を打つ。女性ならではの視点が光る監督は、デビュー作『Save & Me』がカンヌ国際映画祭批評家週間週間で高く評価されたディーパ・ミータ。アリ・ジェニングスの原案を、ポール・カーリントンが脚色。製作はクリスティナ・ジェニングスと「ダメージ」のサイモン・レルフ。撮影はギイ・デュフォー、音楽は「ヒア・マイ・ソング」のジョン・アルトマン。美術はサンドラ・キバルタス、衣装はスタンリー・キューブリック作品で知られるミレナ・カノネロが担当。タンディの相手役に「アサシン」「恋愛の法則」「あなたに降る夢」と出演作が続き、ジェネレーションXのスターたちをリードする存在となったブリジット・フォンダ。助演は「リトル・ダイナマイツ ベイビー・トークTOO」のエリアス・コティーズ、「ジャック・サマースビー」のモーリー・チェイキン、「マーヴェリック」のグラハム・グリーン、そしてタンディの夫で「ニューヨーク東8番街の奇跡」のヒューム・クローニンほか。

1994年製作/アメリカ
原題または英題:Camilla
配給:東宝東和
劇場公開日:1995年2月18日

ストーリー

トロントに住むロック・アーティストの卵、フリーダ(ブリジット・フォンダ)は自信を失いかけていた。画家の道を諦めて商業デザイナーとなった夫ヴィシス(エリアス・コティーズ)との結婚生活もしっくりいかず、二人は休暇をとってアメリカ南部ジョージア州のピーボ島に向かった。そこで彼女は、かつてブラームスを奏でるバイオリニストとして世界中を飛び回っていた老女カミーラ(ジェシカ・タンディ)と出会い、その自信と輝きに満ちた不思議な魅力に引かれていく。彼女はカミーラが話してくれた思い出、かつて愛する人へ思いを込めて弾いたというトロントのコンサートホールへ、ブラームスの演奏会を聴きに行こうと提案する。二人は赤いワーゲンに乗って旅に出るが、途中でおんぼろ車が海に落下。小さなホテルに泊まることになり、船員たちを聴衆にしたささやかなコンサートを開く。女たちの家出を知ったヴィンスとカミーラの息子ハロルド(モーリー・チェイキン)は、慌てて後を追った。一方、ヒッチハイクを続ける女たちは、音楽プロデューサーらしき紳士ウェラー(グラハム・グリーン)と出会うが、実はケチなペテン師で有り金を全部盗まれてしまう。カミーラは狂言誘拐を思いつき、ハロルドに4万7千ドルをトロントに届けるよう電話する。ナイアガラの滝に向かったカミーラは、バイオリン職人エウォルド(ヒューム・クローニン)を訪ねる。彼こそ彼女のかつての恋人だった。かつて諦めた恋をようやく取り戻したカミーラはフリーダに別れを告げ、エウォルドの車に乗って去った。迎えに来たヴィンスと再会したフリーダは、二人の絆が強くなったのを感じる。その夜、ブラームスは聴きそこなったが、毎年海が来て夕暮れになるとフリーダにはあの曲が聞こえるのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0相照らすような芸術家同士の素敵な関係

2023年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
「舞台でアガったりしません?」
「私はステージの女王。お客はカボチャよ。」

本当は、ブラームスの演奏会を聴きに行くための旅行でしたが。
しかし、いつしか旅の目的は、老バイオリニストのカミーラ(ジェシカ・タンディ)のかつての恋人・バイオリン職人エウォルド(ヒューム・クローニン)を訪ねる旅に。

名演奏家ともて囃されたカミーラにも、ずっと秘してきた、思わぬ後悔があったのですね。
そのわだかまりがなければ、芸術家(バイオリン奏者)としても、もっともっと大成していたかも知れません。
カミーラ自信も必ずしも明確には意識はしていなかったのかも知れませんが、そのわだかまりを解きほぐしてくれたのが、フリーダだったのでしょう。彼女らの友情の根元は、本当は、その心のふれあいに胚胎していたといえそうです。

自分の息子・ハロルド(モーリー・チェイキン)をペテンにかけて、フリーダとの旅の資金を調達するカミーラ。
そういう、ちょっとした、コミカルな要素をはさみながらも。
結局は、エウォルドとの再会を果たしたカミーラに触発された若き作曲家フリーダ(ブリジット・フォンダ)も、いったんは冷めかけていた夫ヴィシス(エリアス・コティーズ)との豊かな愛情関係を回復する。
まあ、ハッピーエンドのラブロマンス的な要素も大きい作品なのですが。

でも、評論子には、それ以前に、カミーラとフリーダとの心の交流が素敵な作品でした。
老いても、かつて有能なバイオリニストとして鳴らしたカミーラの自信となお放たれる輝きとが、同じように芸術家であるフリーダに、カミーラと同じような自信と輝きとを与えたということでしょうか。

相照らすような芸術家同士の関係が、とても素敵な設定の作品だったと思いました。

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