悲しみは空の彼方に

劇場公開日:

解説

1934年にクローデット・コルベール主演で映画化されたファニー・ハーストのベスト・セラーの再映画化で、暗い宿命に泣く女の悲しみを描くメロドラマ。脚色はエリノア・グリフィンとアラン・スコットの共同。監督は「愛する時と死する時」のダグラス・サーク。撮影は「暴れ者」のラッセル・メティ。主演は「青春物語」のララナ・ターナー、「愛する時と死する時」のジョン・ギャビン、それに新人のサンドラ・ディー、「地獄の戦線」のスーザン・コーナー、「南部の反逆者」のファンタ・ムーア、「黄昏に帰れ」のダン・オハーリー等。製作はロス・ハンター。

1959年製作/アメリカ
原題または英題:Imitation of Life
配給:ユニヴァーサル
劇場公開日:1959年5月26日

ストーリー

1947年ー美貌の未亡人ローラ(ララナ・ターナー)は1人娘のスージーとコニー・アイランドの謝肉祭にやって来た。そこで黒人女アニー(ファンタ・ムーア)と知りあった。アニーは白人の夫に捨てられ、8歳になる娘サラ・ジェーンを連れて職を探していた。2人は同じ身の上に同情しあい、ローラの家で一緒に暮すことになった。ローラはブロードウェイの舞台女優の口を探していた。2組の母娘がコニー・アイランドで知りあった日、彼女らの写真を撮ってくれた青年スティーブ(ジョン・ギャビン)がローラを訪ねて来た。アニーはスティーブと俳優のよく集る食堂に行った。そこで配役周旋屋のアレンを知った。彼は新作劇の配役をしていた。これを聞いたローラは、アレンの事務所に急いだ。うまく取り入って採用されるばかりになったが、好色なアレンにいいよられて、ローラは逃げて帰って来た。アニーの献身的な働きぶりで、ローラの家庭は明るくなった。ただ、父親の血を引いて白人と変りない美少女のサラ・ジェーンは、母が黒人であることを苦にして暗い気持になりがちだった。スティーブは広告社に宣伝写真家として就職したのを機会に、ローラに求婚した。ところが、ローラは新進劇作家エドワーズに見い出され、一躍有名女優に成り上がったため、すでにスティーブのことは忘れていた。10年の歳月が流れた。ーローラの貧しい暮らしも、今では豪壮な邸宅に住むようになった。スージー(サンドラ・ディー)は学校の寄宿舎に入り、サラ・ジェーン(スーザン・コーナー)は夜間図書館に勤めていた。ある晩、楽屋でローラは広告会社の社長になったスティーブに会った。彼は世界旅行に彼女を誘ったが、イタリアでの映画出演を理由に断った。サラ・ジェーンには白人の恋人がいた。しかし、母が黒人のために彼は彼女から離れていった。アニーは健康を害し、サラ・ジェーンは失恋が原因でヤケになり、ナイト・クラブに勤めるようになった。アニーは病気をおして、サラ・ジェーンを迎えに行った。が、彼女は一緒に帰ろうとしなかった。イタリアから帰ったローラははじめて自分の空虚な生活に気づいた。アニーの病気が重くなった。彼女は息を引きとる前に、最後の望みとして、盛大な葬式をしてくれといった。葬儀の日、葬列の行進が始ると、群衆をわけて、サラ・ジェーンが走り寄って来た。彼女は母の柩にすがり、いつまでも泣き伏していた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第17回 ゴールデングローブ賞(1960年)

受賞

最優秀助演女優賞 スーザン・コーナー

ノミネート

最優秀助演女優賞 ファニタ・ムーア
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写真:Album/アフロ

映画レビュー

5.0巨匠最後の傑作

2019年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

メロドラマという、侮られがちなジャンルの名匠、ダグラス・サークの最後の監督作品。女優志望のシングルマザーであるローラと、黒人家政婦のシングルマザーのアニーが同居生活を通じてかけがえのない絆を育む。アニーの娘は黒人と白人の混血で、肌がかなり白く、黒人の血筋であることを隠している。女の友情と母娘の長年の愛憎を情感たっぷりに描いている。自らの血を呪うアニーの娘の気持ちが切ない。母は献身的で誇りを持って娘を育てている。しかし、黒人の血が流れていると学校に知られて差別を受け、その経験は母への憎しみに転じてゆく。様々なわだかまりを経て、ラストの葬式で観客の感情を爆発させる。鏡の使い方はやっぱり絶妙に上手い。芝居の付け方も無駄がく、感情の緩急の付け方もすごい上手い。空間の中で以下に人物を動かすのかなど、勉強になりまくる作品だ。メロドラマとは、こんなにも豊かな表現の塊なのかと驚かされる作品だ。

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杉本穂高

『アンクル・トムの様に生きれば、白人は貴方を拒みません』

2022年4月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

『アンクル・トムの様に生きれば、白人は貴方を拒みません』って白人の立場から言っていると思う。
母と子の関係を黒人と白人の立場でそれぞれ描くと言う事だと思うが、そうでは無いと思う。余りにも稚拙なストーリーだと思う。60年前の話だら仕方ないが、今でも同じ様な葛藤はあるのだと思う。どこまでCOLOREDと定義するのかも問われていると思う。白人の民族の中でも未だに差別がある。まぁ、アメリカに限った事ではなく、ウクライナとロシアの違いなんて、我々日本人からは理解できない。と言うか、そんなもの最初からあるのだろうか?それでも、差別して争いをする。

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マサシ

4.0「ドリーム」と共に、黒人の方々の苦難の時代に更なる想いを寄せ…

2022年3月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ダグラス・サーク監督や
ラナ・ターナーのことは全く知らなく、
これまで彼らの映画を観る機会は
無かったが、これがサーク監督の
最後で最高評価の作品と知った。

白人母娘と結果的にその家の家政婦になった
黒人母娘の、
仕事上の栄達と差別環境の中で、
それぞれの人生がどうリンクしていくのか
と興味深く観ることか出来た。

この作品、色々と不満はある。
そもそもが二家族は一緒に生活している
のだが、お互いの問題が
相手方の人生に直接関与する構成ではなく、
それぞれが分離している感じを受ける。
また、白人家庭の母は、異性への想いよりは
圧倒的に女優としての栄達を重んじる人物
として描かれるが、
その彼女を慕う写真家を目指す男性が
何故10年を超える想いを維持し続けたのか
との描写が不足していると感じる。

それでも、黒人家庭の母の臨終の間際での、
娘や触れ合った人々に対する想い
の独白のシーンや、
楽屋にやってきた母と別れる時に
言葉にはならないが口の動きだけの
娘の「ママ」には涙を誘われ、
栄達を目指す中で存在する理不尽さと共に、
アメリカ社会問題への告発性は明解だ。

この数日前に「ドリーム」を観たばかり
ということもあり、
いまでも解決が付いていないのに、
より厳しい時代の黒人の皆さんの
更なる苦難を認識させられる。

ダグラス・サーク監督の残りの作品の中では
第二次大戦末期のドイツ軍兵士の悲劇が
描かれているという「愛する時と死する時」を
観てみたいと思った。

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KENZO一級建築士事務所

4.0複雑過ぎる事情の愛情物語

2022年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ラナターナー扮する夫を亡くし女優として成功を目指すローラメレディスは住み込みのメイドを探していたところファニタムーア扮する家が無いアニージョンソンと海辺で知り合い家に連れて帰った。ラナターナーは若くはないが、極めて品のあるブロンド美人の女優さんだね。一部人種差別的場面もあったが、ローラはジョンギャヴィン扮するスティーヴアーチャーから求婚されるも仕事の話が。ちょっと極端だけど、主演女優を喰う演出家がいても成功すれば言う事無いね。 そして振り返れば複雑過ぎる事情の愛情物語だったね。

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重