賭はなされた

劇場公開日:

解説

実存主義文学者ジャン・ポール・サルトルが映画用に書下した脚本を、「想い出の瞳」のジャン・ドランノアが監督した一九四七年度作品で、現世と来世とを対比的に交錯させながら人間在在の本質を探ろうとしている。脚色はドラノワと「鉄格子の彼方」のピエール・ローラン・ボスト、撮影は「シンゴアラ」のクリスチャン・マトラ、音楽は「オルフェ」のジョルジュ・オーリックが担当する。主演は現在アメリカへ渡っているミシュリーヌ・プレール(「呪われた抱擁」)と、目下監督も兼ね(「ブラモールの恋人たち」)ているマルセル・パリエロ(「無防備都市」)で、他にアトリエ座創立の大立物故シャルル・デュラン、マルグリット・モレノ、フェルナン・ファーブル、マルセル・ムールージ、ギイ・ドコンブルらが助演する。。

1947年製作/フランス
原題または英題:Les Jeux sont faits
配給:新外映=東宝
劇場公開日:1951年10月30日

ストーリー

金持の人妻エヴ(M・プレール)は夫のアンドレ(F・ファブル)に毒殺された。同じ時刻、独裁政権打倒を目論む労働者ピエール(M・パリエロ)は敵の廻し者に射殺された。死んだ二人は同時刻に死者登録所に着き、死の手続きを済ませて、死の公園で始めて顔を合わせた。二人は死者の間で踊る間、互いに愛情を感じはじめ、見えぬ力に惹かれて登録所に戻った。そこの婦人は、「結ばるべき運命の両性が生存中に会えなかった場合は再び地上に戻れる」と、二十四時間の猶予を与えて二人を現世に戻した。甦えった彼らは、与えられた一昼夜を命令通り愛情に没頭しようとしたが、翌朝ピエールは残した同志が気にかかり、止めるエヴを振切ってアジトへ駆けつけた。しかしこの時官憲の弾圧が開始され、ピエールは約束の刻限までにエヴの許へは戻れなくなった。彼はエヴに電話して必死に連絡をとろうとしたが、ついに二十四時間目、彼は敵の弾丸に倒され、同時にエヴも叫びをあげて死んだ。純粋に愛し合えなかった死体の二人は再び死の公園でめぐり合った。賭はすんだのであった。

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受賞歴

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映画レビュー

4.0サルトル参加の影響は?

2021年11月25日
Androidアプリから投稿

脚本にサルトルも参加したメロドラマ映画で
ミシュリーヌ・プレールがとても綺麗に撮られている

彼女が演じる美しい妻より
その持参金の方が好きな夫は妻を毒殺するが
甦られてベッドから じーっと睨まれる(笑)

冥界で
現世では(手違いで)出逢えなかった
運命の二人は恋に落ちる

でもここでは愛を体感出来ない

しかしチャンスを与えられて甦ると
二人は問題山積の肉親や仲間のことを優先してしまう
それぞれの環境や階級の壁は取り払われても
絆や拠り処みたいなものに縛られてしまう

未来や現状を正確に把握出来たから
諸問題を解決出来そうに思い尽力するが
そうはならない
ピエール(パリエロ)と共に労働運動が
瓦解する様子も描かれている

この辺の皮肉っぽいところが
メロドラマに変化を与えているようだった

総てを見透せても
冥界では指をくわえて見ていることしか出来ない
完全な平穏というものは何処にもない、ということだろうか
(存在欲求は満たされない)

プレールの映画を全部観たわけではないが
美しさではベストワンかも

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jarinkochie

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