愚か者の日
劇場公開日:1991年4月19日
解説
女だけの精神病院で美しく狂ってゆく若き女性の姿を通して人間存在の狂気をアレゴリカルに描いた一編。製作はハラルド・クーガー、監督・脚本はニュー・ジャーマン・シネマの旗手として知られる「薔薇の王国」のヴェルナー・シュローター、共同脚本はダナ・ホラコーワ、撮影はイヴァン・シュラペタ、音楽をペール・ラーベンが担当。出演はキャロル・ブーケ、イングリッド・カーフェンほか。
1989年製作/西ドイツ
原題または英題:Tag Der Idioten
配給:アルバトロス
劇場公開日:1991年4月19日
ストーリー
キャロル・シュナィダー(キャロル・ブーケ)20歳。裕福な家庭に生まれながら、内に深い狂気を秘める彼女の言動は日ごとにエスカレートするばかりで、近所に住む女性を見境いなくテロリストだと密告し始めるに至って、ついに警察によって精神病院に収容される。そこは女ばかりの異様な館で、ジプシーや娼婦、それにキャロルによって密告された女までがいた。病気は観念に過ぎないという信念を持つこの病院の女医ラウラ(イングリッド・カーフェン)は、キャロルの錯乱が見かけだけのものであると判断し、何とか彼女の心を開かせようと接近してゆく。ラウラの考え方は患者をなるべく束縛せず一般社会と同じように暮らさせるという一種の解放病棟の方法であったが、退院を勧めるラウラの言葉に逆らうようにキャロルはさらなる狂気の淵に沈んでいった。常に自分の生を自覚し、それゆえ逆に強く死を願うキャロルにとって今や病院はついのすみかのように思えた。にもかかわらずラウラの手によって強引に社会に戻されたキャロルは結局自分の居場所を見つけられぬまま車にはねられて死ぬ。その死に深い罪の意識を感じたラウラもまた突然激しい錯乱に陥り、その脳裏から病院と外の社会をへだてる壁ははぎとられていった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ベルナー・シュレーター
- 脚本
- ベルナー・シュレーター
- ダナ・ホラコーワ
- 製作
- ハラルド・クーガー
- 撮影
- イヴァン・シュラペタ
- 音楽
- ペール・ラーベン
- 編集
- Catherine Brasier
- 字幕
- 堀尚弘
受賞歴
第35回 カンヌ国際映画祭(1982年)
出品
コンペティション部門 | |
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出品作品 | ベルナー・シュレーター |