大いなる別れ

劇場公開日:1980年8月2日

解説

殺された親友の過去を調査したことから、ある事件の中に捲き込まれていく男を描くハード・ボイルド映画。製作はシドニー・ビッデル、監督は「愛の交響楽」のジョン・クロムウェル、脚本はオリヴァー・H・P・ギャレットとスティーヴ・フイッシャー、撮影はレオ・トーヴァー、音楽はマーリン・スカイルズが各々担当。出演はハンフリー・ボガート、リザベス・スコット、モーリス・カーノフスキー、チャールズ・ケイン、マーヴィン・ミラーなど。日本語版監修は岡枝慎二。モノクロ、スタンダード。1947年作品。

1947年製作/アメリカ
原題または英題:Dead Reckoning
配給:インターナショナル・プロモーション
劇場公開日:1980年8月2日

あらすじ

親友ジョニーが殺され彼の過去を調査していたリップ・マードック(ハンフリー・ボガート)は、ジョニーが殺人罪で告発されていたことを知った。その事件の目撃者ルイス・オードという男を捜していたリップは、あるナイト・クラブを訪れた。マルティネリ(モーリス・カーノフスキー)の経営するそのナイト・クラブで、リップは歌手コーラル(リザベス・スコット)を知り、彼女はリップに、ジョニーは自分を愛するがゆえに夫を殺したのだと告げた。しかし、リップは、この美しい女コーラルに、何かを隠している秘密の部分を直感し、彼女につきまとった。そんな頃、事件の目撃者オードが殺され、リップは、マルティネリを怪しいとにらんだ。だが、事件の解明に近づいてきたリップを、マルティネリの部下クロウズ(マーヴィン・ミラー)が襲い、さんざん叩きのめした後、彼を監禁した。スキを見て脱出に成功したリップは、コーラルのアパートに身を隠し、意外な事を彼女の口から聞いた。彼女が夫を正当防衛で殺し、ジョニーがそれをかばったのだ、と。コーラルの悲しそうな顔を見て、リップは彼女の言うことを信じた。ある雨の夜、マルティネリの事務所を急襲したリップは、クロウズを叩きのめし、事務所に火を放った。そして、助けてくれと哀願するマルティネリの口から驚くような事実を聞き出した。愕然とするリップの元をスキを見て逃げ出したマルティネリが、一発の銃声と共に倒れた。背後にはコーラルの姿が……。車を走らせるリップの脇でコーラルが自分を連れて逃げてと哀願する。しかし、リップにはすべてがわかっていた。マルティネリはリップの身替りで死んでいったこと。そして、今また口から出ている言葉も偽りの言葉だということ……。警察に行ってすべてを告白しろというリップにコーラルは銃口を向けた。リップはその瞬間車のスピードをあげ弾をかわすが、そのためにコーラルもろとも車が炎上した。少しの傷で済んだリップは、病院で息をひきとるコーラルを複雑な気持ちで見守るのだった。

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映画レビュー

3.5 大いなる別れ〜ファム・ファタールについて

2026年1月22日
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鑑賞方法:映画館

久し振りに『大いなる別れ』を観ました。20年以上も前に一度だけ劇場で観ていたんですが、ほとんど完璧に内容を忘れていました。しかし、これって今観るとやっぱりフィルム・ノワールの代表的な傑作です。
主演がボギーなんで、相変わらずのタフガイ探偵振りを示しており、通常のフィルム・ノワールにおける破滅していく男とは少々異なっており、倒れても倒されても立ち上がって、最後は逆襲に転じることになります。しかしそのボギーを相手に一歩も引かず、強烈な存在感でもって、堂々と対等に渡り合うスコット嬢演じる最強のファム・ファタール振りには本当に圧倒されてしまいました。
『こんな女を良い女だと言うんなら、クリスマスが7月にやってくる!』と、ハードボイルドな台詞を吐き捨てつつも、繰返し繰返しこの運命の女に翻弄されていく我らがボギー。そして映画を観る観客も当然、女が真実を語っているのか?それとも巧妙な偽りなのか?全編に渡って自問自答しつつ混乱を来たし、しっかりとこの女に振り回され続けていってしまうのです。
そしてラストも同年に製作されたフィルム・ノワールの金字塔『過去を逃れて(原題:Out of the Past)』と全く同じシチュエーション(死へと疾走する車中のシーン)となって、文句の付けようがなく。
最高のファム・ファタールとは、ただ冷酷で怖いだけじゃなく、同時に美しくて脆くて儚い存在でもあり、一緒に破滅していっても良いとつい心に迷いを生じさせてくれる存在なんだなあと、改めて実感した次第です。
まあこの映画も、主演がボギーじゃ無くて、ロバート・ミッチャム、アラン・ラッドやスターリング・ヘイドンだったら、当然この女に殺されるか、或いは相撃ちになって死に至るか、どちらかなのはほぼ間違いないのですが、そこは天下のボギーなんで、なんとかギリギリのところで回復するわけです。
ラストシーンで、死に行くスコット嬢に声を掛け、最期を看取る悲痛で複雑な表情のボギーと痛々しい彼女のクローズアップ、そしてオーバーラップして闇の中へと落下していくパラシュートのショットが、この強烈に美しいファム・ファタールをより一層深く心に焼き付かせることとなり、他のフィルム・ノワールとは一味も二味も違った印象を与えてくれるのです。それまでB級フィルム・ノワールの女優だったリザベス・スコットが、名優ハンフリー・ボガートと対等に渡り合う見事な演技を見せたことにより、フィルム・ノワール史上に残るファム・ファタール像を創出した記念すべき作品でもあります。
余談になりますが、そろそろ映画史上のファム・ファタール・ベスト10選出なんて言うのも面白いかもしれない?!一般的にすぐ引き合いに出されるのは、超有名な『深夜の告白』、『私は殺される!』のバーバラ・スタンウィック嬢や『上海から来た女』、『ギルダ』のリタ・ヘイワース嬢あたりなのだろうが、最近、短期間にかなりの数のフィルム・ノワールを観ているせいか、個人的には、この作品や『Too Late for Tears』のリザベス・スコット嬢、『過去を逃れて』のジェーン・グリア嬢、或いは『哀愁の湖』が極めつけ(他にも『ローラ殺人事件』、『渦巻き』、『歩道の終わる所』、『十三番目の手紙』等オットー・プレミンジャー監督作品がどれもこれも素晴らしい!)のジーン・ティアニー嬢の方が、ファム・ファタール像としては遥か上位にランクされるべきだろうと思えてならない。それは、彼女らが演じた役柄がより複雑で屈折したキャラクターであったという事実は素より、当時の他のハリウッド女優にはない、極めて特殊な一種の神秘性や透明感、そしてその背後、心の奥底に時折見え隠れする暗い影と言ったイメージを女優として本質的に持ち合わせていたからなのだと確信出来るからである。
彼女らが演じた優れたファム・ファタール像が、個々のフィルム・ノワールにより一層の深みや緊張感を与え、作品の質を高めることに大きく貢献していたということは間違いのない事実だろう。

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ナオイリ

3.0 さすがのリザベス・スコット

2022年8月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ボギー主演なので「ポーカーフェイスでキザなセリフ」あり、リザベス・スコットも主演なのだが「あれっ、この映画では悪女じゃないのか?…と思っていたら、やっぱり悪女(笑)」といったハードボイルド的であり、ノワール的である映画。

冒頭、ハンフリー・ボガートが警察に追われて教会の牧師に過去を話し始める場面から始まる。
ボギーと親友が復員して勲章を受けることになるのを知った途端、親友は大衆の眼を恐れて逃げてしまう。何か犯罪を犯したっぽい。
そのため、ボギーは真相追及を始めると、親友の妻(リザベス・スコット)が街の権力者に秘密を握られて、権力者の言いなりになっているらしいことが分かる。
しかし、実際は………という始まり方の映画。

この映画でのリザベス・スコットも、相変わらず見事な雰囲気&スタイルで素敵な悪女。
さすが、期待を裏切らない存在感。

ボギーも「女はポケットに入れておいて…」などというセリフ。
……B’zの曲「♪愛のバクダン」の歌詞に似ている(笑)

ただ、作品としては、観終わった時に「なぜ?」がたくさん残る感じだった。
まぁ雰囲気を楽しむ映画として考えればOKかも知れない…(笑)
⇒ リザベス・スコットのファンなので甘くなるww

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たいちぃ

4.0 目的の天秤

2017年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

難しい

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Takehiro