駅馬車(1939)のレビュー・感想・評価
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この作品に賞を授けるなら、アカデミースタント賞たろうね。
歴史観は兎も角と言いたいが、この襲来する『アパッチ』って、日本に対する黄禍論かもしれない。そうでなくとも、翌年には真珠湾奇襲攻撃もある訳だから、もし、それが話の中の一つのテーマだとすると、ジョン・フォードの歴史観はかなりの力量を持つと思う。しかし、ネイティブアメリカンにはこの程度で、余り、緊張感が湧いてこない作られた勧善懲悪な話だと思う。
ここで言うアパッチが日本人でジャイアンが中国人って見るとズバリ的中って事だ。
何回か見たが、あれだけのアクションをしながら、最後の決闘がちゃちいし、こじつけな結末だ。ネイティブアメリカンにあれだけアクションさせておいて、せいぜい、馬を制御するシーン位。最後の決闘は夜で見えない。真昼の決闘や荒野の用心棒はそれを逆手に撮った名作になると思う。この作品に賞を授けるなら、アカデミースタント賞たろうね。
映画の全てが詰まった永遠の名作!
Blu-ray(HDリマスター)で3回目の鑑賞(字幕)。
ジョン・フォード監督とジョン・ウェインが初タッグを組んだ作品であり、今尚映画史上に燦然と輝く西部劇の大傑作。
駅馬車に乗り合わせた人々の織り成すドラマは、今も変わらぬ人間の営みと感情の発露を描いていることで、色褪せることの無い輝きを放っているのかもしれないと思いました。
登場人物の個性も際立っていて、特に印象的だったのは酔いどれ医者。同乗者に酒のセールスマンがいるのをいいことに商品の酒を勝手に飲む姿がユーモラスで面白かったです。
リンゴ・キッドと娼婦のロマンス。いつアパッチ族が襲撃して来るか分からない緊張感。クライマックスに向けてのスリリングな展開と息も吐かせぬ迫力満点のアクション。…
エンターテインメントの全てが詰まっているな、と…。映画のバイブルみたいでした。普遍的な表現が積み重ねられたことで名作となった作品。何度でも観たいと思いました。
[余談]
アパッチ族が悪として描かれていて偏見と差別を感じましたが、製作当時の社会状況や物語の時代背景を考える上での資料として捉えるのがいいのではないかと思いました。
※リライト(2021/05/18)
※修正(2023/03/20)
本作の醍醐味であるダブルクライマックス
本作の主要ストーリーである一台の駅馬車に乗り合わせた乗客達の人間模様の描き方が素晴らしい。そしてラストのダブルクライマックスのインディアンの襲撃に抗する銃撃戦と主人公の因縁の決闘は映画史上の白眉である。特に疾走して逃げる馬車とそれを馬で追うインディアンたちの銃撃戦の描写は素晴らしかった。観ていて専らスピード感とスリル感に駆られた。本作公開当時としては、このシーンは新鮮で衝撃的だったのではないだろうか?黒澤明がジョン・フォードをリスペクトし、映画のお手本と仰いだ理由が本作を鑑賞して良く分かった。確かにその遺伝子は黒澤映画に受け継がれている。ラストのハッピーエンドも心地よい。
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