生きるべきか死ぬべきか

劇場公開日:

解説

ナチス占領下のワルシャワから脱出する俳優一座の姿を描くコメディ映画。製作はアレクサンダー・コルダ、監督はエルンスト・ルビッチ、脚本はエドウィン・ジャスタス・メイヤー、撮影はルドルフ・マテ、音楽はウェルナー・ハイマンが担当。出演はキャロル・ロンバート、ジャック・ベニーほか。

1942年製作/アメリカ
原題または英題:To Be or Not to Be
配給:リュミエール・シネマテーク
劇場公開日:1989年6月28日

ストーリー

39年のワルシャワ。俳優のヨーゼフ(ジャック・ベニー)とマリア(キャロル・ロンバート)のトゥラ夫妻は、シェークスピアの「ハムレット」の中で、2人でハムレットとオフェーリアを演じ、当たりをとっていた。ある日マリアは、若くハンサムなポーランド空軍のソビンスキー中尉(ロバート・スタック)に言い寄られ、夫ヨーゼフが「生きるべきか、死ぬべきか…」の長ゼリフの場面を演じている間、楽屋で中尉との逢瀬を楽しんでいた。しかしその間にも、ポーランドの情勢は悪化し、一座もナチスを刺激しないように、政府から風刺劇「ゲシュタポ」の公演中止を言い渡される。やがてワルシャワもドイツ軍に占領され、ナチの暴虐に対しポーランド人の抵抗は続いた。その頃ロンドンに配属されていたソビンスキー中尉は、ワルシャワに向かったシレツキー教授(スタンリー・リッジス)がナチのスパイであることを知り、英国情報部の協力を得て、単身ワルシャワに帰国、知らせを聞いたトゥラー一座は、「ゲシュタポ」の衣裳であるナチの制服を着て、シレツキー教授を迎える大芝居をうつ。そして教授の陰謀を未然にくいとめた一座の人々は、やがてヒトラーがポーランドを訪れたチャンスを利用して、ポーランドから脱出する計画をたてる。そして中尉の先導のもと、彼らは一座の人々の正体を知って追跡するドイツ軍を振り切って、イギリスへと旅立つのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第15回 アカデミー賞(1943年)

ノミネート

作曲賞(ドラマ/コメディ) ウェルナー・R・ハイマン
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映画レビュー

4.0【”うーむ。これが、ルビッチ・タッチですか。面白いなあ。”ユダヤ系のエルンスト・ルビッチ監督がナチスに反発し、一泡吹かせようとする演劇人たちの姿を独特のコメディタッチで描いた逸品。】

2024年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■1939年、ポーランド。  劇団の女優・アンナ(キャロル・ロンバード)は、夫で座長のヨーゼフ(ジャック・ベニー)が頑張って「ハムレット」を演じている時に、彼女の熱烈なファンであるポーランド空軍中尉・ソビンスキーと楽屋で会っていた。  ドイツ軍が侵攻してくると、ロンドンに駐在していた中尉は、ナチスのスパイの英国人教授シレツスキーを追って帰国する。  そして、教授の陰謀を阻止すべく劇団に協力を求める。 ◆感想 ・テンポの良い、センスあるコメディである。しかも、この作品は資料を見ると1942年公開と有る。これだけでも、エルンスト・ルビッチ監督のナチスに対しての怒りが伺える。 ・序盤、ヨーゼフが”生きるべきか、死ぬべきか。”と舞台で台詞を喋っている時に、ソビンスキーが楽屋にいるアンナに会いに行くために、何度も中座するシーンが可笑しい。  中座の度に、目を剥くヨーゼフ。そりゃ、そうだろう。「ハムレット」の見せ場の一つなのに、何度も中座されてはね。 ・ポーランドにナチスが進軍してきて、劇団の劇場も破壊されてしまうが、彼らはヒトラーに一泡吹かせようと、ナチスのスパイの英国人教授シレツスキーを使うシーン。  特に、ヨーゼフがシレツキーに変装する”付け髭”について、ナチスのエハアルト大佐との遣り取りのシーンは、絶品である。 <うーむ。これが、ルビッチ・タッチですか。面白いなあ。美しくも残念ながら早逝されたというキャロル・ロンバートの、スクリュー・ボールコメディ演技(流石に、この言葉は知っている。)も良くって、もう少しエルンスト・ルビッチ監督作品を観てみようと思った作品である。>

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NOBU

4.5映画史上最高のブラック・コメディの1つといえる。

2024年10月26日
PCから投稿

ナチス侵攻のポーランドから、国外脱出を図る俳優一座を描いたコメディ映画。ノンストップで次々と騒動が起こり、最後まで見逃せない傑作だと思う。 ナチスの協力者という教授から、抵抗活動の仲間のリストを取り戻すため、俳優一座でニセのゲシュタポ本部を立ち上げ、ナチスを騙して国外脱出するまでを描いた、独創的なスクリューボール・コメディだ。 俳優一座の座長が、妻とポーランド空軍の中尉との不倫を知るのだが、この三角関係が、なんとも面白おかしい。ナチスの危機が迫る中で、ナチスをネタにした数々のギャグを交え、ユーモアたっぷりに描いている。 とても素早い展開で、無駄のない脚本。ドイツ軍のポーランド侵攻を、エネルギーにあふれたドタバタ劇に昇華している。ファシズムという題材を、こんなにまでカラッと、それでいて流れるように描いた、ブラックコメディの傑作だ。

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瀬戸口仁

3.5おもしろかった!

2023年12月1日
iPhoneアプリから投稿

オチも含めて凄く面白かった 小気味よく楽しめる感じ

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JYARI

4.5シリアス・コメディ両刀遣いのルビッチ監督

2020年12月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

第二次世界大戦の最中、 これほどにウイットに富み風刺の効いた ハイセンスコメディ映画 が制作されていたのかと驚かされた。 もしこんな作品が、この現代に新作として 公開されていたら、相当な話題作として 評判になっていたのでは。 私は基本的にコメディ映画は苦手で、 なかでも時代風刺やヒューマニズムを欠いた コメディは好まない。 しかし、この作品の全てを網羅した上での 高尚なウイット満載の内容には脱帽した。 しかも本来は深刻なはずの「天使」ような 三角関係要素を、今度は コメディタッチで入れ込んだセンスは 見事と言うしかない。 チャップリンの「独裁者」と同じく、 時代観察者としての批評姿勢にも感服する。 ルビッチ監督映画としては「私の殺した男」が シリアスタッチ作品の最高峰と思うが、 この「生きるべきか死ぬべきか」は ユーモア・コメディタッチの最高峰作品 と言えそうである。

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