雨のしのび逢い(1960)

劇場公開日:

解説

「二十四時間の情事」のシナリオを書いたマルグリット・デュラス女史の小説を映画化した心理ドラマ。シナリオをデュラ女史自身とジェラール・ジャルロが共同で執筆し、監督に当ったのはイギリス映画界出の「三文オペラ」を作ったピーター・ブルック。カメラを受けもったのはアルマン・ティラール。音楽はディアベリのソナチネの中の“モデラート・カンタービレ”の部分が反復して使用されている。出演するのは「危険な関係」のジャンヌ・モロー、「ふたりの女(1960)」のジャン・ポール・ベルモンドなど。

1961年製作/フランス
原題または英題:Moderato Cantabile
配給:東和
劇場公開日:1961年10月15日

ストーリー

ブレーはフランス西海岸のひっそりした田舎町である。そこの製鉄所長の妻アンヌ(ジャンヌ・モロー)は、ピアノ教師の家で、窓の外に突然女の悲鳴を聞いた。同じ建物の一階のカフェからだった。アンナは異様な光景を見た。悲鳴の主はすでに息たえて横たわり、その上に男がかがみこんで愛撫をくりかえしているのである。アンヌにとって、これは大きなショックであった。その夜、あの不思議な殺人者が、警官に腕をとられながら、床上の倒れた女にそそいでいた燃えるような視線が、彼女の脳裏を離れなかった。結婚以来八年、アンナはこの町に住んでいる。何一つ不自由のない、名流夫人である。しかし、彼女の夫には、あの殺人者の激しい情熱はなかった。相手を殺すほどの愛情、この世にそんな強い愛があったとは--。彼女の心は大きく揺れ動いた。翌日、彼女は一人の男から話しかけられた。鉄工所の工員ショーバン(ジャン・ポール・ベルモンド)で、会話は当然のことのように昨日の事件に向けられた。が、それは推測でしかない。二人はそれから毎日のように会い、愛し合う仲となった。七日目、ショーバンは「君は死んだ方がいい」といい残して去った。激しい愛の言葉と知りながらも、消えて行く男を見送って、アンナは号泣した。事件の女の悲鳴にも似たうつろな叫び声をあげて。彼女は、人妻であり、母であることに変りはない。だが、彼女の心の中の何ものかは、ショーバンへの愛と共に死んだのだ。翌日から、アンヌの人妻にふさわしい毎日がふたたびはじまる。夫はこれからのちも、ひと言も彼女を責めないだろう。ブレーの町には、大した事件は起らないのだ。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

映画レビュー

4.01950年代後半、フランス西海岸の田舎町。 港に近いが、漁港ではな...

2023年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
りゃんひさ

1.0この作品への高い評価が理解出来ない

2021年2月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この映画は1961年のキネマ旬報第10位作品。
原作はマルグリット・デュラスだが、
当時の評論家はこの作品の女性像の何に
共感したのだろうか。

男は憧憬、女は倦怠感の中での出会い。
しかし、男は女の単なる退屈へのはけ口と
知って女を拒絶する。

映画世界にも不倫テーマは数多ある。
しかし、「マディソン郡の橋」や
「イングリッシュ・ペイシェント」でも
不倫の当事者には
それなりの形成された人格や覚悟がある。
しかし、この作品では、
女は幼い未発達人格者にしか見えない。

男の最後の言葉「あなた死んだ方が良い」
に続く省かれた言葉が
「あなたは余りにも幼すぎる」だった
としか思えない。
だから、子供のピアノレッスンでの
躾エピソードは、大人にも必要な人間がいる
との例えなのだろうかと考えてしまう。

この映画を評価される方は、
女への共感ではなく、
あるいは、2人の男の理性と寛容性
の側に立っての思いからなのか。

私には「人妻の心の奥底の叫び」
などという、
この作品への高い評価が理解出来ない。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
KENZO一級建築士事務所

他のユーザーは「雨のしのび逢い(1960)」以外にこんな作品をCheck-inしています。