あなたに降る夢

劇場公開日:1994年10月15日

解説

善意の警官が当てた宝くじの400万ドルを巡って展開する騒動を軸に、生きることのすばらしさや人情の機微を描いた、ロマンティックなヒューマン・コメディ。往年のフランク・キャプラらの伝統に則ったオールド・ファッション感覚の演出を見せたのは、「ハネムーン・イン・ベガス」のアンドリュー・バーグマン。脚本はエミー賞受賞の脚本家で、劇作家でもあり、コメディエンヌとして舞台にも立っているジェーン・アンダーソン。製作は監督とは長年のパートナーのマイケル・ロベル。ニューヨーク市の100以上のスポットをカメラに収めた撮影は「ナチュラル」のカレブ・デシャネル。音楽は「ボーイズ・ライフ」のカーター・バーウェルで、トニー・ベネットほかのスタンダード曲の数々が絶妙な効果を上げている。主演は「ワイルド・アット・ハート」のニコラス・ケイジと「リトル・ブッダ」のブリジット・フォンダ。共演は「フィアレス」のロージー・ペレズ、ソウル・シンガーとして活躍する、「黒豹のバラード」のアイザック・ヘイズら。

1994年製作/アメリカ
原題または英題:It Could Happen to You
配給:コロンビア トライスター映画
劇場公開日:1994年10月15日

あらすじ

ニューヨーク、クイーンズ区のパトロール警官、チャーリ ー・ラング(ニコラス・ケイジ)は、下町の人気者。仕事熱心で気の優しい彼は、住民たちに親しまれている平凡な生活に満足だった。イヴォンヌ・ビアジ(ブリジット・フォンダ)は下町のコーヒーショップで働く、心根のいいウエイトレス。だが、別居中の夫エディ(スタンリー・トゥッチ)の不始末を被って破産宣告を受けている身。ある日、イヴォンヌの店に立ち寄ったチャーリーは、チップの持ち合わせがなく、「持っていた宝くじが当たったら、賞金の半分を君にあげる」と約束する。なんと、そのくじが400万ドルという大金に当たった。200万ドルの贈り物に、ことのほか喜ぶイヴォンヌ。おとぎ話のような逸話に、マスコミが飛びついた。彼女はコーヒーショップを買い上げ、自分の店を開き、ホームレス用の席を設ける。そんな時、チャーリーが食料品店に押し入った強盗を逮捕した。再び脚光を浴びた彼は、褒賞金の一万ドルを警察遺族会にポンと寄付した。だが、チャーリーの妻ミュリエル(ロージー・ペレズ)は、彼らの善行が気に入らない。派手好きで野心家の彼女は、宝くじ当選者たちが集う船上パーティで出会ったグロス(シーモア・カッセル)という中年紳士にすっかりまいってしまう。一方、船に乗り遅れたチャーリーとイヴォンヌは、2人だけで食事をし、踊るうちに心が通い合っていった。翌日、2人はヤンキー・スタジアムを借り切って子供たちに開放したり、地下鉄の無料乗車券を人々に配ったりして楽しい時を過ごした。しかし、怒りが頂点に達した妻とのいさかいの後、チャーリーは家を飛びだし、イヴォンヌも追ってきたエディから逃れて、2人はプラザ・ホテルで偶然ばったり出会う。メディアは「宝くじが結んだ恋」と書き立てた。全米注目のチャーリー夫婦の離婚裁判が始まったが、400万ドルの所有権は、ミュリエルのものに。落胆する2人。2人にずっと張りついていたタブロイド新聞の記者エンジェル(アイザック・ヘイズ)は、ホームレスの恰好でイヴォンヌの店を訪れたが、失意の時でも彼女は優しく接してくれた。彼が2人の優しさは本物だと書いた新聞記事が大きな反響を呼び、全国から善意の寄付が寄せられ、数百万ドルにも上った。本当の幸せを今こそつかんだ2人は結婚した。

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映画レビュー

3.0 本当の幸せの在処(ありか)

2025年8月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
君さえいれば何もいらない。
分からないのか?
もし君がイヤなら…君が拒絶するなら、黙って立ち去る。

ミューリエル側の弁護士は、辣腕過ぎたのかも知れません。
そう思いました、評論子は。
もちろん、彼女自身の「欲の皮」のつっぱり過ぎということも、原因としてあったとは思うのですけれども。

つまり、依頼人であるミューリエルを勝訴に導いたのは良いとして、いわゆる「勝ち過ぎてしまった」ということでしょう。件(くだん)の弁護士先生は。

その「勝ち過ぎ」が、報道を通じてチャーリーとイボンヌとの運命を気にかけていた市民の反感を買い、そのミューリエルに対する反感が、チャーリーとイボンヌとに降りかかった「幸運」に結び付いたということは、間違いがないことと思います。

「山のあなたの空遠く、幸い住むと人の言う」ではありませんけれども。

しかし、本当の幸せというものは、巨額の宝くじに当選することではなく、当事者の自分自身と、そして自分を取り巻く市井の人々の善意の積み重ねにあることを、本作は観客に、静かに語りかけているように、評論子には思われます。

本作は、単に悪妻の手をを逃れて(?)イボンヌという伴侶を得たチャーリーのハートフルなラブストーリーというだけではなく、ひたむきに市井に生きる人々のへの「応援歌」にもなっていたと思います。評論子は(解説字幕によれば、本作は、実在のカニンガム刑事とジーナ夫妻の実話をヒントに着想されたストーリーということです)。

なかなかの佳作だったと、評論子は思います。

<映画のことば>
「遅いぞ。」
「私用で遅れると言ったはずよ。」
「給料から2時間分を引く」
「病欠扱いにしてよ。」
「じゃあ、病気になれ。健康なら働くこった。」

<映画のことば>
ツキの悪い日は、笑って吹き飛ばすの。
気が晴れるわ。

(追記)
本作は、故(ゆえ)あって鑑賞することになった別作品『天使のくれた時間』に引き続
き、ニコラス・ケイジの出演作品としても、チョイスしたものでした。

いゃあ、ニコラス・ケイジが、若い、若い。
滅茶苦茶に若い!

そんなことも、印象に残った一本になりました。
評論子には。

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talkie

0.5 タイトルなし(ネタバレ)

2025年3月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0 【”人間には確かなる善性がある。そして大金を有意義に使った男女に齎されたNYの人達からの贈り物”善良な男女に舞い降りた、素敵なる出来事を描いたロマンティックヒューマンストーリーの逸品。】

2025年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

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NOBU

4.0 ロマンティック・コメディの傑作だ。

2024年10月23日
PCから投稿

原題「It Could Happen to You」は、『或る夜の出来事』(原題:It Happened One Night)をもじっており、『或る夜の出来事』とフランク・キャプラ監督へのオマージュ。

突然大金を手にした設定は『オペラハット』、極端で現実離れしてる慈善的な行いや、やや強引な結末は『群衆』など、話は全然違うが、フランク・キャプラの作風に、とても近いといえる。

ニコラス・ケイジが、素朴で純粋な善人を好演。非常に魅力的なブリジット・フォンダに、恋をしてしまいそうだ。市井の人々の善意を、率直さや希望をもって伝えた、良作だと思う。

大甘で無理のある展開だし、中だるみが無いわけではない。憎めないけど強欲な妻の設定など、好みは分かれるだろう。それでも、テンポ良く、笑いを交えた、心温まる物語だ。

私個人はとても気に入っている。非常に心地よく、大好きな映画だ。ロマンティック・コメディの傑作だと思う。

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岡崎仁