愛の嵐

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

戦後のオーストリアを舞台に、かつてユダヤ人収容所で出会った元ナチス親衛隊員とユダヤ人女性の倒錯した愛とエロスを描いた作品。1957年、ウィーン。元ナチス親衛隊員のマックスは、現在はその素性を隠し、ホテルのフロント兼ポーターとして働きながらひっそりと暮らしていた。ある日、彼が勤めるホテルに、著名なオペラ指揮者が妻ルチアを伴って宿泊する。ルチアは、かつてマックスが強制収容所で性の愛玩物として弄んだ少女だった。ルチアにとってマックスは2度と会いたくない相手のはずだったが、2人は倒錯した快楽に溺れていく。シャーロット・ランプリングがルチアを体当たりで熱演、特にナチス将校たちの前で半裸で歌い踊る姿は強い印象を残した。マックス役に「ベニスに死す」のダーク・ボガード。イタリアの女性監督リリアーナ・カバーニがメガホンをとった。

1973年製作/118分/イタリア
原題:Il portiere di notte
配給:日本ヘラルド映画

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映画レビュー

3.5邦題が合ってない、損してる。

2023年4月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

難しそうな変な邦題のせいで、

もっと難しい話かと思ったら、思ってたより、観やすくて、面白いです。

主演の女優が気になって調べてみたら『ベネデッタ』に出てた!

『地獄に堕ちた勇者ども』『エンゼル・ハート』『デューン』(リメイク)…

この方の出てる映画は他にも数本観てたけど、今作で初めて認識。

覚えときます(笑)

大事なセックスシーンをカット、局部のボカシも大きく入ってるのが、この通常版らしく、

それを取っ払った完全版が存在するらしいので、完全版を観なきゃと思います。

どっちみち、もう1回観たいので。

つまり、けっこう面白いです。

でも、センスない邦題。

邦題で損してる映画です。

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RAIN DOG

5.0「愛の嵐」という邦題は、「夏の嵐」を思い出した日本の配給会社の宣伝マンの類い希な才能が付けたものだと思います 見事です

2022年8月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

心を鷲掴みにされました
男と女の究極の愛
だが、これが果たして愛といえるものかどうか分かりません

本作といえばあのポスターのビジュアルのインパクトでしょう

ナチ親衛隊の制帽を被り、上半身は裸
軍服のぶかぶかのズボンをズボン吊りで履く
その下の下着も履いていないのは明らか
薄い乳房がそのズボン吊りのバンドのしたにある
髪は短く刈られ男の子のよう
極度の栄養失調であばらの浮く、細い少女の体型
革の長い手袋
その姿で酔ったナチ親衛隊将校達の中で踊る
なんと背徳的で退廃的な映像でしょうか

サロメのエピソードはその直後にあります

ほとんどの宗教絵画はサロメが所望した聖ヨハネの首が皿に乗って描かれています
本作ではダンボール箱でした
それを観た時のルチアの表情!
恍惚の笑みなのです
自分の望みをここまでして叶えてくれた愛の証
ユダヤ人絶滅収容所の囚人とナチ親衛隊の究極の倒錯した愛

愛なのか?、そうでないのか?
戦後12年経って、過去を偽って日陰で生きる男、解放され優しく裕福で紳士的な夫を得て幸せに生きる女
会ってはならないし、互いに会いたくも無かった
なのに強烈な磁力のように引き合い、愛に狂ってしまう
暴力的に扱われて人の尊厳を剥ぎ取らたときにむしろ喜びを感じてしまう
愛ではないはず
なのにルチアには自己を解放されてのびのびとしている

ラストの道行きは心中の旅路でした
これは愛の成就なのでしょうか?

二人に取ってはそうだったのです
抗えない愛であったのです

正に「愛の嵐」です
理性もなにもかも全てを吹き飛ばしてしまう愛の暴風雨です
身体の中の熱くうずく芯が求める欲望がそう肉体を突き動かしてしまうのです

その意味で1955年のヴィスコンティ監督の「夏の嵐」と同じです
その映画の原題は「官能」邦題は本作と同じく理性を官能が吹き飛ばしてしまった熱い嵐を表現したものでしょう

本作の「愛の嵐」という邦題は、その「夏の嵐」を思い出した日本の配給会社の宣伝マンの類い希な才能が付けたものだと思います
見事です

原題は「ナイト・ポーター」
ウィーンのホテルの夜間受付人の意味です
なんの味わいもないこれよりも邦題の巧みさと味わいが際立っています

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あき240

5.0今なお生きているナチスの悲劇を、倒錯した愛の形で耽美的に描いた秀作「愛の嵐」

2022年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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dreamer

4.0【”命を懸けたForbidden Love”シャーロット・ランプリングの灰色の瞳と、ナチス帽を被ったトップレスサスペンダー姿が印象的すぎる作品。】

2021年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

悲しい

怖い

難しい

ー シャーロット・ランプリングという稀有な女優を知った作品である。今作を演じた時は御幾つだったのであろうか。
 ナチスのSSだったマックスとの愛。それは、生き残るための表面上の愛だったのかもしれない。
 だが、戦後、元SS達がヒッソリと暮らす中、ルチア(シャロート・ランプリング)は著名なオペラ指揮者の妻として、マックスが働くホテルに投宿する・・。
 数年ぶりに出会った二人の間に沸き上がった想い。ー

◆感想

 ・シャーロット・ランプリングの憂愁を帯びた、灰色の瞳には、毎回魅入られる。
 私が観た映画「レッド・スパロー」「さざなみ」などでは、一切笑顔無く、怖い教官や、齢を重ねた深い憂いを、眼で表現していた。
 ー 私の中では、あの瞳に拮抗しているのは、エヴァ・グリーンだけであると思っている。瞳の色は違えど、雰囲気が似ていると思う。ー

 ・余りにも有名なナチス帽を被ったトップレスサスペンダー姿で、ナチスの宴で振舞う若きショートヘアのルチアの姿。

 ・年を経て、元SS達が、自分の身を保つために、行っていた事。
 それを知りつつ、ルチアはウィーンに一人留まり、マックスも制止の声を聞きつつ、ルチアとの禁断の恋に、陥って行く。

<橋上で二人を襲う凶弾。
 だが、それを覚悟の上での禁断の恋だったのであろう。
 戦中の禁断の愛が、年月を経て真の恋になって行く。

 Forbidden Loveと言えば、「戦場のメリー・クリスマス」のヨノイ大尉(坂本龍一)と、英国将校のジャック・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)の姿を彩るメインテーマが脳内を過るが、デヴィッド・シルビアンがあのテーマに歌詞を載せて歌った「Forbidden Love」を思い出してしまう。
 忘れ難い作品である。

 近作の「DUNE/砂の惑星」に登場した、年老いたシャーロット・ランプリングの姿を見ても、”流石だなあ・・”と思ってしまったなあ・・。>

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NOBU
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