暴風圏
劇場公開日:1959年7月26日
解説
「東京の孤独」の共同執筆者・松浦健郎と渡辺邦男の脚本を、「荒海に挑む男一匹 紀の国屋文左衛門」のコンビ渡辺邦男が監督し、渡辺孝が撮影したメロドラマ。
1959年製作/98分/日本
劇場公開日:1959年7月26日
ストーリー
新島運輸の社長新島英介が急死した。経営内容の悪さにつけ込んで会社乗取りを図る重役達の企みで英介の一人娘美沙が新社長に選ばれた。若い美沙は秘書の田代隆司、植草マリの助けを得て見事な社長ぶりだった。しかし美沙の苦労のかいもなく経理内容は依然悪く、山口営業部長の報告も悪化する一方だった。田代の姉静江は死んだ前社長と恋仲であった。山口の背後には会社乗取りを企む藤川がいた。藤川は会社の株を買い占め、その上会社が発行した六千万円の手形の決済を迫って美沙を窮地に追い込んだ。手形の期日は五日しかなかった。藤川は会社ともども美貌の女社長も手に入れたかった。田代の姉静江の助言で前社長の親友甘利川建設の植野専務に金融を依頼した。植野は重役会にかけねば融資出来ないと言った。手形の期日は二、三日後に追っていた。その頃外は嵐であった。中心風速八十米の大暴風が本土に迫っていた。甘利川建設で建設中のダムは完成を目前に控えて台風の進路にさらされていた。現地ではダムの上流の山肌から六十トンの岩がせり出していて、これを処理しないとダムは破壊される恐れがあった。爆破用のダイナマイトはもうなかった。甘利川本社では至急ダイナマイトの輸送を決意したが、この嵐の中でどの運輸会社も断った。田代が輸送を引受けた。植野も感激して融資を承諾した。美沙も田代に同行することになった。嵐は迫って来た。田代の運転するトラックと、同僚小坂のトラックは嵐の中を出発した。このことを知った藤川は自ら車をかって田代達のトラックを追った。会社乗取りのためにはトラックを妨害せねばならなかった。ダムの難所にかかった時、先行していた小坂のトラックが下の河原に転落した。田代は美沙を車に残して救出に出た。小坂の傷はわずかだったがエンジンから出た火がダイナマイトに迫っていた。爆発寸前に小坂は救われた。その時美沙をタテにした藤川のピストルが田代の眼前に現れた。嵐の中で二人はたたかった。間もなく藤川を倒した田代の運転でダイナマイトを積んだトラックが工場現場についた。ダイナマイトは間に合った。新島運輸も救われた。田代と美沙の間はダムよりも早く完成しそうであった。