一寸法師(1955)
劇場公開日:1955年2月12日
解説
江戸川乱歩の原作を「継母」の館岡謙之助が脚色、「日本の虎」の内川清一郎が監督する。撮影は「鉄腕巨人」の岩佐一泉、音楽は「消えた中隊」の大森盛太郎の担当である。出演者には銀座のサンドウィッチマンが和久井勉という芸名で一寸法師を演ずる外「変化大名 前・後篇」の三浦光子、「ほらふき丹次」の安西郷子、「人間魚雷回天」の宇津井健、「太陽のない街」の二本柳寛などである。
1955年製作/84分/日本
原題または英題:Mysterious Pygmy
劇場公開日:1955年2月12日
ストーリー
書店から依頼された“山の手歓楽街深夜の探訪”を書くために、若い文士小林章三は渋谷道玄坂横の飲み屋街に、毎夜更けにやって来るのだった。ある夜この附近で、横町から飛び出して来た薄気味悪い一寸法師に、一時はギクッとしたが、これは何か書けそうだと思った章三は、その一寸法師の後をつけ始めたが、井之頭線ガード下にさしかかった時、一寸法師の持っていた風呂敷の中からポトリと白い人間の手首が落ちたのを見て身をふるわせた。一寸法師はそれを急いで風呂敷にねじこむと、やがて古びた寺の門前で姿を消した。翌日昨夜の寺であると思われる養源寺の前に来た章三は、そこで学生時代の恋人で現在山野証券社長夫人の百合枝から、山野の先妻の娘三千子が五日前から行方不明になっているときかされた。百合枝はそれを養源寺の和尚さんに相談に行くところだったが、章三は彼女に私立探偵旗龍作を紹介して三千子の捜索にのり出すことになった。翌日渋谷のデパー卜でファッションショーのモデル人形の片腕が本物の女の腕にかえられていることが分り、而も旗は指紋によりそれが三千子の腕であることを知った。旗のこれ迄の捜索によれば、山野家の運転手の蕗屋は小間使の小松と恋愛関係にあったが、最近三千子と愛し合う仲になっていたのだ。この頃脅迫状を受けた百合枝は、指定された上水堤で眼鏡をかけたビッコの大男に会ったが、それは一寸法師の変装した姿であり、百合枝の悲鳴に章三が馳けつけた時は既にその姿は消えて居たが、何故か百合枝はそのことを何も語らなかった。而も三千子が家出をする時身につけていたと云うマフラーとハイヒールが百合枝の部屋から発見された。翌日家を出る百合枝の後を旗や章三等がつけて行くと、彼女と会っているのは養源寺の和尚で、而もその衣を脱いだ姿は一寸法師である。百合枝は危く救われたが、しかし真実三千子を殺したのは一寸法師ではない、百合枝の仕業なのであった。