レディ・ジョーカー

劇場公開日:

解説

ビール会社社長誘拐事件を、犯人グループ、標的にされた企業、警察の三者の視点から描き、日本の社会に潜む闇を抉り出した群像サスペンス。監督は「魔界転生」の平山秀幸。高村薫による同名小説を基に、「血と骨」の鄭義信が脚色。撮影を「69 sixty nine」の柴崎幸三が担当している。主演は「BROTHER」の渡哲也と、映画初出演の新人・徳重聡。

2004年製作/121分/PG12/日本
配給:東映
劇場公開日:2004年12月11日

ストーリー

平成16年10月、日之出ビール社長・城山恭介(長塚京三)が誘拐された。“レディ・ジョーカー”と名乗る犯人グループのメンバーは、薬店を営む物井清三(渡哲也)、障害を持つ娘・さち(愛称レディ)を抱えるトラック運転手の布川淳一(大杉漣)、信用金庫に勤める在日の高克己(吹越満)、町工場の施盤工・松戸陽吉(加藤晴彦)、そして刑事の半田修平(吉川晃司)の、川崎競馬場で知り合った職業も年齢もバラバラの5人の男たち。ただ彼らに共通していることは、“社会の弱者”であることだった。56時間後、城山を解放した“レディ・ジョーカー”は、今度は会社への脅迫を開始する。人質は350万キロリットルのビール。それに、異物を混入させようというのだった。更に、彼らは日之出ビールに20億円の裏取引を持ちかける。果たして、城山は取引に応じる動きを見せた。実は、城山には犯人の目星がついていたのだが、そのことを公に出来ない事情があった。それは5ヶ月前、城山の姪の佳子(菅野美穂)が、被差別部落出身という理由から物井の孫の孝之との結婚を両親から反対されており、しかも孝之は日之出ビールの就職試験に落ちた直後、バイク事故で死亡していたのだ。これが明るみに出たら、城山家にも会社にも大スキャンダルである。そこで、城山は個人的な脅迫と知りつつ、“レディ・ジョーカー”に会社の金から20億円を渡すのだった。その頃、捜査に躍起になっていた警察は、日之出ビール幹部と“レディ・ジョーカー”との間に裏取引があるのではないかと睨みつつ、同時に半田への内偵を進めていた。ところが、もう少しで任意事情聴取というところまできて、半田の元上司が自殺。結局、警察内部の腐敗をマスコミに騒がれるのを恐れた捜査本部は、半田の事情聴取の見送りを決定する。そんな上層部に憤りを隠せないのが、元警視庁捜査一課の刑事・合田(徳重聡)。しかし、彼も尾行に気づいた半田に怪我を負わされる。その後、金を預かっていた高が、日之出ビールとかつてつながりがあった総会屋と共に行方をくらます。しかし、そもそも金を奪うことが目的ではなかった“レディ・ジョーカー”のメンバーは、今までどおりの静かな暮らしに戻り、一方、城山たちは総会屋との癒着が表沙汰になり、背任容疑で逮捕された。こうして、“レディ・ジョーカー”事件は、勝者のないまま人々の記憶の彼方に葬られていくのだった。

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映画レビュー

3.0今はなき、川崎競馬場3号スタンド

2024年10月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ほぼリアルタイムから20年振りに再見しました。原作は読んでないです。

こうして少し前の日本映画を観ることは、内容以外でもたくさん楽しめますから大好きです。

思い出した過去の記憶。タバコの吸い方、携帯の古さ、公衆電話の多さ、同和問題の扱い、総会屋、パチ屋と北朝鮮の関係、車の種類などなど。女性のファッションはもうバブルチックは終わってましたね(当たり前か)。

俳優さんも皆さん若い。鬼籍に入られた方も多数。長塚京三さん、まだまだ活躍をお願いします。徳重さん、今はどうしてるのですか。石原プロ無くなりましたっけ。

チームレディジョーカーの集合場所、川崎競馬場の3号スタンドは本当によく行きました。あそこの3階にいつも陣取りました。しばらくして、3階が閉鎖され、その後全館閉鎖され、やがてブッ壊して今はスーパーです。汚くていい雰囲気(川崎競輪のホーム側スタンドみたい)あったんですよね。タンメン屋さん(吉川と吹越が食べるシーン)は2号館に移りましたね。

何気に、渡さんの薬局、あの辺りに当時は上客がいましてよく営業に行きました。

映画はとても面白く観ました。長い原作なんでしょう、無理やり終わらせている感もありました。

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ウルスアベイユ

3.0その高村薫の原作はまだ読んでないが、青森の同和部落出身者が大手企業...

2024年9月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

難しい

その高村薫の原作はまだ読んでないが、青森の同和部落出身者が大手企業に就職差別されたのを理由にその大手企業に復讐する内容と思うが、在日も大卒でも就職が厳しいそうで、また右翼が大手企業に同和部落地名総覧だったか、それが書かれたその冊子を高額で売っていたそうで、当映画内で渡哲也の親類の不自然な突然の死や地味な薬局勤めやビール瓶に色が違う液体を注入し蓋をする場面や競馬場の客席に仲間なのに仲間じゃない風に集う場面もありましたが、最期がトラックドライバーの大杉蓮がその競馬場の客席に身体障害者で車椅子の自分の娘を置いて行き、代わりにその渡哲也がその身体障害者のその娘を乗せたその車椅子を押して行きますが、また当映画の製作が日活ですが、その日活という映画会社というのがピンク映画に移行し、その後に実際に本番をするアダルトビデオが誕生しましたが、当映画の主演の渡哲也もその日活所属の俳優だったと思いますが、

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39stepbacK

3.0謎が多くて。原作への導きか?

2024年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

ちゃんと知りたければ原作を読もう。原作へのイントロダクションと理解した。だから謎は深く追求しないと言いたいが、犯人グループの結成プロセスと、行方不明になったメンバーぐらいはもちっと描写してほしかったな。
僕らの世代は、グリコ森永事件に行きついてしまう。あの現実の事件も謎だらけだったので、ある意味わかる気もする。
この時代、渡哲也の枯れた老人役、やっぱりいいね。菅野美穂は抑えた演出だったのか、さえない役作りだったと思う。物故された名優たちに拍手。
そうそう、黒澤の名作「天国と地獄」を思い出した。最下層で虐げられていると解釈する犯人像、東北の雪山と西陽のあたる暑い部屋。店に前から仰ぎ見る会社ビル、部屋から山の手の邸宅が見える。舞台は違えどもデジャブ感。

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Bluetom2020

2.5グリコ・森永事件

2024年5月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2024年5月4日
映画 #レディ・ジョーカー (2004年)鑑賞

ビール会社社長が誘拐された。犯人は競馬場で知り合った社会の片隅に生きる<レディ・ジョーカー>と名乗る5人の犯人

#徳重聡 と #吉川晃司 はお互いの役を交替した方がよかったのではないかと思いました。何となくあってなかった気がした。

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とし

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