熊笹の遺言
劇場公開日:2004年5月29日
解説
政府や世間の病気に対する無理解から、長年に渡って不当な強制隔離と差別、偏見に苦しめられてきたハンセン病患者。2001年、裁判でようやく国の政策の誤りと人権侵害が認められた今日に、改めて悲劇の歴史を振り返り現在の元患者たちの素顔を見つめたドキュメンタリー。監督・今田哲史が日本映画学校の卒業製作として撮り上げた本作は、「第7回JPPA AWARD 2003」学生部門カテゴリーIIエンディング部門ゴールド賞、第2回横濱学生映画祭学校対抗部門優秀賞(グランプリ)、第13回あきた十文字映画祭北の十文字賞&観客賞、Az contest2003準グランプリ&観客賞を受賞した。
2004年製作/60分/日本
配給:「CINEMA塾」
劇場公開日:2004年5月29日
ストーリー
ハンセン病違憲・国賠訴訟の全面勝訴から1年、群馬県草津町にある栗生楽泉園では今も250人以上が暮らしている。裁判のリーダー的存在だった谺雄二さんもこの園に暮らす元患者の一人。現在は、ここを誰もが自由に出入りする開かれた場所にしたいと、この療養所を総合医療福祉施設にするための活動を続けている。しかし一方では、この療養所をでて社会生活を送りたい思いが彼の心の中に捨てきれずにいる。そんな彼の帰りたくても帰れない場所、彼が産まれた東京界隈の下町、足立区。谺さんは自分の原点を見つめるために故郷へと向かう。浅井あいさんは、長年連れ添った夫を4年前に亡くす。盲目のあいさんは、故郷金沢にいる目の不自由な少年と文通を始める。それから約半年後、少年はあいさんに会いに楽泉園に向かう。50年ほど前から絵を描き続けている鈴木時治は、視力が失われてゆく中、亡き妹への想いを描き続ける…。彼はその妹の絵を胸に抱き利根川へと向かう。裁判の勝訴から約1年、長い隔離生活を送った彼らがそれぞれの思いを胸に社会と向き合っていく。