ジョゼと虎と魚たち(2003)

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劇場公開日:2003年12月13日

解説・あらすじ

田辺聖子の短編小説を犬童一心監督が実写映画化。妻夫木聡と池脇千鶴が共演し、足の不自由な少女と平凡な大学生の切ない恋の行方を描く。ごく普通の大学生・恒夫がアルバイトする麻雀店では、近所に出没する謎の老婆の噂が話題となっていた。その老婆は決まって明け方に現れ、乳母車を押しているのだという。明け方、恒夫は坂道を下ってくる乳母車に遭遇。近寄って中を覗くと、そこには包丁を振り回すひとりの少女がいた。ジョゼと名乗るその少女は足が不自由で、祖母に乳母車を押してもらい散歩していたのだ。不思議な魅力を持つジョゼに惹かれた恒夫は、彼女の家をたびたび訪れるようになる。

2003年製作/116分/PG12/日本
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2003年12月13日

スタッフ・キャスト

監督
犬童一心
脚本
渡辺あや
原作
田辺聖子
エグゼクティブプロデューサー
椎名保
三木裕明
共同エグゼクティブプロデューサー
山崎一彦
泉正隆
安永義郎
企画協力
内藤あづさ
プロデューサー
久保田修
張憲文
共同プロデューサー
井上文雄
撮影
蔦井孝洋
照明
疋田ヨシタケ
録音
志満順一
整音
浦田和治
美術
斉藤岩男
装飾
西渕浩祐
衣装
石井朋子
スタイリスト
伊賀大介
ヘアメイク
中村洋子
細倉明日歌
編集
上野聡一
音響効果
岡瀬昌彦
音楽
くるり
音楽プロデューサー
高橋太郎
安井輝
主題歌
くるり
キャスティング
杉野剛
製作担当
鎌田賢一
助監督
五十嵐昭徳
スクリプター
甲斐哲子
スチール
原田大三郎
ビジュアルエフェクト
浅野秀二
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(C)2003「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ

映画レビュー

5.0 柔らかく切実に、そして大胆に

2025年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

斬新

身体的な障がいと、祖母による狭窄的で抑圧的な生活環境が、彼女を貝殻にしました。壊れもんの分。
貝殻は海の底を転がるだけ。それでも寂しくはないと言う。はじめからなんにもないんだ、と。
そんな彼女は恒夫と出逢い、泳ぎました。魚を知り、恐い虎を知り、彼とこの世で一番エッチなことをするために。
そのとき彼女は幸せに違いないでしょう。最上の幸福です。性愛の極みです。
「貝殻が泳ぐのか?」
彼の何気ない言葉に、彼女の目は海の底を写します。そこはもう寂しさのない元の場所ではありません。魚を知った、虎を知った、エッチを知った、愛を知った。ひとりぼっちで転がり続ける海の底は寂しいでしょう。
それでも彼女は言う。「でもまぁ、それもまた良しや。」
彼女の世界、海の底は、不幸な世界などではないのです。彼女は幸せを知っているのです。
だから生きることに逞しくなれるのでしょう。

セリフ構成がとにかく素晴らしいですね。名ゼリフというと少し違う気がします。何気なく放たれた言葉に真実味が溢れているのです。ホロリと溢れた言葉にずっしりと重みを感じるのです。それらが物語に流麗に溶け込んでいるのです。恒夫の繊細さを欠く言葉も、ジョゼの少し飾った言葉も、全てがキャラクターとともに生き生きとしています。

原作小説は読んでおりませんし、後のアニメ版も韓国でのリメイク版も知りません。もしかしたらそれらは一生観ることはないかもしれません。そう思わせるだけの圧倒的な魅力が、本作と池脇千鶴さん演じたこのジョゼにあるように思います。素晴らしい演技というだけでは言葉が足りず、元来の声質だったり、小柄な体型(それでいてちゃんと女性らしくもあり)だったり、見窄らしさや押し入れがよく似合う空気感だったり、その魅力を引き出す衣装や小道具だったり撮影だったり、これら全てがジョゼというキャラクターを最上に仕上げたように思います。
一方、恒夫の中途半端な好奇心や正義感や、香苗の露骨な嫉妬など、登場人物たちは、実にピュアでありながら飾り立てず痛々しいほどの等身大です。実に平凡的で人間的ですね。だからこそ観る者を作品にすうっと感情移入させるのでしょう。

障がい者を扱うデリケートな物語を、隅々まで柔らかくも切実に、繊細でありながら大胆に世界観に仕上げた、他に類をみない作品だと思います。

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marumero

4.0 二度観ても面白い

2025年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

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ツネ

4.0 懐かしいけどよく見ると外国

2025年5月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

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ざむざむ

4.5 くっつくも離れるも、恒夫の“やさしさ”とジョゼの強さ

2025年4月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

恒夫は少ない接触回数で相手に好意を抱かせるコミュニケーションがうまいし、興味を持った女の子であれば誰でも、いや、仕事でもそれができる。

恒夫は大学生から、あの時代の「社会人」になり、
ジョゼは自立した生活だってできるが、甘えるような恋愛がしてみたかったんだろう。

ジョゼの恋愛観は、読んでたフランスの本に影響を受けてたりするのかな。

恒夫が貧乏学生って設定は生きてたかな?
学生時代はカナエのお嬢様感にちょっと距離を感じていたかも。結局、カナエもそんな余裕はなくなり、最後は対等な関係として恒夫と歩いて行った。

(時代的には対等でもなく「嫁に行く」「仕事から帰ったら気遣ってほしい」とかそういう時代なんだろうか...?)

都市のカットとのギャップ、アニメ版のように時代が違えば...という観点もあるが、社会人になっていく恒夫と恋愛がしたかったジョゼを描いた作品だと思います。

初めて出かけたときのフィルム写真は、目に映るすべてが新しい、しかも恋をしているジョゼの視点だったんだと感動しました。

長く一緒に生活していくには、花とか猫とかに感動してる夫婦ってほのぼのしてていいと思いますが...あの時代のザ・営業マンをしながらでは難しいかと勝手に想像。

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Ori