たそがれ清兵衛のレビュー・感想・評価
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一人の庶民としての侍の生き様を描ききる演出の良さ
総合:85点 ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:90点|ビジュアル:70点|音楽:65点
時代劇といえば集団での派手な切りあいや大きな出来事があったりするものだが、本作品ではそれほどたいした出来事が出てこない。むしろ謀反やさらに最も大きな出来事である戊辰戦争があったとき、その場面はあっさりと省略されてしまっている。描かれるのは所帯臭くて目立たない貧乏侍の日常生活。それに加えて、侍としての危険な出来事と危険な任務を否応なく受けざる得なかった出来事と、女の話だけ。確かにそれは個人として命懸けの大きな出来事ではあるが、派手なものが多い時代劇ではそれほどたいしたことではない。
しかしそんな庶民的なありふれた侍を描く演出がとても優れている。刀を振り銃弾の中を突撃する戦争などなくても、侍を一人の人間としてしっかりと描いていくだけでこれだけ見応えのある物語になる。家庭のこと、仕事のこと、恋愛のことのようなこの時代によくいた貧乏人としての生活、そして侍としての体面、果たさなければならない義務といった武士としての姿までを思い入れ深く表現しているのが実に素晴らしかった。だから登場人物の感情や生き様やささやかな幸せが確かに伝わってくる。
庄内地方がモデルの幕末海坂藩が舞台の感動作!
庄内地方の景色が素晴らしい。
藤沢周平の文学は、庄内地方をモデルとした架空の海坂藩が舞台となる時代劇が多い。
城下町鶴岡と港町酒田からなる庄内藩は、幕末の重要な藩のひとつであり、【たそがれ清兵衛】は、名もなき下級武士の家族愛を描いた感動のドラマですね!(涙)
学問したら、考える力がつくんだ
先日鑑賞した映画「たそがれ清兵衛」(山田洋次監督)
(主演:真田広之さん、宮沢りえさん)からの一言。
貧しい武士だった清兵衛は、たそがれ時になると、
一切の贅沢をせず、まっすぐ帰宅し、内職に励む。
この台詞は、清兵衛の娘が炉を囲んで、
「論語」を一所懸命、諳んじている場面だったと思う。
裁縫などの家事は、覚えれば覚えるほど、
生活の役に立つけれど、学問は?・・と感じたのだろうか、
「学問したら、なんの役に立つんだろう?」と
父親の清兵衛に投げかける。
その答えが「考える力がつくんだ」だった。
これからは、自分で判断しなければならない時代が来る。
今までのように、支持・命令されたことを忠実に守って
正確に、そして丁寧に仕上げていけばよい時代は終わって・・。
だから女子(おなご)でも、考える力をつける必要があるんだ。
そんな会話をした時の台詞メモである。
娘が小さい頃「どうして、勉強なんてするの?」と質問されて、
うまく答えられなかった自分を思い出していた。
そうだ、考える力をつけるためだよ、と今度は言える。(笑)
映画には、きらっと光る台詞が多くて私は忙しい。
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