陽はまた昇る

劇場公開日:2002年6月15日

解説

世界規格となったVHSの開発の裏で活躍した、名も無き技術者たちの姿を描いたヒューマン・ドラマ。監督は、本作が初監督作となる佐々部清。佐藤正明によるノンフィクション『映像メディアの世紀 ビデオ・男たちの産業史』を基に、「金田一少年の事件簿」(西尾大介監督作)の西岡琢也と佐々部監督が共同で脚色。撮影を「ホタル」の木村大作が担当している。主演は「釣りバカ日誌12」の西田敏行。第26回日本アカデミー賞優秀作品賞、優秀主演男優賞(西田敏行)、助演男優賞(渡辺謙)、優秀音楽賞受賞、第15回日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞受賞作品。

2002年製作/108分/日本
配給:東映
劇場公開日:2002年6月15日

あらすじ

70年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が初めてマイナス成長に陥った。そんな中、家電メーカー業界8位の日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷に、事業部長として赤字続きの非採算部門である横浜工場ビデオ事業部への異動と大幅な人員整理の厳命が下る。だが、人材こそ何よりの財産と考える加賀谷は、ひとりの解雇も出さないために極秘のプロジェクト・チームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VTRVHSの開発に着手する。ところが数年後、家電メイカーの雄・ソニーがベータマックスを発表。足踏み状態の続くビデオ事業部は崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望を託し開発を続けた。そして、遂にベーターマックスを超える録画が可能な試作機が完成する。しかし、その時既にベータマックスは国内規格として採用されようとしていた。このままでは、自分たちの努力が水泡に帰してしまう。そこで加賀谷は大阪へ向かい、親会社である松下電器相談役・松下幸之助にVHS方式の採用を直訴。果たして、加賀谷の願いは聞き入れられ、その結果、ひとりの解雇者も出さずにVHS方式のプレイヤーの販売にこぎ着けることに成功するのだった。その後、加賀谷は脳梗塞で倒れた妻の世話のために、定年を前に退職を決めた。最後に彼が工場を訪れた時、従業員たちはVHSの人文字で彼を送った。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
佐々部清
脚色
西岡琢也
佐々部清
原作
佐藤正明
企画
坂上順
西村元男
製作
高岩淡
プロデューサー
厨子稔雄
小松茂明
撮影
木村大作
美術
福澤勝広
新田隆之
装飾
若松孝市
音楽
大島ミチル
音楽プロデューサー
北神行雄
津島玄一
録音
高野泰雄
音響効果
佐々木英世
西村洋一
照明
礒野雅宏
編集
大畑英亮
衣裳
山田夏子
ラインプロデューサー
菊池淳夫
製作担当
林周治
助監督
瀧本智行
スクリプター
石山久美子
スチール
阿部昌弘
撮影効果
南好哲
渡辺孝
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受賞歴

第26回 日本アカデミー賞(2003年)

ノミネート

作品賞  
主演男優賞 西田敏行
助演男優賞 渡辺謙
音楽賞 大島ミチル
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映画レビュー

3.5 俳優たちの顔ぶれが豪華!

2025年11月24日
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鑑賞方法:VOD

世界規格となった日本ビクターのVHSの開発の裏で活躍した人々のドラマ。
俳優たちの顔ぶれが豪華な、そして「いかにも!」というキャスティング。特に頭が硬いビクターの重役達には、それ相応の面々がキャスティングされいる。石橋蓮司と津嘉山正種達だ。悪代官風でヴィランのようだ。(本当は会社想いの真面目な方のハズ)
主軸は家庭用のビデオデッキの開発で、1976年10月31日に日本ビクターがVHS規格の家庭用VTR第一号機「HR-3300」を発売する。一時停止して見たが、VHSの2時間テープが六千円と、映画内の新聞記事に載っていた。
β(ベータマックス)にしろVHSにしろ えらくデカい。私の家は未だにVHSデッキがあるが6倍くらいデカい!

仲代達矢を偲んで映画を観ようと探したら知らなかった今作を見つけた。しかし仲代達矢の出番は少なくて、西田敏行の追悼も兼ねるような結果となったが、中高生の頃に〇〇ロードショーを録画予約してた思い出も蘇った。

仲代達矢演じる松下幸之助が出て来るが、他社の重役達からも扱いが別格だ。「当時は松下電器がそんなに偉かったのか」と、驚いた。

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ナイン・わんわん

4.5 【”何事も人。そして夢を諦めない男。”今作は窓際であったビデオ事業部に異動になった男と仲間達が世界規格となったVHSビデオの開発秘話を描いたサラリーマンであれば、涙する作品である。】

2025年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

ー 最初に。
  今作には邦画の名優を越えた名優である、故西田敏行さん、先日逝去された仲代達矢さんが出演されている。瞑して、ご冥福をお祈りいたします。ー

■粗筋
 日本経済がマイナス成長に陥った1970年代前半。
 日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷静男(西田敏行)に、左遷とも言える、非採算部門である横浜工場ビデオ事業部に赴任し人員削減をするよう、役員達から指示がされる。
 だが、人材を財産(人財と言う言葉を我社では使っている。)と考える加賀谷は、ある極秘プロジェクトを立ち上げた。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・ご存じの通り、加賀谷静男は実在の人物をモデルとしている。
 実に立派な方であると思う。

 <加賀谷が赴任後に行った大改革の数々>

  1.本社指示の人員削減をせずに、効率的な組織編成を行った事。
   ⇒これにより、やる気を失っていた人たちは、加賀谷への想いと共に、やる気を取り戻すのである。

  2.ビデオ事業部240名の名前を、全て覚えた事。
    ⇒組織の長たるものの必須の仕事であるが、240名の名字だけでなく下の名前まで覚えるというのは凄い。だが、これにより240名とのコミュニケーションが進むのである。社長からフルネームで呼ばれて、嬉しくない人はいないでしょう。

  3.下請けと言う言葉を部下に使わせずに、”協力会社”と言う言葉を使うように指示している所。
   ⇒これにより、協力会社社長たち(井川比佐志たち)は、加賀谷を信頼していくのである。

  4.開発陣が、昼夜を問わず開発したVHSを【互換性のある、統一規格】とするために、ライバルメーカに内部構造を公開した事。
  ⇒これは、凄い事である。だが、結果的にこの判断が世界にVHSを広めたのである。

  5.世界の松下幸之助(仲代達矢)に、アポなしで夜に車を走らせて、松下の大阪本社に会いに行った事。
  ⇒これは、博打であるが、日本ビクターの役員達が、ベータ導入を検討している中での行動である。そして、松下幸之助が言った言葉。
   【VHSは、150点や!】

<今作は窓際であったビデオ事業部に異動になった男と仲間達が世界規格となったVHSビデオの開発秘話を描いたサラリーマンであれば、涙する作品である。
 ラスト、妻子と工場に行った加賀谷静男が見た、ビデオ事業部240名が作った人文字のシーンは名シーンである。
 さあ、明日から又、厳しき仕事を頑張ろう!と思わされた作品でもある。>

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NOBU

5.0 技術者達の熱い思いに心打たれます

2025年7月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

泣ける

興奮

VHSの開発に挑んだ企業の話。実話が元。豪華な俳優陣。技術者の熱い思いが最高です。しっかりと感動させてくれるラスト。文句無しで楽しめました。めちゃくちゃ面白い作品でした。

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RYO

4.0 VHS vs SONY あんたらの時代は熱かった。

2025年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

NHK「プロフェッショナル」でも神回として残るVHS誕生秘話。
1970年代低迷し始めた日本経済に家電メーカーとしての企業戦争。
ビクターの開発部門にいた加賀谷は突如、不採算部門の横浜のビデオ事業部に部長として赴任。
決起回生のビデオプロジェクトを画策する。

時は1975~1976年なので、自分がビデオデッキに触れるのは5~6年後になることで、開発にメーカーの熾烈なドラマがあるとは知る由もなかった。
中学校に入ると何人かビデオを持っている家庭の同級生が何人かいたが、ベータとVHS半々で、ベータの持ち主はブランド志向的感覚が多かったイメージだ。その後、1985年になるとビデオレンタル店が出始め、両方置いていた店があったように記憶しているが、1泊500~700円とTSUTAYAが1週間レンタルを始めるまでは安くはなかったと思う。
1980年代後半にはメーカー対応の多いVHSデッキが安くなりはじめ勝負あったという感じだった。

ビデオについてはこんな感じではっきりと記憶が残っているので、この映画の内容には気持ちがだいぶ入ったし、実話の人間ドラマとしては感動的な内容だと思う。
あの頃の日本は熱かったんだなぁ。。と憧れにも感じる思いがあった。

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Soulman

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