湾岸道路
劇場公開日:1984年9月29日
解説
突然、夫に別れを告げられた妻が、バイクのライディングをおぼえ、夫と同じように湾岸道路を旅立っていく姿を描く。片岡義男の同名小説の映画化で、脚本は「セカンド・ラブ」の東陽一と新人・金秀吉の共同執筆。監督は東陽一、撮影も同作の川上皓市がそれぞれ担当。
1984年製作/100分/日本
配給:東映クラシックフィルム
劇場公開日:1984年9月29日
ストーリー
スポーツクラブで、ボディ・ビルのインストラクターをしている杉本健介は、結婚して二年。妻・芙美子は、一部上場会社の総務部庶務課に勤めている。ある日、二人は愛車クライスラー・コルドバで、霧の箱根山荘へ向った。その途中、健介は芙美子を叱責した。彼があこがれているハーレー・ダビッドソンのビッグ・バイクの頭金を支払おうとした時、銀行口座の残高ゼロを知ったからだ。今回が初めてのことでない。芙美子のクレジット・カードの枚数は31枚になっている。しかし、二人の仲は険悪になったりはしなかった。健介のインストラククー仲間は、ゆかり、斉藤、水泳のインストラクター佐々木など、皆気さくで彼は仲間も職場も気に入っている。健介と芙美子は、しゃれた会話を交わし、連れだって食事に出かけたりと幸福な生活を送っていた。クラブ「桂」のホステスのピンチヒッターとして店に出た芙美子は、たちまち客達の注目を集めた。そんな芙美子に「桂」のママは、彼女に金を払う客を紹介した。それを告げられた健介は、「愛してやれ」と言う。箱根のホテルで一晩15万円。健介が芙美子をホテルまで送って行く。週2日、芙美子はクラブに勤めだし、たまに郊外のホテルへ出かけてと、銀行の残高を気にせず好きなものを買い求めることができるようになった。二人の生活は今までどおりだったが、健介の心の中に、空虚なものが広がっていく。そんなある日、唐突に健介は芙美子に別れを告げた。オートバイで日本中をさすらうという。スポーツクラブのプールで戯れた後、芙美子は別れを了解した。健介はマンションの部屋を売りはらって、幼なじみの中村からハーレー・ダビッドソンを手に入れた。出発の日、芙美子をタンデム・シートに乗せ大井埠頭に向い、そこで別れた健介は、湾岸道路を旅立って行った。残された芙美子は、自分がくやしかった。ひと月たったが、健介からは何の連絡もない。芙美子は、中村やその妻キャサリンにコーチしてもらい、バイクのライディングテクニックをおぼえていった。一年後、芙美子は会社をやめ、健介と同じように湾岸道路をハーレー・ダビッドソンに乗って出発した。