竜二

昭和の男の話。昭和のヤクザの話。20年以上前に見た時はよくわからなかった。時間が経って自分の状況も変わった今、色々と響くものがあった。
古いDVDで見たのだが特典でインタビュー記事が入ってて、矢沢永吉やらショーケンやら秋吉久美子やらの名前が次々と出てくるあたりも昭和を感じて良かった。

改めて見たら、長渕剛は影響受けすぎというか、なんというか。モロだった。
本人は認めてなかったような。。

萩原健一の「ララバイ」が流れ始めて物語の幕が開け、エンディングロールが終わる頃に何も映らない真っ黒なスクリーンから再び萩原健一の「ララバイ」がフルに流れる、もうそれだけで堪らない訳で。。。

金の無心に来る相手に給料袋を差し出そうと躊躇する竜二、最終的には財布に入った有金を渡す、観ているコッチとしては安堵する場面でもあり映画的で派手に演出することはないからこそのリアルを感じながらラストに決断する場面に繋がっているようで、迷いはあれど責任逃れで自分に甘い人生の選択をする竜二には共感も出来ない、男の美学に酔っているだけにも、それでも格好良い、儚い、見守りたい、不思議な魅力を醸し出す竜二のキャラクターと演じる金子正次の存在感に酔いしれる。

演じるのが金子正次では無かったら、今でも生きていたのなら、この作品の評価や位置する価値も今では違っていたりするのか、公開当時に『竜二』を観て熱狂した人はましてや長渕剛がヤクザを演じたＴＢＳドラマ『とんぼ』なんか鼻で笑う程度でしかないだろう、そんなドラマが今でも長渕剛と共に大好きならば本作を観てその価値観を脱ぎ去ろう、パクリやマガイモノがオリジナルを上回り騙し続ける腹立たしさ！？

ずっと、「何事も起こらないでください」と、祈るような気持ちで見ていました。
大好きな「チ・ン・ピ・ラ」の原作者と聞いていた金子さん。見たいと思いつつ、もう何年たったことか。やっと見ることができました。
萩原健一や山口百恵の歌が印象に残ります。

名作！
(という一言では表せない名作です)

80年代の新宿の風景が見られて興味深かった。サワー300円。配達の仕事に二人がかり、3ヶ月であげてくれる給料…うらやましい。

甘えんなよ？！という気にはなる。これが男の美学なのか。女だってこういう気持ちあるけど、子ども置いて行けないじゃない。

とはいえ、自分の居場所探しという意味ではシンパシーを感じた。安売りに並ぶ妻子、そのあまりの平凡さに立ち竦んでどちらを向くか。中学生くらいのときはこんな感性もあったなあと思った。

葛藤もあっただろうが、大事にしてくれ、側にいてくれた父のことを思った。同世代の父はこの映画をみて当時、何を思っただろうか。