吉原炎上

劇場公開日:

解説

斉藤真一の『吉原炎上』『明治吉原細見記』を原作に、吉原遊廓の花魁の生き様を描く。脚本は「瀬降り物語」の中島卓夫、監督は「極道の妻たち」の五社英雄、撮影も同作の森田富士郎が担当。また脚色構成として笠原和夫が参加し、「今は幻、吉原のものがたり」の作家近藤富枝が監修。

1987年製作/133分/日本
配給:東映
劇場公開日:1987年6月13日

あらすじ

その昔、東京浅草の一隅に、吉原遊廓と呼ばれる歓楽の別天地があった。そこでは借金に縛られた娘たちが六年の年季が明けるまで、春を売っていた--。久乃がここ吉原の“中梅楼”に遊女として売られてきたのは十八歳の春。明治の末のことである。〈春の章〉中梅楼には花魁の筆頭とも言うべき、お職の九重をはじめ、二番太天の吉里、三番太天の小花に次いで、菊川などさまざまな遊女がそれぞれ艶を競っていた。お職の身にありながら、宮田という学生と抜きさしならない仲になっていた九重は久乃に不思議な魅力を感じていた。九重の下につき見習いをはじめた久乃にやがて、娼妓営業の鑑札が下り、若汐という源氏名を貰った。ところが初見世の時、若汐は突然客のもとを飛び出し、裸足で逃げだしてしまった。そして、店のものに追われる途中、救世軍で娼妓の自由廃業運動を展開中の古島信輔と出会う。若汐は結局、店のものにとり押えられ、連れ戻されるが、このことに激怒した九重は、自らの身体で若汐に廓の女の作法を教えるのだった。彼女に不思議な魅力を感じていた九重は、この時自分が廓の女であることを忘れ身悶えてしまった。そして、数日後、店への借金を成算するとどこへともなく吉原を去っていった。〈夏の章〉一年後--。中梅楼のお職の座には吉里がついていた。ある日、娼妓の菊川が品川に住み替えとなった。菊川は気のいい女で若汐とも仲がよかっただけに、彼女は一抹のさびしさを感じていた。そんなある夜、若汐の前に信輔があらわれた。信輔は今や先代の急死で古島財閥の若き当主となっていた。そしてこの日を境に信輔は若汐のもとに通いつめた。がしかし、一度も彼女を抱こうとしなかった。やがて、お職の吉里が、熱をあげていた男にフラれた腹いせに、剃刀を持ってあばれだし、白昼、自らの首に剃刀を当て死んでいった。吉里は酒と情人に弱い女だったのだ。〈秋の章〉ふたたび一年後。若汐の美しさはますます磨かれて、姉さん格の小花と艶を競うまでになっていた。翌年の年季明けをめざして小花はよく客をとっていた。しかし、このことが災いしてひどい喀血の末、病院送りとなってしまった。そして、小花に替わって若汐がお職の座につき、楼主と女将のすすめもあって花魁名跡“紫”を継ぐことになった。十月恒例の“仁和賀”で湧き立つ仲之町。お職の位に出世した紫の豪華な“積夜具”が部屋へ運び込まれた。その部屋はもとの小花の部屋。店のものがうっとりとそれらをながめていると突然、幽気のような小花が現われた。そしてお座敷から信輔と一緒に戻った紫の前で小花はその夜具をこなごなに切りさき、絶叫の中、死んでいくのだった。〈冬の章〉それからさらに一年後の冬。楼主と女将に呼ばれ部屋へ行く紫。とそこには信輔がいた。信輔は二千円という大金を彼女にさし出し、好きなように使えという。そして彼女の前から姿を消してしまった。紫はその金でかねてから考えていた“花魁道中”をやることにした。ある日、紫は菊川と再会した。一度は身受けしてもらったものの再び廓に身を落とし今では安女郎の菊川。二人の差は年月以上に大きなものだった。やがて、めぐりくる桜の季節となり、紫の豪華な花魁道中が行なわれた。彼女は信輔がお春という女郎のもとにいることを知ると、すぐに駆け付けるが、そんな彼女を菊川がとがめた。そして、紫は馴染みの客の坪坂の願いもあって、吉原を去ることにした。二人を乗せた人力車が吉原を出ようとする時、お春があやまって倒した火がもとで吉原全体が猛火につつまれ紫が育った中梅楼も、信輔もすべてが灰となってしまった。彼女は、燃えあがる吉原を万感の思いで見つめていた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第11回 日本アカデミー賞(1988年)

受賞

助演女優賞 かたせ梨乃

ノミネート

作品賞  
監督賞 五社英雄
助演男優賞 根津甚八
音楽賞 佐藤勝
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映画レビュー

3.5悲しい花魁物語

2025年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

萌える

 明治40年代の東京・浅草の西洋風の建造物はリアルで良いのですが、同じアングルばかりで物足りなさはあります。
 歴史はロマンですが、個人的に 花魁は もう少し組織的で知的だったのではないかな と思っています。わかりませんが。
 おそらく実際は かなり若い女性たちが働いていたのでしょうけれど、それ(年配の男とティーンズのセックスシーン)を再現するのは難しいことですから、娯楽映画としてはギリギリ成功だったと思います。

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どん・Giovanni

4.0 これぞ映画というのを久しぶりに観た。  昔の日本映画ってやけに女...

2025年3月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 これぞ映画というのを久しぶりに観た。
 昔の日本映画ってやけに女優さんが脱ぐシーンがあって、要るのか?って思うこともあるけれど、これは題材が題材なだけに必要性がわかる、今の時代、ここまでの映画はあるだろうか。俳優さんたちの凄さがわかる映画。

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たたみ

3.0鮮やか!色彩映像美

2025年2月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

五社監督の映像美学を堪能できる大作⤴︎
しかしながら文芸大作ではなく原作、脚本が腑に落ちないのでモヤモヤした印象⤵︎
五社作品の醍醐味は女優の美しさと凄みですが
二宮さよ子、藤真利子、かたせ梨乃は流石
肝心の名取裕子さんが久乃役はとてもイイ割に
若汐→紫と変わりゆく花魁として貫禄も色気も感じず入り込めませんでした⤵︎
(岩下志麻さん夏木マリさんと比べるのは失礼ですが)
また「鬼龍院花子の生涯」の様な映画としてのカタルシスがないのが残念⤵︎
それでも当時の吉原を充分楽しませていただきました。

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映爺

5.0「ここ噛んで」が強烈すぎて、いまだに脳裏に焼き付いている。

2024年11月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

「ここ噛んで」が強烈すぎて、いまだに脳裏に焼き付いている。

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テツ