劇場公開日:

解説

尾崎士郎の「ホーデン侍従」の映画化で、「現代無宿」の猪俣勝人と「四季の愛欲」の長谷部慶次が脚色、「螢火」の五所平之助が監督、竹野治夫が撮影した諷刺滑稽篇。主演は「坊っちゃん(1958)」の伴淳三郎、「暖簾」の森繁久彌、「夜の鼓」の三國連太郎。ほかに渡辺文雄、轟夕起子、富士真奈美、千田是也、水原真知子など。

1958年製作/106分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1958年6月24日

ストーリー

出雲の回天堂医院の院長折山博士は不老不死の妙薬の研究に熱中していた。町の写真館主古巻大五郎は彼に共鳴し、その研究を助けている。いわばマネージャー格である。折山夫人辰子は目下夫と別居中である。娘があり、雪江という。日本新聞の支局に移ってきた餅田記者は、ひょんなことで折山博士らと知り合う。雪江嬢にはだいぶ惹かれた。博士の研究は進んだ。材料の方も鼡、猫、犬、狸の“タンク”と進んでいった。餅田はその記事を本社に送り、新聞にそれが出た。“狸の精細胞と折山博士……云々”。すると早速利権屋どもが現れた。荒手取格之進もその一人である。東西秘薬という資本金シチオク五千万円の会社の社長という。彼は辰子夫人をたらしこんで、薬の権利書を手に入れようとした。研究は益々進み、いよいよ人間のホルモンタンクを必要とする段階まで来た。古巻が女房の牽制でウンと言わないので、折山博士は自分のタンク片方を剥出した。そのあとは歩行のとき、バランスがとれず、一歩は高く一歩は低く足を引きずるのであった。が、情けないことに、彼のタンクは老衰してい、役に立たなかった。古巻は金を貸したことのある久太を口説いて、彼のタンクを貰いうけることにした。久太の妻は妙なことにしきりに夫にそれをすすめるのだ。博士が回春のため紅燈の街へ出かけたとき、暴漢に襲われたのを救ったのは独立青年党委員長蛸山である。この憂国の士は博士の仕事に一ぺんに感激した。彼には博士の元助手浅間女医が惚れていた。餅田は雪江と結婚する約束をした。古巻は荒手取に言いくるめられ、東西秘薬の専務になり、自宅を提供していたが、インチキだった。シチオク五千万円とは七億ではなく“質おく”であった。二人は喧嘩した。--新聞やラジオまでが博士の成功見込を告げた。辰子夫人は荒手取のために博士の家へ帰り、権利書をとろうとする。原料と引きかえならと博士は言った。古巻がそれを蛸山に話すと、彼は自分のタンクと部下のそれを提供した。辰子夫人は荒手取と一緒になろうと家出したが、彼は権利書がなければ相手にしない。博士の研究は成功した。人々はその妙薬に殺到した。代議士、市長、県議--つまり利権屋たちが集った。その祝賀会で、医師会の仙石原が、博士の研究は一ペンの夢物語であると告げた。博士は旧友黒河博士に連れられ、病院車へ乗りこんだ。診察の結果、博士の頭がイカれていることが判ったのだ。荒手取は古巻の家を売り払うことで、喧嘩の結着をつけた。

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