夢千代日記

劇場公開日:

解説

広島で胎内被爆し、余命いくばくもない芸者のもっと生きたいという願いと、彼女と殺人犯の愛を山陰の温泉町を舞台に描く。脚本は「天国の駅」の早坂暁、監督は「暗室」の浦山桐郎、撮影は「伽耶子のために」の安藤庄平がそれぞれ担当。

1985年製作/128分/日本
原題または英題:Yumechiyo
配給:東映
劇場公開日:1985年6月8日

ストーリー

山陰の雪深い温泉町、湯村。“はる家”の夢千代こと永井左千子は広島で被爆していた。“はる家”は夢千代が母から受け継いだ芸者の置家で、夢千代の面倒を子供の頃から見てくれている渡辺タマエ、気のいい菊奴、スキー指導員・名村に恋し自殺未遂を起こす紅、好きな木浦のため、彼の妻の替わりに子を宿す兎、癌で三ヵ月の命だという老画伯・東窓に、束の間の命の灯をともす小夢たちがいる。神戸の大学病院で「あと半年の命」と知らされた夢千代は、帰りの汽車の窓から祈るように両手を合わせて谷底へ落ちて行く女性を見た。同乗していた女剣劇の旅役者の一人、宗方勝もそれを見ていたが、彼の姿は消えてしまう。捜査の結果、その女性の駆け落ちの相手、石田が逮捕された。彼の子を身篭った女が邪魔になったのだろうという事だったが、夢千代には自殺としか思えなかった。翌日、旅芝居好きの菊奴の案内で春川一座を尋ねた夢千代は、宗方に本当のことを教えてほしいと嘆願するが、宗方は「見ていません」と冷く答えるのだった。夢千代はタマエから、死んで行くしかない特攻隊員との愛のかたみに母が女手一つで自分を産み落としたことを聞かされ、一度だけ出来た子供を堕したことを悔いた。ある夜、夢千代は春川一座へ出かけ、熱を出して倒れてしまう。そして、宗方に背おわれて“はる家”に戻ってきた。春川一座のチビ玉三郎は、母である座長や菊奴の前で宗方の夢千代に対する気持を言いあてる。その時、宗方は菊奴から夢千代の命が長くないことを知らされた。証人として宗方の身元を調べていた藤森刑事は、彼の名がでたらめであることを知る。さらに、十五年前、父親を殺して指名手配中であることをつきとめ、夢千代に警告するのだった。宗方は一座から姿を消した。彼を隠岐行のフェリーで見かけたという紅の言葉を頼りに、夢千代は隠岐島へ向った。そして、宗方に愛を告白し、二人は結ばれた。宗方は衰弱した夢千代を“はる家”へ連れ帰る。皆の見守るなか、夢千代は息を引きとり、宗方は藤森によって逮捕されたのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第9回 日本アカデミー賞(1986年)

ノミネート

主演男優賞 北大路欣也
主演女優賞 吉永小百合
助演女優賞 樹木希林
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フォトギャラリー

映画レビュー

3.5最後の場面、満開の桜の中で、吉永小百合が日本舞踊を踊るのが印象深い

2020年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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KEO

4.0メモリアルにならなかった記念碑 吉永小百合の途中のマイルストーンだったのです

2020年8月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

監督は浦山桐郎 彼の初監督作品はキューポラのある街 吉永小百合をスターにした映画です そして本作が彼の遺作です つまり吉永小百合に始まり、吉永小百合で終わったのです 吉永小百合は40歳 女性としての夏が終わろうという時期です それがこの夢千代日記の完結とシンクロしています あの時産んでおけば良かった 私には残すものがなんにもにゃあ この台詞もまた彼女の人生とシンクロさせています もう子供を生む年齢を過ぎようとしているのです そして隠岐島での情熱的な口づけとエロチックな台詞に突き進みます 抱いて!抱いて下さい あなたの命が欲しい、私の体の中に・・・ あなたの命を下さい そして暗がりの中での、遠目で短いながら性行為の描写となるのです テレビシリーズではプラトニックな関係止まりであったのに彼女から迫らせるのです 最高に美しい女としての吉永小百合を映像に残す そして一区切りをつける 結局のところ、本作はそのような映画だったと思います ところが監督も吉永小百合当人も、スタッフも、映画業界も、ファンすらも思いもよらないかったことが起こります 吉永小百合は年を重ねても美しいのです 劣化するどころか、年を重ねた美しさが増して行ったのです それゆえに本作は区切りとはならなかったのです 普通の女優なら、本作がピークになってあとは老け役とかになり、出演も激減していくはずです 原節子は42歳で引退しました ところが吉永小百合は、美しさを保ったまま女優の女王として君臨し続けているのです 本作はメモリアルにならなかった記念碑なのかもしれません 吉永小百合の途中のマイルストーンだったのです

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あき240

2.0戦争は悲惨だ!

2017年11月23日
iPhoneアプリから投稿

映画を観る者に何を伝えたいのか? やはり、戦争の悲惨さのだろう。戦争のために夢が奪われる。

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さゆっこ