ゆめこの大冒険
劇場公開日:1987年
解説
奥方が旦那や医者、詩人、小間使いらとピクニックに行った先で自分と瓜二つの宝石泥棒と出会い、起こった騒動を無声映画のスタイルで描く。脚本・監督は「READY MADE」の筒井武文で、これが一六ミリ長編第二作目となる。撮影監督は宮武嘉昭、撮影は熊谷朋之、小林一がそれぞれ担当。(16ミリ、サイレント)
1987年製作/70分/日本
配給:プランセカンス
劇場公開日:1987年
ストーリー
プロローグ。ある劇場でスポット・ライトを浴びて踊り子が“カンカン”を踊っている。やがて踊り子が客席を回りテーブルの上のろうそくを吹き消すと、貴婦人たちの身につけていた宝石が次から次と盗まれていった。第一幕。ピクニックにやって来た奥方、旦那、医者、詩人、小間使いの五人。飲んだり食べたりしながら皆楽しそうに話している。やがて音楽に合わせて踊り出し、恋のさやあてが始まった。かつて恋人同士だった奥方と医者はサイクリングの途中皆と別れて思い出の森の小屋へ向かったが、そこには奥方にそっくりの宝石泥棒と変装名人の謎の男が潜んでいた。旦那や詩人、小間使いも入れ替わり小屋にやって来て、宝石の隠されたバスケットをめぐり森は大混乱。第二幕。蒸気機関車で逃げる宝石泥棒を謎の男が車で追いかける。七人は宝石の入ったバスケットを奪い合い、山、村、川、谷を駆けめぐった。第三幕。謎の男が部屋でなにやら実験を行っている。男の正体は実は、気違い博士だった。彼はバスケットを気球に変え、それに乗って空へ舞い上がった。宝石泥棒は間一髪で追いつき、気球から出ているヒモにぶら下がった。ゆらゆらと飛行を続ける気球。二人は世界一周旅行へと旅立った。北極から日本、花の都パリ、ニューヨーク……。いつしか二人の間に恋が芽ばえていた。一方、森に残された五人は疲れ果て寝ころがっていたが、やがて気球が戻ってきた。旦那はズボンのサスペンダーをパチンコ代わりに気球を打ち落とす。宝石泥棒が逃げ込んだところは、なんと初めの劇場だった。そして、彼女は踊り子の中へと消えていった。客席には奥方や旦那たちの姿がみえる。