八つ墓村(1977)のレビュー・感想・評価
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お化け屋敷でよく見るタイプ
「調べるのやめました」
計画的犯罪か、それとも落武者のたたりか。
さすがの金田一も後者にはギブアップ?(^◇^;)
何となく「砂の器」っぽいなぁと思ったらやはり同じ監督と脚本家。
映画「砂の器」もそうでしたか、事件の詳細な手口までは描かれていません。人間ドラマを映像で観せるのが上手い。
ベースとなった事件、「砂の器」現代版リメイクの一つでも、病気の代わりに使われたことがあったような気がします。
桜吹雪の中、要蔵が走る姿は正に鬼なのだけれども、音楽と合ってゾクゾクするほどカッコよく、美しさすら感じました。桜吹雪と狂気という意外な組み合わせが鮮烈です。
寅さんの金田一は、すっきり小ざっぱりという感じ。スクリーンの外で地道な捜査をされていたようで、後半までそれほど登場せず。
ひとつとても不可解なのは、辰弥の面倒をみるよう頼む時、犯人の目星は付いていなかったのか??という点。あまりに裏で捜査するため、金田一の推理過程がさっぱり分かりませんでした。
家系図も出てこないし、一人二役がいるため、登場人物の整理もややこしいです。
しかし映像の雰囲気は、シリーズ全パターンを観た訳ではないけれど、今の所一番好みでした。
たたりを怖れ今まで観なかった(笑)が、ようやく鑑賞。いろんな有名俳...
たたりを怖れ今まで観なかった(笑)が、ようやく鑑賞。いろんな有名俳優が出てますね。あっ、こんな人もいる、とか昭和世代には楽しめます。
にしても主要な役者の顔色が悪過ぎ。そしてエグく人が死にます。有名な村人惨殺シーン、実は本当に起こった津山事件を元にしています。それを知ってる人がかなりいたことが、このシーンの恐怖を倍増させたのではなかろうか。
ってかこれ、ミステリーではなくてもはやホラー映画でしょ。金田一が主役ではないし。よく渥美清を使いましたね。ホラーとは正反対の立ち位置でしょ。寅さんを思い出し、笑いそうになる私には、やはり似合わない気がします。
しかしこの映画、興行的には大成功。評価も高い。なぜだ!山本陽子の扱いも許せぬ(笑)
祟りより恐ろしい妖鬼の形相
横溝正史ブーム真っ只中の1977年、市川&石坂コンビの東宝版に対して作られた、こちら松竹版。
監督は野村芳太郎、脚本は橋本忍。松本清張ミステリー「砂の器」を手掛けたこのコンビが、今作では横溝ミステリーに挑んだ訳だ。
原作はシリーズでも一、二の知名度。
ある山村の旧家の血縁である事が分かった青年が、村を訪れてから起こる連続殺人、400年前の怨念…。
1996年に市川崑が豊川悦司を迎え映画化し、その時見比べたのが初見。
最初は受け付けなかった。
概ね原作に忠実だった市川版と随分雰囲気違うし、妙に生々しく不気味で、金田一が“寅さん”だし…。
それから暫く敬遠していたが、いつぞや改めて再見したら、他の金田一映像化とは一線を画す作風がこれはこれで面白い。
おどろおどろしい古風ミステリーを、インパクト抜群の怪奇ホラーに。
殺人シーンやお馴染み異様な風体の要蔵さんは並みのホラーも真っ青。
でもそれら以上に、ラストの○○○○○の豹変と形相は小さい頃に見たらトラウマ必至。かく言う自分も衝撃的だった。と同時に何処か、妖しくもあった。
各地でロケしたという鍾乳洞も作品ムードを大いに盛り上げる。
本作の脚色はその後の「八つ墓村」映像化に多大な影響を与えたと言える。
辰弥と美也子が恋に落ちる展開、その辰弥と本来結ばれる典子の未登場、美也子の本来の相手で典子の兄の慎太郎の登場の有無も本作がベースになったと思う。
特に後者は犯人の動機にも繋がるので、各映像化によってオチが異なる場合もしばしば。
他にも有ったり無かったりするエピソードも幾つか。
舞台設定が昭和20年代から現代(1970年代)に。
山村の古めかしいしきたりや落武者の祟りなどは昭和20年代の方がやはりしっくり来る。
が、落武者のラストカットには戦慄。
キャストは東宝版に劣らぬ充実さ。
最初は違和感ありまくりの渥美金田一だが、脇に回って要所要所顔を出しては核心に迫っていく“立ち位置”は最も原作に近い。
内容のまとめ方は96年の市川版、インパクトやムードは本作。
これらが巧く合わされば、最高の「八つ墓村」映像化になると個人的に思うのだが…?
小川真由美に尽きる!
ショッキングさと凄惨さ増しまし
祟りじゃ
総合:50点 ( ストーリー:55点|キャスト:55点|演出:40点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
誰が何故この犯罪を行っているのか、物語の流れとしてはどういう背景があるのかという理屈を一応通している。だが、犯罪をどうやって行ったのかについての言及がない。どのようにして毒薬を正確に狙った相手にばれないように飲ませたのかとか、犯罪の実行についての描写が殆どないために、犯罪の実現性について疑問符がつくばかりか、犯罪の怖さがない。犯罪者の人物描写も浅くて、どのような精神力や能力があるのかもわからないし、どのような事情があるのかも他人に少し後で語られるだけ。
これとある意味で同様なのが金田一耕助で、どうやって犯罪をつきとめていったのかの描写があまりに少なすぎて、彼がどのような活躍をして犯罪を紐解いていったのかが殆どわからないし、当然のごとく有名探偵として存在感がびっくりするくらいなくて、その隠密ぶりは最早ステルス爆撃機なみだった。「犬神家の一族」の石坂浩二の金田一とは対照的で、調べてみたら東宝と松竹と制作会社が違っていた。これは明らかに東宝の石坂の圧勝。
このような演出では犯罪も人物も全く活きない。祟りだの何だのと村人に叫ばせ変な化粧をして怪奇的な雰囲気を作り出そうとするだけでは、犯罪作品としてはくだらないし、恐怖映画にもなれていない。
昔の田舎はこんなふうに迷信深くて非科学的で土着の因習が息づいていたのだろうか。原作者の横溝正史の疎開したときの体験が基になっているというからある程度はそうなのだろうが、山奥の閉鎖された社会には観ていて多少の戸惑いと驚きがある。ほんの数十年で日本もここまで変わったのだろう。当主が1日に30人以上の殺人をしたという話は、舞台になった岡山北部で本当に30人以上殺した津山事件というのがあってそれを基にしたそうで、落ち武者狩りの話と相まって異常な雰囲気作りには一役かっている。
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