水のないプール

劇場公開日:

解説

クロロホルムを部屋にまき散らし、意識を失った若い娘を犯す男がいた。現実に起って世間を騒がせた性犯罪にヒントを得て製作された。脚本は「魔性の夏 四谷怪談より」の内田栄一、監督は「餌食」の若松孝二、撮影は袴一喜がそれぞれ担当。

1982年製作/103分/日本
配給:東映セントラルフィルム
劇場公開日:1982年2月20日

ストーリー

主人公の男は地下鉄の駅員。家に帰れば口やかましい女房、仕事は毎日喧噪の中で無気力になっていて何かを変えようとしながらうまく行かない。勤め帰りに酒場に立ち寄り、酔っ払いとやくざの小ぜりあいにまき込まれて右手を怪我し、駅前の噴水で血を流っているとき不思議な少女みくが近寄って来た。みくは男を水のないプールへ連れて来て裸になる。そのみくを置きざりにして、男はその足で数日前に暴漢から助けたじゅんの部屋へ忍び込もうとするが気付かれ、戸締りをするように注意して出てゆく。夏休みのある日、男は息子の昆虫採集で使う注射器を見ていて、女を昆虫のように薬で眠らせることを思いつく。男はわざわざ遠くの薬局から大量のクロロホルムを手に入れ、侵入に必要な道具を買い揃えた。男はまず、じゅんのアパートで実験してみる。窓の隙間から注射器でクロロホルムを注入し、じゅんを眠らせた。この成功に味をしめて、かねてから目をつけていたフルーツパーラの店員ねりかの部屋へ自分は昏倒しないように防塵マスクで身を堅めてねりかを犯す。犯した後で男は朝食の用意や洗濯までしてねりかの部屋を出た。男はポラロイドカメラを買い、犯した女を撮っていた。その写真を同僚に見られ、それをきっかけにして地下鉄をやめた。狂気のおもむくままに侵入と暴行をくり返し、男は生き生きとしていた。ねりかはうす気味悪い思いをしていたが男を待つようになる。ふと不安になり友だちに一緒に泊ってほしいと誘う。三人が寝ているねりかの部屋へ男はやはりクロロホルムを注入して侵入して来たが、そこにあったシャボン玉を吹こうとマスクをはずし、クロロホルムを吸って昏倒してしまう。目覚めた一人が男に気付いて警察へとどける。男の夢は終わったかに見えた。しかしねりかは告訴を取り下げ、男は再び水のないプールに立った。みくの吹くシャボン玉はふわふわと上っていった。

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映画レビュー

3.5コメディですね

2024年11月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

昔々実家のビデオテープにあって、何気なく見たらとんでもない変態映像で、圧倒されたのを覚えている。大人になって再見。なるほど社会や世の中に疲れたおじさんが、レイプを見たきっかけでどんどんおかしくなっていく。完全に良くないことだけど、どんどんいきいきと、カッコよくなっていくのだ。そこにしか希望を感じられないおじさんの哀愁すら感じる。朝食作ったり掃除したりも笑っちゃうけど、写真のセンスは完全にコメディでしょ。

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いつこ

3.00212 狂気と演技下手は紙一重

2024年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

1982年公開
たけしもそうなんだけどセリフはごもって聞きとれない。
そもそも棒読み。
目線の動きが俳優とは段違い。
けれど一歩間違うと空恐ろしい。
面白みのない人生を一つの光を得て生き生きとする。
描きたいことはわかります。
60点

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NWFchamp1973

4.0ザ・昭和!繰り返す夜這い・・・

2024年9月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

萌える

実際にあった犯罪を基に製作された映画が大好きなアブないオヤジです。

公開当時はこの映画の事を知りませんでした。何年か後に雑誌の記事で興味をもって、レンタルビデオを借りて見ました。
その衝撃的な内容、エネルギーみたいなものに圧倒されて、大好きな作品として、今に至ります。
今回、中古のDVDを見つけて、即購入。久しぶりの鑑賞です。

沢田研二さん、赤塚不二夫さん、タモリさん、原田芳雄さんと、豪華で異色なゲスト出演者にビックリ!
そして、あのピンクレディのミーさんが襲われるところから始まるってんだから、ワクワクしたんですが・・・ちょっと自分の記憶していたものとは、違ってました。

いかにも、昭和な風景が画面の中で表現されていきます。40年で、こんなに変わったんだってところに驚き。まだ、自動改札になってなかったんだ・・・。

何より、内田裕也さんがカッコいい。全編とおして、崩れていく様が、また良いです。ホンッと魅入っちゃいました。
そして、女優さんたちが皆さん綺麗。惜しげ無く裸身をさらけ出してくれる姿に感謝感激でした。

ただね、後半は音の無い暴行シーンが延々と繰り返されて・・・
こんなだったかな?って想いもチラホラ。歳取ることによって考え方も変わるし、まぁ、その時の状況によって感じ方も変わるから仕方ないかな。

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ratien

3.0戻る気なくなった裕也

2024年8月10日
Androidアプリから投稿

「タクシードライバー」のトラヴィスは俺的には普通の自分に戻りたかったんだと思う。出征する前の自分に。
好きな女を振り向かせる事も大統領暗殺も少女を救出する事も、それが果たせたら戻れると思ったんだ。
けれど、少女の親から礼を言われても女を見返す事が出来ても雨の夜にタクシー飛ばす自分しか居ない。
朝は来ない事を真正面からぶちまけたから「タクシードライバー」は名作なんだと思っている。

本作の主人公も所帯を持つ前の自分に戻れたら、どんなに身軽かと毎日あがいているわけだが、ひとたび快楽の道を知るやそれが本道だったかのように没入していく。

最初の犯行に成功した時から、もうどこへも戻る気なくなったんだよな。
自らプールの栓を抜いて泳げなくしてしまったんだ。泳ぐ気があったかどうかは定かじゃない。この不器用な中年男がうまく泳げるとも思えない。

本作がやたらと気分に流されて、もうひとつ感が拭えないのは主人公の内面に焦点を当てるのか、性犯罪をエロ描写で見せたいだけなのかハッキリしなかったからじゃないかな。

俺は後者に特化したほうが良かったように思う。

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K・M