水のないプールのレビュー・感想・評価
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内田裕也ならではの「さわやかさ」
今でいう社蓄的人生。昭和の時代の一億総なんとか、みたいな、職場でも家庭でも飼い慣らされ感しかない日常を送る鉄道会社につとめる男。しっかりしてそうな妻と、男女二人の子ども。つまらない仕事つまらない同僚疲れて帰る家たまに家族サービスのお出かけ全てがステレオタイプの毎日。
土砂降りの雨の夜、チンピラに襲われている若い女最初は見て見ぬふりだが、やはりと思い直して助けてやる。
女は感謝して、雨の中助けてくれた男を自宅に連れて行きタオルを貸してやる。そこでは紳士的に振る舞い、しかしそこから彼の人生は大きく変化する。
内田裕也のたんたんとした様子が良い。
チンピラがレイプする様子を見て女を純粋に助けようというより、なんか違う世界、自由な世界があるのかなと思ったんだろう。彼は彼なりの価値観と世界観を徐々に構築しながらおかしなクロロホルムレイプを展開していくのだ。つまらない社会に所有される自分が夢の世界のようなクロロホルム世界で女たちを所有していく。
最初の試みのあと、
モノラルな雰囲気
2023
75本目
なんとも、独特な雰囲気。
とにかく静かにストーリーは流れていく。
時代背景、駅、カルチャー…
ある意味、懐かしく、鮮度もある。
ストーリー的には性的なインパクトが強い。
ただ”エロい”俗語ではなく、エロティシズムアート的な見せ方をしている。
秋の夜長にぴったりな作品。
決して、電車など公共機関での視聴はオススメしません笑
隠微な犯罪の世界
内田裕也扮する地下鉄職員内田は雨の日に襲われていた女性を助けた。ただ切符を切るだけの生活に嫌気がさし警備会社に行こうかとも考えていた。
昔の映画だから改札での入挟シーンから始まった。見たところ子供ふたりの平均的な4人家族の父親だが、何故かクロロホルムを薬局で購入したりして怪しい動きをし始めた。さらには喫茶店の女性の後を追い始めたらもうアウトだな。独身男性ならともかく妻帯者だからね。男性なら誰でも女性を求めるだろうが、節度なり理性を捨てては困るな。でもまんまと成功したら病みつきだね。でも食事作ったり洗濯はないだろう。如何にも病的だ。
ヤクザな沢田研二や右翼めいた原田芳雄、妻役に藤田弓子、警官役に赤塚不二夫、カメラ屋にタモリ、襲われていたミーなど豪華な脇役俳優陣だったのにテーマが隠微な犯罪の世界なので違和感があったね。内田裕也に皆誘われたのかな。水のないプールとは何か分からなかったよ。
日本版 「タクシー・ドライバー」!?
実際に1980年に宮城県仙台市で発生した仙台クロロホルム連続暴行魔事件をモチーフとした作品であるが、内田裕也演じる地下鉄駅員はかの「タクシー・ドライバー」のトラヴィスそのもの。
劇中のセリフにも「これは政治だ!」、「街の見回りを行っている・・・・」等、「タクシー・ドライバー」を想起させるような言動が数多く用いられている。
おそらく若松孝二監督の映画作りの原点は“怒り”であり、反体制の視点から描く手法が数多く見受けられるので相通じるものがあるのだろう・・・・・・!
若き日のロックンローラー内田裕也を始め、豪華共演陣にも目を惹かれる一品!!
Fuckin!"Yuya Uchida"
永遠と内田裕也の変態行為を見せ付けられる。
神代辰巳との「鳴呼!女たち 猥歌」もそうだが、若松孝二とのタッグもまた危険な匂いしかしない、ド変態極まりない作品になってしまった!?
ピンク映画時代の若松孝二は女と見ればすぐにレイプの印象が?この頃もイケイケに内田裕也って危険な男とナチュラルにレイプ、そんな野蛮さが抜け落ちたら変態だけが残った。
あの内田裕也が家族サービスをしている場面は演出といえど笑える反面、寒気がする。
最低最悪で下衆な行為をしているのに何でか滲み出る優しさと哀愁漂う表情に、男としての渋味すら醸し出す魅力が溢れる内田裕也って、天然記念物!??
内田裕也の行動全てから、目が離せない。
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